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【PFL Euro2024#01】ガラスの破片が指に?! キック✖レスリングは沸点直前に世にも奇妙な幕切れに

【写真】例えばの話で──階級は違うが、平本蓮が太田忍と戦ってこれができるのか──というMMAをドゥンベは見せていた。そしてシャンソウディノフが求めるファイトマネー増額も然り。銭の取れるMMAだった(C)PFL

<ウェルター級/5分3R>
ビソングール・シャンソウディノフ(フランス)
Def.3R1分21秒by TKO
セドリック・ドゥンベ(フランス)

キック王国、GLORY世界王者だった知名度は抜群のドゥンベがアコー・アリーナの満員のファンの大声援が迎えられる。同じフランス国籍を持つシャンソウディノフに大ブーイングが浴びせられるなど、館内は異様な雰囲気だ。

前足重心で低い姿勢のドゥンベが、まず左ボディを伸ばす。右ローをキャッチしてテイクダウンに成功したシャンソウディノフに、ドゥンベがバタフライガードから即立ち上がる。ドゥンベのジャブに、シャンソウディノフが右オーバーハンドを合わせようとする。ドゥンベは右カーフ、シャンソウディノフが左ローを掴んで、2度目のテイクダウンを決める。

ドゥンベはここもバタフライガードを取るが、シャンソウディノフが左足を抜く。スクランブルのドゥンベはバックにつかれて前転から立ち上がるが、背中を譲った状態が続く。シャンソウディノフはケージにドゥンベを詰め、クレイドルからダブルレッグに移行して3度目のテイクダウンを決める。蹴り上げからスタンドに戻ったドゥンベをボディロックでスラムしたシャンソウディノフ。ドゥンベはここも立ち上がり、間合いを取り直す。残り30秒、左ジャブを伸ばすドゥンベに対し、右を当てたシャンソウディノフが初回を取った。

2R、初回より近い位置でジャブを伸ばすシャンソウディノフ。左リードフック、ジャブを繰り出すドゥンベが圧を高める。シャンソウディノフもボディにボディを打ち返し、その圧に飲み込まれないように戦う。パンチを怖がらないシャンソウディノフと、テイクダウンを警戒こそしても逃げのファイトにならないドゥンベ──しっかりとMMAが成立している。と、テイクダウン狙いに左を合わせたドゥンベは姿勢を乱したにシャンソウディノフジャブから、ここでもローを繰り出す。

さすがにローは減ったが、ドゥンベはジャブで前に出る。強烈な勢いのフックに、シャンソウディノフがダブルレッグへ。左を差し、ケージを利して倒されないドゥンベに対し、シャンソウディノフが自ら離れる。ドゥンベは圧を掛け続け、右をヒット。シャンソウディノフの質量、明白に落ちる。左右に回るシャンソウディノフは、テイクダウン狙いも右を被弾しラウンドを失った。

最終回、引き続き低い獅姿勢で左から右を伸ばしたドゥンベは、シャンソウディノフのテイクダウンを切ってついにコンビを決める。強烈な圧を受けたシャンソウディノフがステップバック、ドゥンベはここに追撃の右を伸ばす。と、1分を経過したところでドゥンベが左足を指さし、レフェリーに何やら話しかける。試合続行を命じられたドゥンベは、ここで前に出なくなる。と、引き続き左足に関して何かを伝えようとするドゥンベに対し、レフェリーが試合続行不能と判断して、試合をストップ。

騒然とする場内でレフェリーは試合を続けろと言ったが、そうしなかったとドゥンベに説明。そのドゥンベは左足の親指に不具合が生じ、タイムアップを要求していた模様だ。

何か反則行為があったわけでない、体の負傷にタイムが与えられるという慣例はMMAにはない。が、突然の閉幕に観客は大ブーイングを注いだ。

「試合を止めたいなんて思わなかった。見ての通りね。今も痛いんだけど……僕は嘘つきじゃない。小さなガラスの破片が、足に刺さっている。どこで踏んだのか……ケージの中なのか……とにかく、ただ破片を取り出したかっただけなんだ。でもレフェリーが試合を続けろというから従った。対戦相手も、僕の足に何かあることを確認して『取り出せよ』と言って攻めてこなかったんだ。僕らは動きを止めて、レフェリーを見たら試合を止められた。何て言ったから良いか分からない……」という英語の説明にブーイングのファンに対し、ドゥンベは苦笑いを浮かべフランス語で再度状況を話した。

その説明をシャンソウディノフも笑みを浮かべながら聞くという、世にも奇妙な幕切れとなってしまい──当然のようにドゥンベは再戦を要求。シャンソウディノも「セドリックはキックのレジェンドで尊敬している。こんな勝ち方は望んでいなかった。もちろん、再戦をしたいから、もっと高いファイトマネーを用意してくれ」とコメントした。


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