【RIZIN LANDMARK05】不規則リズム=山本空良戦へ、金原正徳「僕にしかないできないMMAがある」
【写真】1日1日が楽しいMMAファイター人生──。とはいえ裏番長の実力は誰もが認めているはずだ(C)MMAPLANET
29日(土・祝)、東京都渋谷区の代々木第一体育館で開催されるRIZIN LANDMARK05で金原正徳が山本空良と対戦する。
牛久絢太郎✖朝倉未来、斎藤裕✖平本蓮、そしてクレベル・コイケ✖鈴木千裕──さらにヴガール・ケラモフというフェザー級のRIZINトップ戦線で、誰もが認める実力を持ちながら、彼らとの対戦が実現しない。
今回の対戦相手となった山本の力を認めつつも、意中の相手ではないと言い切った金原だが、彼にはどのような疑問も凌駕するMMA愛が存在している。
──金原選手のインタビューはMMAPLANETでは、4年5カ月振りです。実は昨年4月のRIZIN TRIGGER03前に取材させていただいているとばかり思っていました。
「あの時、ケージの試合だったのに摩嶋(一整)選手の方をやって、俺にはなかったから怒ったんですよ。で試合が終わったら『やっぱ、強いよ』みたいな感じで言ってきて。『この野郎、コイツも掌返ししやがって』って(笑)」
──アハハハハ。ということで、今日は貴重な話をありがとうございました。また試合後に話をきかせてもらいます。
「いやいやいや、冗談っスよ(笑)」
──まぁ、それでFIGHT&LIFEで2月に話を聞かさせてもらった時に4月29日に試合がある。ただし、目当ての相手と戦うことは難しそうだということでした。あの直後に山本空良選手との試合が決まったのですが……。
「インタビューの時点で『かもね』ということは聞かされていて、『まぁ、しょうがないか』という気持ちではいました。あと、何試合できるか分からないから自分のなかでは、自分が強いと思っている選手と戦いたいというのがあって。『1年待って、こうか』というのが正直な感想ッスよね。
RIZINのなかで戦いたい選手はいます。でも、自分とかは煙たがれる存在ですしね。フェザー級でこれだけの試合が組まれているのだから、まぁしょうがないですよ。ただ日々、自分の想うところも変って来て。クレベル(コイケ)と戦いたい、上の選手と戦いという気持ちもありますけど、消化していくしかねぇっていうのが今の気持ちです。
そりゃあ強いヤツ、名前のあるヤツと戦いたいです。でも、一周してくるとMMAができりゃ良いやっていうことになってくるんですよね。誰と戦おうが、どこで戦おうが自分がMMAに携われる期間って凄く大切だと思うし。この1日、1日が楽しいから。そういう意味では満足していますしね」
──金原選手とは練習場所で顔を合わせる機会がありますが、どこにいても楽しそうです。
「それは詰まるところ、格闘技がバカみたいに好きなんだって。そう改めて思うし。今、『寝技が詰まらない』とか『MMAは格闘技じゃない』とか、色々と言われる時代ですけど──そんなのに反論するのが、馬鹿馬鹿しくなるくらいMMAが好きだなって自分で思っちゃいます。
MMAって究極の格闘技、究極のスポーツだと思うし。でもキックだって、ムエタイだって、柔術だって、何だって皆が一生懸命にやっていることで。だからMMAや寝技に関して、誰が何を言おうが何とも思わない」
──まぁ何でも話題になりゃ良いのと、そうではないけどその世の中にいるという感じになりますか。そんななか意中の対戦相手か否かという部分で、強い選手と戦いたいという意志を持ち続けているからこそ、年齢を重ねると上だけでなく、下から突き上げてくる選手も強くはなってくるのでその範疇に入って来ることがあるかと。
「今、自分に求められているのはこういうことで。時代に合わせてやっていかないといけないから。今もトップを目指してやっているつもりではいますけど、今更スターになりたいとかっていう気持ちはないから。自分が楽しめて、周りが笑ってくれる。ホント、それだけッスね。他のモノは求めていない」
──では山本空良選手のことは、MMAファイターとしてどのように評価していますか。
