【Interview】徳留一樹 「ボーナス? 格闘技に自己投資。でも…」
【写真】 激戦から3週間後、取材が行われた時点ではサングラスを掛けていた徳留だが、もう腫れなどはなかった(C)MMAPLANET
3月1日(土・現地時間)、マカオのコタイ・アリーナで開催されたThe Ultimate Fighter China Finaleで、激闘の末ナム・ウィチョルにスプリット判定負けを喫した徳留一樹。
初回KO負けの危機を乗り切り、2Rに形勢逆転。3Rのトップの奪い合いは敗れてなお、ファイト・オブ・ザ・ナイトの獲得という勲章を彼に与えた。しかし、敗北は敗北。UFC戦績を1勝2敗とした名勝負は、彼に何を与えたのかを尋ねた。
──マカオ大会での激闘から3週間以上が経ちました。かなり目の周囲が腫れていて、眼窩底骨折をしていないのか心配だったのですが、負傷の具合はいかがでしたか。
「目はそこまで酷くなかったので、もう少し休んでから練習を再開できます。ラスベガスの時は試合中から、見えるモノが二重になっていたので、そういうことはなくて安心できるというか、眼窩底骨折はないと思っていました」
──マカオでは現地で病院に行ったと伺っています。そこでの診断結果は?
「ちょっとしたケガはあったのですが、放っておいても治るという感じでした。実際、日本に戻ってきてこっちの医者からも、平気だという風に診断してもらえました」
──ファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得したうえでの敗北とは、徳留選手はどのようにあの試合結果と対価を捉えているのでしょうか。5万ドルというボーナスは、本当なら非常に嬉しいものだと思いますが……。
「勝っていれば、もっと喜べたという気持ちはあります。ファン……韓国の人からもたくさん応援のメールを貰ったりして、そういう部分は嬉しかったです」
──ファイト・オブ・ザ・ナイトの賞金で、練習に集中できるという気持ちの余裕などは生まれなかったですか。
「応援してくださってくれるスポンサーの方のおかげで、今はできているので、ボーナスは将来の格闘技を続けるために取っておきます。パンクラス時代からも、ファイトマネーはそうやって貯めてきたんです。実際問題として、5万ドルですから、有るのと無いのとでは全然違います。お金がある分、海外での練習も長期間滞在できますし。今は日本の練習環境でも強くなれているので、日本でできることは日本でやって、将来、必要になった時にボーナスを使って海外で練習をしようかと思っています」
──5万ドルという額は決して小さくないですね。
「有難いです。それだけ格闘技に自己投資できます。仕事をしながら練習していて、あの額が入って来たら凄く助かりますよね。ただ、結果を伴ったものが欲しいです。ボーナスはやはり勝って獲得したい。何よりも課題の残った試合だったので……。3Rは競り勝たないといけなかったです。
テイクダウンを取った後にあそこで逃がした点、立たれてから変な風にテイクダウンを狙って潰れてしまった点。普段だったから通用したことが疲れていたのか、押し込まれて倒されてしまいました。あの部分を修正できないと、上で戦えないと感じています」
──試合前は打撃は被弾せずに、組んで倒して寝技勝負ということを言っていました。
「1R、ああいう風に来るのは分かっていたんです。だから、距離を取ってサークリングしてみたんですが、予想以上に圧力が強かったです。考えていたことが、一発パンチを被弾してからは、飛んでしまって殴り合っていました。殴り合い以前に立たないと試合を止められるという気持ちは覚えているんですが、記憶は飛び飛びで。
あぁ、金網に押し込んでから、離れて打ったところも覚えていますね。『ヤバい、打たれた。打ち返して盛り返さないと』って思い、すぐにパンチに出たんです。そうしたら、またパンチを被弾してしまって……」
──映像はチェックされましたか。
「ハイ、見ました。止められてもおかしくなかったですね。レフェリーが何度か、止めようとしている仕種も見えました。あの時は、とにかく動こうと。ここで負けたら、もうリリースになるから、負けるくらいなら……って。死んでも良いから動かないといけないって思って、体を動かすことができたんです。それじゃダメなんですけど、あそこはとにかく動くことが必要でした」