【Wardog44】関西フィーダーショー=ワードッグ柿原勇気代表─02─「選手を囲い込んでも強くなれない」
【写真】今大会のメインはMAGISA×しゅんすけのフライ級選手権試合(C)WARDOG
22日(日)、大阪市港区の弁天町世界館でWARDOG CAGE FIGHT44を開催する、柿原勇気代表のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
立ち上げから来年で10年目を迎えるワードッグから、他団体に出場する選手も増えてきた。柿原代表はワードッグに出場している選手を囲い込むようなことはしないという。「チャンピオンになったら、どこに出ても良い。他でワードッグの名前を広めてほしい」と語る、柿原代表とワードッグにとっての選手育成とは?
<柿原勇気代表インタビューPart.01はコチラから>
――ワードッグがスタートした時、地下格闘技の方面から反発はなかったのですか。
「当時は良く思われていなかったんじゃないですか。でも今は選手を囲うようなことをしたら選手のほうから離れていく。それは地下格闘技の主催者やチームも分かってきていて、ちゃんとMMAをやりたい選手をワードッグに出してくれるようになりました。
選手も選手で、コンプライアンスというものが分かってきましたよね。細かい法律の内容はともかく、『こんなんしたらアカンな』ということは知るようになってきました。みんな変わらざるをえなかったんです。主催者もチームも、行儀が悪い連中は切らざるをえない。そういう選手がいると、格闘技を続けていかれへんから」
――ワードッグが継続されるなかで、練習面でも意識は変わってきたのでしょうか。
「技術的な面もそうです。たとえば地下格闘技で腕に覚えがある子が、ウチのジムへ練習しに来るじゃないですか。まずスパーでウチの選手が完全に漬けて、『このレベルではワードッグに出ても勝たれへんよ』と教えます。地下格闘技は、寝かされたら立てない場合が多いです。でも、やる気のある子たちは一度やられたら、寝技を学ぼうと自分で柔術の道場を探したり、レスリングの練習をするようになる。ちゃんとMMAを勉強したうえで、さらに自分の良いところを伸ばそうとする――そうやって変わっていかざるをえなくなりますね」
――本当にイチから、ということなのですね。そうして選手を育成しているワードッグにとって、新生グラジエーターはどのような存在だったのでしょうか。
「共存共栄という言葉があるじゃないですか。別に共存するつもりはありません。存在するには各々が頑張っていれば良いことやから。でも共栄――共に栄えるために、一緒に何か考えていきましょう、という話をグラジエーターの櫻井(雄一郎代表)さんとしています。
結局、考えて辿り着くところは同じなんですよ。先ほどお話したとおり、登っているのは格闘技……MMAという同じ山やから。たとえば今、グラジエーターさんは海外から強豪を呼んでいますよね。我々は以前から韓国に選手を派遣してきました。もう日本人選手だけで試合を組んでいても強くなれない。国によって、いろんなMMAのやり方がある。それを知ることも選手の今後にとって、大きな財産になると思います。今や一つの団体が囲い込んでいては、選手も強くなれないわけで」
――はい。
「自分の中に『日本なら、この団体で華を咲かせよう』と決めることは大切です。一つの団体で強くなれないのに、他の団体に行って勝てるかどうかは分かりません。でもWARDOGとしてはチャンピオンになったら、次にどこで試合しても良いです。ただ、他の大会に出る時も僕が窓口になっています。それはワードッグが選手を囲みたいわけじゃなくて――契約とか、そういうことも分からない子たちばかりなんですよ(苦笑)。ウチのチャンピオンになって、○○に出てみたいけど、どうやって交渉すればいいのか分からない。だったら僕が話を聞いてみるよ、というだけで。そのほうが選手も、他の団体さんも楽やと思うんです」
――他団体との契約方法まで含めて、イチから育てていくということですか。
「海外の大会へ派遣するのも、海外への行き方も学んでほしいという気持ちもあるんです。昔の話ですけど、韓国の試合が決まって飛行機も決まった選手が『15分前集合で良いですか?』と言ってきて。『良いわけないやろ! 飛行機に乗ったことないんか!?』と(笑)」
――アハハハ! そう考えると、MMAをやっていなければ人生で経験しなかったかもしれない、ということも多いかもしれません。
「そうなんですよ。だから、いろんなことを経験してほしいし、学んでいってほしい。極論すると、ワードッグを経験したあとに何をしようと別に構わないんです。そのままプロになってMMAを続けるでも良いし、ブレイキングダウンに出たければ出ても良い。全く違う仕事に就いても良いです。何であっても、ここで教わることは格闘技だけじゃなく、その後の人生にとっても絶対に必要なことやから」
――初期ワードッグで印象深かったのが、アマチュアの試合で韓国人選手や日系ブラジリアン選手と対戦できていたことです。アマチュア時代に、あの経験はとても大きい。
「今はアマチュアを止めてNGFに移行していますね。日系ブラジリアンの場合も、地下の選手と同じパターンなんですよ。彼らは柔術以外の試合に出場する方法が分からなくて。あと韓国からも、やっぱりMMAの経験を積みたいという話が結構来るんです」
――本当にイチから育てる、まさに日本版フィーダーショーですね。
「フィーダーショーという言い方をすれば、NEXUSさんはコンセプトも同じで、代表の山田さんとは話が合いますね。今はNEXUSさんと選手の行き来はないけど、いずれフィーダーショーとして何かしら協力関係をつくっていくことがあるかもしれないです」
――では次の大会について見どころをお願いします。
「まずはメインですね。MAGISAはレスリングの実績もあるベテランで、しゅんすけは初めて見た時に『コイツは強くなるな』と思った新鋭です。そういう分かりやすい試合ですね。このタイトルマッチで勝った選手に、ワードッグ王者として海外の試合を経験させたいです。あとはライト級のマッチメイクが多くなっていますが、この階級は来年のタイトルマッチに向けて挑戦者を決めていきたいと思っています。あとはぜひNGF枠で選手がイチから育って羽ばたいていく過程を、ぜひ見てください。よろしくお願いします!」
■WARDOG44対戦カード
<WARDOGフライ級タイトルマッチ/5分5R>
[王者]MAGISA(日本)
[挑戦者]しゅんすけ(日本)
<ライト級/5分2R>
後藤丈季(日本)
そのまんまたなか(日本)
<ライト級/5分2R>
キンコンカンコンケンチャンマン(日本)
ユン・チュル(韓国)
<フェザー級/5分2R>
DAIGO(日本)
秋田良隆(日本)
<ウェルター級/5分2R>
前田慶次(日本)
SAIDER(日本)
<バンタム級/5分2R>
セイヤ(日本)
カーレッジユウキ(日本)
<フライ級/5分2R>
岩本尚(日本)
よしひと(日本)
<グラップリングマッチ ウェルター級/5分1R>
坂本オーズ昌良(日本)
ジャンジュオン(韓国)
<グラップリングマッチ ライト級/5分1R>
白樫忍者(日本)
ユ・エンホ(韓国)
<NGFライト級/5分1R>
だいち(日本)
REN(日本)
<NGFフェザー級/5分1R>
RYUSHI(日本)
淳平
<NGFバンタム級/5分1R>
アダチコウキ(日本)
それゆけケイタっち(日本)
<NGFバンタム級/5分1R>
涼河(日本)
将太(日本)
<NGFフライ級/5分1>R
小西澄斗(日本)
PANTHERBOYショウ(日本)
<NGFフライ級/5分1R>
太一(日本)
真鍋陸(日本)
<NGF女子ストロー級/5分1R>
プリンセス☆サアヤ(日本)
チャッキー☆ルビ(日本)