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【SUPER RIZIN03】平本蓮 in アイルランド─02─「組み技をやるからこそ思う。やっぱり打撃は難しい」

【写真】組み技・MMAをやることによって、逆に打撃の奥深さに気づき、打撃技術を深く追求している(C)ABEMA

28日(日)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで行われる超RIZIN03で、平本蓮が朝倉未来と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

3月16日に朝倉との対戦が発表されたあと、平本はアイルランド・ダブリンへ渡り、コナー・マクレガーが所属すSBGアイルランドで約1カ月間の武者修行を行い、その密着動画がABEMA格闘チャンネルにて配信されている。

MMAPLANETではアイルランド滞在時の平本をキャッチし、マクレガーとの遭遇だけでなく、現地でのトレーニング内容について話を訊いていた。今回はインタビューの後編を公開。より深い打撃論について語ってくれた。

<平本蓮インタビュー Part.01はコチラから>


――全局面であらゆる打撃を使えるという意味ではMMAが平本選手に合っているかもしれませんね。

「組み技をやっているからこそ思うのが、やっぱり打撃は難しいんですよ。例えば空手の型をしっかりやって、それをミット打ちでできるようになって、対人で当てる練習をして、実際の試合で出す…そこまでが必要になりますからね。だからMMAを始めてからの方がキックの試合を見る回数が増えたんですよ。K-1時代はMMAの試合を見ても選手が何を狙っているか分からなくて、今は段々とそれが分かるようになってきたんですね。逆に今はキックの試合を見ても選手が何を狙っているか分からなくなってきて、そのくらい視点がMMA寄りになってるんです。だから自分のオリジナリティを出すために色んなスタイルにも挑戦しているし、毎回毎回スタイルを変えてやっています。今はそれをアイルランドでも模索しているところで、この作業は楽しいですね」

――しかもその作業・練習を海外でやるのもいいですね。

「海外に来て思ったのが、キックボクシングをやっている選手は頭がおかしいと思われてますよ(笑)」

(C)ABEMA

――そうなんですか!

「僕もK-1やキックをやっていたと言うと、あんなキツイことをやっていたのか!と驚かれます。頭がおかしいは言い過ぎだけど(笑)、普通はやらないことをやっているという部分でリスペクトされますね。確かに3分3R・パンチと蹴りだけでひたすら打ち合うのは過酷ですよ」

――以前、平本選手がMMAの練習を始めた当初にジムで会った時に「今思うとK-1ルールの練習はマジでキツイです」と言っていたのを思い出しました。

「自分も長く格闘技を続ける意味でも、レベルが高い相手とスパーリングするときは強度が強めのマスにして、お互いの技術を交換するくらいにしてるんですよ。双方にダメージを与えないように。技術があるもの同士のちょうどいい力感があるんで。でもそれって技術を伸ばすための練習にはなるんですけど、いざ試合になった時の倒しに行く練習にはならない。だから倒す気持ちでやる練習やスパーリングをやっておかないと、K-1時代の倒す感覚が薄れちゃうなと思いました。海外は選手がたくさんいるので、比較的そういうスパーリングが出来るんですけど、日本ではなかなか難しい部分があるので、打撃専門のジムに練習にいくかスパーリングパートナーを探そうかなと思っています」

――もちろんわざと怪我させたり、壊したりするようなことはしないと思いますが、そのギリギリのラインのスパーリングも必要ではあるということですね。

「スパーリングの強度や頻度は相手のことも考えないといけないし、相手と信頼関係があるからこそ出来ることだとは思いますけどね。多少こっちが攻めることが出来て、やられるリスクがない・色んな技を試すことができる、そういうスパーリングができる環境を整えたいです」

――いざ試合中に「倒しに行け!」と言われても、その経験や感覚がなかったら、何をやっていいか分からなくなりますよね。

「はい。だからアイルランドに来る前に岩﨑(達也)先生や大塚(隆史)さんと『強い選手ともスパーリングするし、余裕を持ってMMAが出来る相手や色んな相手と手を合わせてきます』と話していて。細かい対策は日本でチームを組んでやるので、アイルランドではそれ以外の練習・スパーリングを大事にしています。もちろん強い相手とスパーリングするとディフェンスの集中力が上がるので、ディフェンス技術は上がるんですよ。でもそれと攻める・倒す技術は別物なので。ちゃんと目的を持って取り組んでいきたいです」

――先ほどはマクレガーのチームの話もありましたが、トップ選手の中には強い・レベルが高い選手たちだけでチームを構成するのではなく、スパーリングや技の受け役になるようなメンバーを用意していることも多いですよね。

「そうなんですよ。ちょうどコナーのチームにも動きがガチガチに固くて『これで大丈夫?』みたいな選手がいたんですけど(笑)、おそらく目的に合わせてスパーリングパートナーを用意しているんだと思います」

――特に平本選手の場合はK-1からMMAに転向して、よりレスリング・組み技に時間を割くことが多くて、倒す感覚が鈍っていた部分はありますか。

「はい。あとは組みを覚えたことじゃなくて、スタンドだけじゃなくてパウンドとか、もっとトータル的に打撃を強化したいというか。いい意味でスタンドにこだわりすぎずに自由に打撃をやりたいと思います」

――練習環境や練習相手をどう整えるのかもセンスですよね。

「それについては大塚さんがそばにいることの安心感が強いです。大塚さんは本当にMMAのことを常に考えている人なんで。大塚さんはレスリング出身で、僕も目指すところは組みやグラップリングでも自分から攻める選手だから、そういう練習もやっているし、そこに中原(由貴)さんがいることも心強いです」

(C)ABEMA

――ここから試合まではどこを意識して練習いこうと考えていますか。

「とにかく自信を持って試合をやるために。アイルランドに来た理由もコナーに触れるのもそうですけど、強くなりたくて来たわけだから。努力した方が勝ちというわけじゃないし、勝った方が正義なんですけど、僕は悔いなくやりたい」

――平本選手は自分に必要だと思ったことはやらないと気が済まないタイプですか。

「そうなんですよ。試合前に不安になるのが嫌なんで、試合のためにやりたいことは全部やって試合を迎えたいと思っています。それで今の自分はいい意味で頑張っていないというか『俺、頑張ってます!』みたいな感じがないんですよ。誰かに見せるためじゃなくて、自分のためにやりきりたいから」

――以前、SNSで「練習動画を出すのは好きじゃない」ということも発信していました。

「僕は試合で一番カッコいい自分を見せたいし、そのためにはトレーニングと練習が必要だけど、それを試合以外で見せるのが嫌なんですよ。周りから『平本は練習を頑張っている』と思われるのも嫌だし、なんか同情してもらおうとしているみたいで好きじゃないです」

――多くの注目を集めている朝倉未来戦、どんな試合を見せたいですか。

「試合としては1Rでスパっと勝つのが理想ですけど、そう簡単にはいかないことも想定しています。最近はK-1時代の地力の強さをMMAで出せるようになってきたことが強みになっていて、技術だけじゃなくて身体能力も上げていきたいし、今まで見せてなかったスタイルを見せたいなと思っています。試合までに色んなスタイルを作って、当日を迎えるので楽しみにしていてください」


■視聴方法(予定)
7月28日(日)
午後2時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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