「山本空良選手のこと、決して凄く弱いなんて思っていないし。空良君はカイル・アグオンに勝っていますし、強くなっています。かといって自分が求める相手かといえば、それは違う相手だけど……。実は今日、初めて対戦相手として試合映像を視ました」
──そうなのですか!! 試合が決まって2カ月以上経っているかと思うのですが。
「彼との試合が決まった時に八隅(孝平)さんとミットを持ってもらっているトレーナーに映像を視てもらって、その時にこうやって創っていこうというアドバイスがありました。それを1カ月半ぐらいかけて創って来て──今日、最後のスパーリング(※取材は20日に行われた)だったので映像を視て、今まで創り上げてきたモノの確認作業をしました。ここまでやってきたことは、間違っていなかったです」
──山本選手、もちろんMMAを戦っているのですが、金原選手とは明らかに違うリズムというか。相手の攻撃を見る。付き合うというのか、それでいて自分の攻撃になっている。自分のエゴをぶつけるMMAとは明らかに違う、異文化MMAに感じます。そして、あの間が実はガチガチのMMAファイターである金原選手にとって、何か嫌なリズムになるのではないかと。
「不規則なリズムだなとは思いました。自分はリズムを大切にして戦うタイプなので、空良君との試合では自分のリズムが狂ってしまうことを一番警戒していました」
──個々の局面では金原選手、MMAとして全てを合わせても金原選手。ただし、あのリズムや間で、金原選手の動きを狂わせる可能性があるのではないかと。
「それは自分も思っていて、一番気を付けるべき点です。自分がこれまでやっていないタイプの選手が、空良君なのかなって。『アレ、やりにくいな』と思うこともあるだろうし、気付いた時にはやられてしまっていることもあるかもしれない。そこだけは気を付けていきたいと思っています。あっ、あと──怖さがない」
──あっ、それですね。まさに、それです。だから、妙な間というか。
「八隅さんが言うには、だからこそ『暴力に屈しない』と。もしかすると、俺のプレッシャーにも屈しない可能性がある。良くも悪くも敏感ではない。だから空良君は誰と戦っても良い試合になります。ヴガール・ケラモフと戦っても、ネクサスで若い子と戦っても判定になってしまう。突出して何かが強い相手よりも、やりにくさはあります。何よりフィニッシュされていないのが、彼の強味だと思います。だからこそこの試合、自分は完全に制したいです。制圧、フィニッシュしたい。
それに何だかんだと言って、自分がやってきたベースを空良君が崩すのは難しいことだと思いますよ。しっかりとベースを創りながら、打撃にしてもレスリングにしても、柔術にしても向うに付き合わずに戦う。そこだけは創っていきたいです」
──金原正徳が創り上げてきたMMAは、ファンも堪能できるモノかと思います。金原選手は自身で「マニアック」と卑下するところがありますが。
「そこは……僕がやってきたMMA、僕にしかないできないモノがあるので。今更トラッシュトークとかして試合を盛り上げようとは思わないですし、自分がやってきたMMAを否定するようなことはしない。自分がこれまでやってきたことを一つの作品として、皆さんに見てもらう。これが今まで僕が真剣にやってきたMMAですよ──というのを見てもらいたいです。
それを見て納得してもらえないなら、自分はそれまでの選手です。時代に合わせて選手生活は送るけど、時代に合わせて自分のMMAのスタイルを変えることはない。もちろんルール、ジャッジの裁定基準に適応して戦いますけど、無理から派手な試合をしようとか、目立とうとか、そういうことはないです。自分にしか出せない緊張感、MMAという作品を皆さんに見てもらいたい。そういう気持ちはあります」
──その結果、意中の選手との対戦に結び付けたい?「なかなか、そこを正当化するのは難しいです。それはRIZIN側が決めることだし、お客さんが決めることです。今年でデビュー20年、今も皆とこうやっていられるのが楽しいですし、注目された舞台で試合ができることも幸せで。他に何を望むのっていうことになっちゃいますね」
■視聴方法(予定)
4月29日(土)
午後2時30分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,スカパー!