【UAEW58】吉野光、再び砂漠へ。組む前が重要、サーディ戦へ。メインは非UFC最高のライト級タイトル戦?!
【写真】自信の長所を生かすために、どのようなアジャストが見られるか。楽しみな吉野だ (C)UAEW
21日(金・現地時間)にUAEはアルアインのADNECセンター・アルアインで開催されるUAEW58のコメインに吉野光が出場し、ライニ・サーディと対戦する。
Text Manabu Takashima
アブダビではなく、オマーンとの国境の街でアブダビ首長国第2の都市アルアインでの開かれる今大会は、ドバイやアブダビなど沿岸部でなく、まさに砂漠のオアシスが舞台となる。吉野のUAEW出場は2023年10月以来、1年4カ月振り。昨年は砂漠から招待状が滞り、2年8カ月振りに国内=Breakthrough Combatで戦いシンバートル・バットエルデネにまさかの判定負けを喫し、UAEWから続く連敗がついに3を数えてしまった。
それでも12月にBreakthrough Combat02で川北晏生のエルボーに苦戦しながらも判定勝ちを収め、2年2カ月振りの勝利を手にしている。この間にUAEWからオファーが届くようになっていた吉野が、砂漠に戻り戦績14勝4敗のサーディと戦う。
ドイツのベルリン在住のサーディだが、過去5年はBRAVE CFからUAEWという中東でキャリアを積んできた。それ以前は英国のBAMMAでフライ級王座を獲得、ACBオーストリア大会に出場するなどヨーロッパをベースで戦ってきたファイターだ。
柔術は黒帯でここ2試合はRNCとヒールで一本勝ちを手にしているが、打撃もテイクダウンも使いこなすウェルランディット・ファイターのサーディ。特に打撃は蹴りの距離、接近戦でも戦えるので吉野としては、組みにいくタイミング&それ以前の打撃をしっかりと考えて仕掛ける必要がある。
サーディにはミドル、ボディと腹を狙う攻撃も遠近両用でステップインに合わせてヒジ、さらに首相撲からヒザという武器もある。UAEW以前は組み伏せて勝ってきた吉野だが、ヴィニシウス・オリヴェイラ、リネット・ハバロフ、そしてシンバートルと組み勝つことができなかった。そのうえで打撃、あるいは組みで敗れた吉野は、川北戦ではフィジカルで上回るもそのスタイルを研究され、組んだ状態でヒジを受けて苦戦を強いられている。
つまり強度の高い相手だけでなく、柔の川北にも苦しんだ吉野にとって、強度が高く柔の戦い方もできるサーディは、相当に厄介な相手となることが予想される。サーディが川北のように吉野のスタイルを細部に渡りチェックしてくることはないだろうが、それでもクリンチの前後については何らかの準備をしているはず。吉野としても自らに変化を必要なことを理解しているだろうが、この試合間隔では劇的な変化は望めない。それでも今後を見据えた吉野に些細な点でも動きや思考にいかなる変化が見られるのか。非常に気になる、そして大切なサーディ戦だ。
今大会のメインはUAEWライト級王者アムル・マゴメドフが、アレックス・ダ・シウバの挑戦を受け同王座2度目の防衛戦に臨む。ヌルマゴ軍団25歳の新鋭で、キャリア8勝0敗のマゴメドフは当然のように力強いレスリング、高いテイクダウン能力を誇っている。が、ゴリゴリのレスラーでというわけでもなくシャープな打撃の持ち主で、首相撲&ヒザ蹴りからレスリングに移行するなど、組みへのエントリーも豊富だ。
近い距離での打撃は粗いが、遠目のミドルやカーフ、何よりジャブを効かせる拳の力を持っている。組めばバックを制してRNCという勝利のパターンが確立しており、マゴメドフはUFCで戦う力を十分に有している。
対して、挑戦者のシウバはUFCで1勝3敗だったブラジリアン。リリース後はUAEWで3勝1敗という戦績を残している。伸びのあるハイキック、距離を詰めてのアッパーなどKOパワーを秘めている。それ以上に左に威力があり、マゴメドフも打撃が粗くなった時に被弾すると即昇天ということもあり得るだろう。
テイクダウン狙いにヒザ蹴り、ギロチンというカウンターアタックも持つシウバ。このアムル・マゴメドフとアレックス・ダ・シウバの戦いは、レスト・オブ・UFCで最もレベルの高いライト級タイトルマッチの一つといえる――注目の一番だ。
■視聴方法(予定)
2月23日(日・日本時間)
午前0時00分~UFC FIGHT PASS