【Black Combat05】DEEP✖Black Combat対抗戦へ大原樹理─01─「グラウンドの蹴りも練習しています」
【写真】チャンピオンの風格? ブラックコンバットとの対抗戦に余裕が感じられた大原(C)SHOJIRO KAMEIKE
2月 4日(土・現地時間)、韓国はスウォンのスウォン・コンベンションセンターで開催されるBlack Combat05ではBack CombatとDEEPとの対抗戦が行われる。5階級で争われる対抗戦のライト級にはDEEP同級王者の大原樹理が出場し、ユン・ダウォンと対戦することが決まった。
Text by Shojiro Kameike
いきなり王者を投入、佐伯繁DEEP代表の意気込みがうかがえる大原の対抗戦出場。大原は2021年7月にベルトを獲得し、その1年後の昨年7月に石塚雄馬をサッカーボールキックでKOし、防衛に成功した。まだ対抗戦のルールは正式発表されていないが、大原は韓国でも相手の顔面を蹴り上げる準備ができている。
――Black Combatとの対抗戦を控えている大原選手です。MMAPLANETでは2023年初めてのインタビューとなりますが、大原選手にとって2022年とは、どのような1年だったでしょうか。
「去年は3試合しかやっていないんですよね。だから、試合していないなぁという感じでした」
――MMAでは年間3試合も多いほうかもしれませんが、それでも少ないと感じますか。
「そうなんです。ずっと年間4試合以上はやっていましたから。佐伯(繁DEEP代表)さんに『試合を組んでほしい』とお願いしても、うまく組めなかったこともあって。特に9月のRIZINで負けたのは痛かったです(ルイス・グスタボに1R KO負け)。あの負けで、今のままじゃダメだなっていう再確認ができました。やっぱり海外の選手は、爆発力も耐久力も――日本人とは全て違いますよね」
――これまで大原選手は、負けてもすぐに試合を組んでほしいと佐伯代表にお願いしていました。ですので、昨年末もグスタボ戦の後すぐにDEEPで試合があるのかと考えていたのですが……。
「確かに佐伯さんから『DEEPで試合を組もうか?』お話は頂きました。ただ、自分としては大晦日に出たかったのと、大晦日がなければ休んでもいいのかなと思ったんですよね。ちょっと様子を見ながら、大晦日出場の少ない可能性に懸けていたっていう感じです」
――なるほど。昨年3試合はRIZINで2試合、そしてDEEPでライト級王座の防衛戦を行いました。改めて昨年7月、石塚雄馬選手を相手にサッカーボールキックでKO勝ちし、ベルトを守った試合から振り返っていただけますか。
「あの試合は、すごく緊張しましたね。やっぱりベルトを賭けるっていう――自分にとっては初防衛戦だったので。まずそれが一番の緊張です。もちろん相手に対する緊張もありました。石塚選手は前の試合で、TENCHO(川名TENCHO雄生)選手をKOしていて。しかも一発で相手の意識を断っていましたから。あの一発のことを考えたら、すごく嫌なプレッシャーがありました」
――その緊張感やプレッシャーは、試合前には解消できたのでしょうか。
「いえ、試合直前もすごく緊張しました。入場する前に『もう覚悟を決めるしかないな』と思って。いつも試合前は、結構そんな感じなんです。でも試合になれば覚悟を決めるしかないし。あとはとりあえず、勝った負けたは置いておこうと考えていますね。
もちろん勝つに越したことはないけど、まずは練習してきたことを全力で出し切る。『出し切れば自ずと価値が見えてくるんじゃないか』という考えなんですよ。それが前回の防衛戦では、良い結果に繋がったのかなと思っています」
――DEEPにとっては2022年最大のビッグイベントであり、そのメインをKOで締めました。ミスターDEEPを目指す者としての面目躍如ですね。
「あれは良かったですよ! 言い方は悪いかもしれないけど、あの日は結構テクニカルな内容の試合が多かったじゃないですか。その中で自分の試合が、一番お客さんの印象に残っていると思いましたね。会場の盛り上がりも凄かったですし。『DEEPに大原樹理あり!』というところを見せられたんじゃないかな、と思います」
――大原選手は2020年以降、蹴り上げやフットスタンプ、そしてサッカーボールキックからのKO勝ちという試合が多いです。
「サッカーボールキックは、最近ではなかなか珍しい勝ち方になっていますよね。DEEPルールだと、みんなが警戒しちゃっているから、それほど決まらなくて。石塚戦のサッカーボールキックは、考えて出したものではなかったです。気がついたらサッカーボールキックを打っていたんですよ」
――気づいたらサッカーボールキック! フットスタンプやサッカーボールキックを見ていると、あれは考えて出せるものではないなと思います。寝ている相手の顔を踏んだり蹴り上げたり……というのは、普通なら躊躇しませんか。
「アハハハ、そうですね」
――だからこそ大原選手のフットスタンプやサッカーボールキックは、普段の練習から染みついているものではないかと思っていました。
「やっぱり試合ではフィニッシュしたい気持ちが大きいですし、そのためにフットスタンプもサッカーボールキックも普段から染みつかせています。実はジムで、フットスタンプやサッカーボールキックの練習もしているんですよ」
――えっ!? それはどのような練習なのでしょうか。
「それは教えられません(笑)。普通なら危ないですけど、ウチの会長(ランボー松風KIBAマーシャルアーツ会長)のおかげです。会長なくして、僕のKO勝ちはないです」
――ユニファイドルールはサッカーボールキックやフットスタンプが禁止なので、相手がダウンするとパウンドを打つか抑え込みに行きます。DEEPルールでは、その選択肢は頭の中にないですか。
「あぁ、そうですよね。あるいは起き上がる相手を、アッパー気味のパンチで殴りに行くか。そこで抑え込むという考えは、自分の中にはないです。RIZINもそうですし、今回のBlack Combatも垂直ヒジがないだけと聞いています。サッカーボールキックやフットスタンプがあるだけで、だいぶ試合展開が変わるじゃないですか。だから次の試合に向けて、グラウンドの蹴り技も練習しています」
――やはりリングかケージか、ヒジの有無、そしてグラウンド状態で顔面への蹴りが許されているかどうかで、同じMMAでも大きく変わりますよね。
「はい。ただ、何かがダメならダメで、試合の組み立ても変えますからね。DEEPルールを軸に考えたら、どのルールもそれなりに行けると思いますよ」
<この項、続く>