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【Kiwami01】手塚基伸戦へ、石黒翔也─02─「逆にケージへ押し込んでくれたほうが……」

【写真】ケージで戦うことで、どのような攻防が生まれるのか。楽しみだ(C)MMAPLANET

19日(日)千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示場8ホールで開催される極~KIWAMI~で、手塚基伸と対戦する石黒翔也のインタビュー後編。

前編ではギとノーギで異なる取り組み方、さらに5分1Rという極ルールについて語ってもらった。続く後編では、石黒が大学で専攻していたというトレーニング論に。ここもまたギとノーギでは異なる。さらにケージという要素が加わったら、どうなるのか――という質問に対する答えにも、石黒のスマートな面が感じられた。

<石黒翔也インタビューPart.01はコチラから>


――石黒選手は昨年1月にIREで今成正和選手とコンバット柔術ルールで対戦し、オーバータイムで勝利しています。あの試合から先日のアンライバルドまで、ノーギの試合には出場していたのでしょうか。

「いえ、ノーギは出ていないですね。今成戦もコンバット柔術なので、純粋なグラップリングはアンライバルドだけです」

――今成戦でギを脱いだ姿を見た時に、まず『バランスの良い体つきだな』と思いました。

「ありがとうございます。体重でいえば、柔術はフェザー級がナチュラルウェイトなんです。通常体重が65~69キロぐらいで(※柔術のアダルトフェザー級はギ込みで70キロ以下)。Unrivaledの試合はバンタム級まで落として、計量後は5~6キロ戻りました」

――ノーギの試合に出る前から、フィジカルトレーニングには取り組んでいたのですか。

「筋トレは一度ヘルニアになってから中断していたのですが、つい昨日から再開しました。それは次の試合に向けて、ということではなく普段から長期的にやっていないといけないものなので。僕は高校時代から筋トレをやっているんですよ」

――高校時代というのは、ボンサイ柔術で練習していた頃からですか。

「はい。中学生でボンサイに入って、16歳から筋トレを始めたので、もう10年になりますね。ジムのスペースは半分がマットで、もう半分がトレーニング器具という感じでした。そのあと大学も、パーソナルトレーナーの資格を取得できるところに通っていましたから。解剖学や栄養学の知識を生かして、今もジムで教えることができています」

――大学で専門的に学んでいたのですね!

「ボンサイにいた頃は、あまり体は大きくならなかったんです。なぜか、そのあとに成長期が来て(笑)。それと大学で専門的な知識を得たことで、ちゃんと鍛えることができるようになりました。特に今のほうが、柔術とリンクさせることができたので伸びてきたと思います。

ずっと柔術と筋トレは別に考えていたんですよ。まず柔術に必要そうな筋肉を鍛えて、それを柔術で使ってみるという。今は筋トレをしている最中に、相手を押したり引いたりするような動作をイメージして鍛えています。すると神経が脳まで繋がって、柔術の試合でも反応が良くなったような気はします」

――なるほど。筋トレでイメージする動きは、ギとノーギでは異なりますか。

「自分の中では、そこまで分けていないけど、ホールドする力などは違ってきますよね。たとえばノーギだとギロチンを取るとき、腕を内側に絞るじゃないですか。アームカールの時にその動きをイメージして、より内側に絞って一度止めてみるとか。あとグリップを鍛える時は、柔術だと4本の指でギを掴むんですけど、ノーギだと変わってきますよね。そうやって、とにかく無駄な筋トレはしないようにしています」

――ギとノーギで、それだけ筋トレの内容が異なるとすれば、今後はノーギをメインにしていくのでしょうか。

「いえ、そんなことはないです。実は4月2日に、IBJJFのシドニーオープンに出場します。6月のムンジアルに向けて出場ポイントを得るために。しかもギの階級別と無差別、ノーギの階級別と無差別――全てエントリーしています」

――えっ!? 極の2週間後ではないですか。

「現状、ギの無差別で優勝したらムンジアルに出ることができます。もし階級別で優勝、無差別で優勝できなくても表彰台に上がることができれば、あと1回どこかで勝てばムンジアルに出られるという状態なんです。ノーギも12月のノーギワールドに出たいので、今のうちに海外で試合を経験したい。とにかくギとノーギを並行してやっていきます。

もちろん難しいことは分かっています。さっきも言ったように、スタイルが全く異なるので。どちらかに集中したほうが良いという声もあります。でも僕の中では、両方やることで相互作用が生まれて、強くなっていることを実感しています。クロストレーニングみたいな形ですよね。そうやって強くなることができているうちは、並行していきたいですね。

もしシドニーで、ギの試合で負けたとしても、ノーギの割合を増やしすぎたのか――ということが国際的な基準で分かるじゃないですか。それも、やってみないと分からないので。僕がノーギを始めたのは2年前で、伸び幅を感じています。これから自分がノーギでどれくらい強くなるのかっていう気持ちが強いです。プロマッチも今は負けなしですし」

――まだまだ伸びしろがあるのは今後も楽しみです。対戦相手として手塚選手の印象を教えてください。

「RIZINの試合を見ると、本当にグラップラーという感じですよね。手塚選手はRIZINでヒロ・ヤマニハ選手と対戦しているじゃないですか(昨年3月にヤマニハがRNCで勝利)。ヤマニハ選手は、僕のボンサイ柔術の先輩で。その試合も見て、手塚選手のMMAグラップリングに対して、どう僕の柔術グラップリングが生かされているか考えています。とにかくディフェンス力が強くて、僕の好きなようにはさせてくれない。そこをどう崩していくか、ですね」

――もう一つ重要なポイントは、極の試合がケージで行われることです。ケージの試合となれば、やはり手塚選手に大きなアドバンテージがあると思われます。

「そうなんですよ。僕は今成さんとの試合しかケージを経験したことがなくて、全く慣れていません。ケージ際で動くと痛いですしね(苦笑)。でも僕のイメージとしては、アンライバルドのルールのほうがやりづらいと思っています。あの試合は、相手が後ろに下がっても良いルールだったじゃないですか。そこで相手が下がり続けると、僕がアタックできない展開が続きますよね。それがケージだと、相手が下がるとケージに追い込めるんです。そこから自分の展開に持ち込めると思っています」

――確かに、その通りです。一方で、ケージに追い込めるというのは相手にとっても同じです。手塚選手に追い込まれた場合は……。

「逆にケージへ押し込んでくれたほうが、僕が相手の足を取りに行きやすいんじゃないかと考えています。もちろん自分のアタックも潰される場面は出て来るけど、そのぶん相手が近くに来てくれるわけですから。そこで足を取り、ケージとは反対方向に転がって極めるとか、いろいろとイメージしています。別に、絶対にケージ際で戦おうとも考えていませんし。

とにかく今は、試合で勝つことだけに集中しています。極のルールは5分間という限られた時間ですが、5分間でも極めることができる。それが自分の強みですし、その強みを最大限に生かして最高の試合をお見せします。当日は応援よろしくお願いします」

■ KIWAMI01対戦カード

<66キロ契約/5分1R>
手塚基伸(日本)
石黒翔也(日本)

<73キロ契約/5分1R>
マイケ大浦(ブラジル)
芦田崇宏(日本)

<80キロ契約/5分1R>
岡本裕士(日本)
川中孝浩(日本)

<74キロ契約/5分1R>
新居すぐる(日本)
小見川道大(日本)

<スポーツ柔術62キロ契約/5分1R>
高橋逸樹(日本)
伊集龍皇(日本)

<70キロスペシャルエキシビション/5分1R>
村田良蔵(日本)
所英男(日本)

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