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【ONE FN12】まさかの計量失敗、再び。若松佑弥が2日前に話していたこと。「暴力というテクニック」

【写真】顔を上げ、ひたすら勝利目指し。勝って、頭を下げれば良い (C)ONE

明日15日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN12「Superlek vs Khalilov」で、若松佑弥はシェ・ウェイとフライ級3回戦で戦う予定だった。

昨年11月のウ・ソンフン戦で体重は落とせてもハイドレーションをパスしなかった若松は、今回はハイドレーションはパスしても135ポンドのリミットに対し下着を脱いでも135.5ポンドと0.5ポンド(226.79グラム)オーバーに。

その後2度トライした再計量ではハイドレーションに失敗した若松に対し、シェ・ウェイは3度目の計量で両方でパス──この試合はキャッチウェイトマッチで実施されることとなった。

水抜き防止のためにハイドレーションが導入されたONEの計量では、ミスをするファイターが後を絶たない。今大会もメインのムエタイ戦出場のスーパーレック・ギアットムーガーオ、MMAでは同じくフライ級のヴァウテル・コンサスベスが計量失敗となっている。

MMAPLANETでは若松を12日(水・同)にインタビュー。トレーナーを帯同し、計量に向けて絶対の自信を持っていた若松は、MMAファイターとして原点回帰することを断言していた。もちろん、計量をパスした選手の方が圧倒的に多く、2試合連続の失敗は弁明の余地が所属するTRIBEとしてないのは確かだ。と同時にシェ・ウェイが200グラム超過のキャッチ戦を受けた。この時点で、両者の立ち位置は全く変わらない。若松は気持ちを入れ替えるということでなく、ただ勝利を掴むために邁進してほしい。

良心の呵責など、試合が終わるまで必要ない。ここは人間性より、試合に勝つための人種=ファイターとして明朝のリングに上がり、インタビューで話していた通りの試合を実践するのみだ。


──去年の11月以来の試合となります。色々と考えることがあったと思いますが、改めて試合に向けてのどのような気持ちですか。

「順調で、ベストコンディションですし、最後まで気を抜かずにいきます。その時、その時を本気で生きてきて、今に至っています。練習環境もベースは変えないで、補助的に悪かったところを見直してきました。全てを変えてしまうと、良い所も失ってしまうので。そこは変えずにやってきました。前回の負けも必然だったと思えるまで、全力でやってきました」

──長南さんがキルクリフFCを視察し、帰国後はより声を出して厳しくするとアマチュアの子たちが来なくなったという話を伺いました。

「まぁ、そういう風になりますよね(笑)。でも、しっかりとした子は変わらずに練習を続けて育っています」

──ハイドレーションの失敗を経験して、普段の体重をフライ級のリミットに近くすると言われていましたが、普段から61、2キロに近い体重で過ごすようになっていたのでしょうか。

「自分は結構、摂生している方だと思います。そこは変わらず──です。前回はONEで8試合しているうちの、1つの試合。そういう風に思っています」

──既に頬がこけていますが。

「体を見たら、ビックリしますよ(笑)」

──ではここで上半身を見せて欲しいのですが、我慢します(笑)。セレモニアル計量でなく、本計量の前後の写真を送ってきてください。それを楽しみに待ちますね。

「ハイ(笑)。堀江(登志幸TRIBEフィジカルコーチ)さんのお陰で、しっかりとフィジカルをやってきて。今回はタイまで帯同していただいて、そっちの計量の面でもバッチリです」

──対戦相手のシェ・ウェイですが、どのような印象を持っていますか。

「素晴らしいファイターで、本当に強い選手です。尊敬しています。自分も凄く好きな選手です」

──打撃は強い。しかし、組みには穴があると思っていたら、ジムごとタイに移動してロシア人コーチを雇い、しっかりとレスリングやグラップリングもやり込んできたと自信を見せていました。

「まぁ、気にしないです。それがMMAファイターです。穴がある方がおかしい」

──ではどのようなところに気を付けないといけないと思っていますか。

「やっぱり近い距離のパンチには気を付けないといけないです」

──そこに対して、若松選手がやるべきことは?

「貰わないことは第一で。でも、試合だから貰う覚悟はあります。勝負に出て打ち合う場面も出てくるだろうし、そこもしっかりとやります」

──MMAで勝てば良い。でも喧嘩になっても負けないということを内包していないといけない。そういう難しさが、今のMMAにはあるかと。

「振り返ってみると、自分が理想にしていたのはテイクダウンをしても、しっかりと殴って削ることだったんです。キックボクサーやボクサーでなくて、MMAでも打撃を入れること。テイクダウンしても殴って、そこで立ってきてもまた倒して殴る。相手がビビってくるようなことをする。そうすることでテイクダウンの振りをして、また殴ることもできる。

雑でも良いので、寝かせたら寝ている状態の相手を殴る。自分がメチャクチャだった時代を思い出すわけじゃないですけど、俺はそれしかできない。上久保(周哉)さんや(和田)竜光さんのように理詰めで行くのではなくて、もっと暴力的に戦うつもりです。背中を見せるようなら、スルっと入るんではなくて暴力的に絞めるみたいな感じで。寝技だって喧嘩をする。それが僕の理想だったはずで。

それが現代MMAになると、よりテクニカルになる。そこを自分のモノにしようとする余りに、殺傷能力を失っていました。テイクダウンして抑えることができるようになると、打撃ができないレスラーのような戦い方をするようになったので、もっと自分の拳に自信を持って──その武器を持っているので、しっかりと使おうと思います。自信を持って寝技になった時に暴力をしたい。そういうイメージですね。殴り合いに自信を持っている人間と、足を止めて打ち合うのではなくて。それってベアナックルファイトになってしまうので、蹴りもヒザも使えるし、際でエルボーも入れてテイクダウンもできる。全局面で喧嘩してきます。なんか……話し過ぎましたね(苦笑)」

──いえいえ、ありがたいです。それができるのも、しっかりとテイクダウンをして抑えて勝つという努力をしてきたからではないでしょうか。

「しっかりと抑えて時間を使うという考えを持ってしまっていたのですが、僕が『抑えました。じゃあ殴る』という戦いをした時に、打撃しかない人間が勝てるわけがない。これまでの試合で学んできた、暴力というテクニックが出るんじゃないかと思います。やっぱり、ちょっとしゃべり過ぎましたね(苦笑)」

──Road to UFCで再確認させられたのは、世界中が強い連中ばかり。それはUFCだからでなく、ONEで戦う中国人ファイターも同じことだと思い直せました。若松選手や和田選手は、名前はないけどそういう相手と戦ってきた。今回も弱いわけがないシェ・ウェイ戦、何を見せてくれますか。

「まず自分に打ち克って、自分のやるべきことをやる。負けたらいけないとか、相手が強いとか思い込んでしまうので、まずは自分に打ち克って、自分のやるべきことを15分間しっかいとやる。そうすれば自ずと相手は倒れているので、楽しみにしてほしいです」

■放送予定
7月15日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

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