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【RIZIN LANDMARK05】V.V Mei戦、覚悟を持った再出発。浅倉カンナ─01─「もうやるしかないんだから」

【写真】ここは上を目指す選手が、必ず通る道(C)MMAPLANET

29日(土・祝)、東京都渋谷区の代々木第一体育館で開催されるRIZIN LANDMARK05で、V.V Meiと対戦する浅倉カンナ。

昨年7月にパク・シウに敗れスーパーアトム級GP初戦敗退に終わった浅倉は3月3日に行われた会見で、この敗北を受けて自身のキャリアに対してネガティブになっていたという発言をした。

2014年のデビューから早くも8年の月日が過ぎ、RIZINで戦うようになってから6年半が経過した。積み重ねた試合数は26試合、そして感じるトップとの差。キャリア最長の試合間隔を経て、再び覚悟を持って戦う相手は日本の女子MMAを引っ張ってきたV.V Meiだ。最後に輝く舞台として、ONEからRIZINに戦場を移してきた先人との対戦、自らのキャリアの再構築に関して浅倉カンナは何を話したのか。そして世界最強女子MMAファイターの邂逅が彼女に何をもたらしたのか。


──会見で話していた「ネガティブになっていた」という部分、もう少し詳しく話してもらえますか(※取材は3月3日に行われた)。

「トーナメントのベルトは獲りましたけど、階級のベルトは獲れていなくて。RIZINに出させてもらってそこをずっと目指していたんですけど、あの1回戦で負けるということは相当に遠いし、もう無理。目指せないかなって負けた直後は思っていました。でも、少し休んでジムに練習に行くと、先輩や後輩が毎週のように試合があって。皆の姿を見ていると、格闘家としてもうちょい挑戦しようかなっていう想いになってきて。それから、大分時間は空いてしまったのですが、このオファーを貰って『もう1回やるかぁ』という感じですね」

──この先が見えていなくても、道場には足が向かうのですね。

「ハイ。毎日のように練習には行っていました。なんですかね……強くなろうとかっていう気持ちも負けた直後にはなくなっていました。でも、ジムで練習することは楽しいです。皆、頑張っているし」

──パラエストラ柏、今やカンナ選手より若い選手が増えていないですか。

「めちゃくちゃ増えました。後輩ばっかりで。自分が入った時とは、雰囲気が違いますね。『ここで生き残ると強くなっている』という空気がジムの中に凄くあって。結構、皆頑張って続いているんですよ。

自分の後の世代ってなかなかプロに行き着く人がいなかったのが、今の子たちは負けてもアマチュアの試合に出続けて、プロになっています。もちろん全員じゃないですけど、そこまで頑張る子が増えています。だからジムの雰囲気も凄く良いと思います」

──だからこそ、常に勝利だけでなく、敗北も周囲にあるということですね。

「(鶴屋)怜君は突っ走っていますけどね(笑)。頑張っていても、大切な試合で負ける選手もいます。それでも、辞めないで頑張っている。そこに関しては下の子たちよりも、上の先輩たちを見てそう思いました。やっぱり扇久保(博正)さん、岡田(遼)さん──」

──いやっ、岡田選手は違うはずです(笑)。ジムの選手の取材があると知れば練習に駆けつけて、第二の人生のために練習をしています。そこには扇久保選手のような純粋さはない(笑)。

「アハハハハハ。岡田さんのこと、めっちゃ否定しますよね(笑)」

──年を重ねると、笑顔の裏にある本当の顔が見えてくるんです(笑)。

「自分にとっては偉大な先輩なんで(笑)。ホントに(内藤)頌貴さんもそうだし、黒澤(亮平)君もそう。私はRIZINに昔から出させてもらって目立っては来ましたが、格闘家としては皆が大先輩なんです。そういう人たちをずっと見ていると、自分の経験なんて全然まだ足りていないっていう気になります。先輩と比べるわけじゃないけど、やっぱり想うことが多かったです」

──また強くなろうと思えるようになったのは?

「正直、オファーを貰っても『試合するのかな?』という感じで、『よし、やろう』とはならなかったです。『うわぁ、オファーが来たぁ。どうしようかな、Meiさんかぁ……強いなぁ』っていう感じで。同時に練習をしていても、『ちんたらやっていてもしょうがないな』という気持ちもあったので、3カ月あれば準備もデキると思って戦うことを決めました。

ただケージに上がる時よりも、この3カ月という期間が怖かったです。また、あれだけの練習をして、自信を持って戦うことができるのかなって。実は返事をするまで、3日ぐらい悩みました。

Meiさんは他の団体で戦ってきた人だから、『ここで負けたら、どうしよう』とも考えましたし。勝って嬉しいという気持ちよりも、負けたらどうしようっていう怖さが勝ってしまって。そういう風な情けない自分も嫌で……」

──そのような時は、誰かに相談に乗ってもらったりするのですか。

「いえ。自分は相談とかは余りしないです。戦うのは結局、自分なんで。よし、やるかって。また一から並び直すことになったけど、上を目指そうという覚悟ができて試合を受けました」

──カンナ選手の奥底にあったものは、続ける。戦うということだったと思います。あとはスイッチがいつ入るか。辞める人は、悩むことなくもう辞めています。そういうなかで人に相談するのは、自分の考えに納得するための理由が欲しいから。答はもう出ているんですよね。

「あぁ、確かに。絶対にやりたくないという感覚ではなくて、本当に負けるのが怖かった。試合まで自分を追い込んで、自信を持って立てるのかということだったので。だからやると決めれば、もうやるしかないんだからって気持ちはスパッと切り替わりました」

──そのなかで2月にヴァレンチーナ・シェフチェンコが3週間、パラエストラ柏に滞在したことは刺激になりましたか。

「そこはメチャクチャでかくて。巡り合わせじゃないですけど、このタイミングでヴァレンチーナが練習に来てくれて、あの練習をさせてもらった。気持ちが変わらないわけがないですよね。この時期に来てくれたことが、本当に有難くて感謝しています。同じ空間で一緒にいて、直接手を合わせていない時でも、目で追うことだけでも勉強になりました。

自分、英語が全く話せないので会話ができたわけじゃないんですけど、練習に対する姿勢、トレーニングメニューとかからでも勉強になることだらけでした。向き合って肌で感じられたことは、メチャクチャデカかったです。まるで敵わなかったけど、自信になりました」

──やられて自信というのは?

「彼女があそこまで強くなれたのは、練習をしてきたから。練習をすれば強くなれると本当に思えるようになりました。コーチも柏の選手の名前を覚えて、適切なアドバイスをくれるんです。スパーリングを一緒になってやっていても、その顔合わせによってやることが違うんですよね。ヴァレンチーナだけでなく、皆のためになる練習をしてくれました」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
4月29日(土)
午後2時30分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,スカパー!

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