【ADCC2022】オセアニア&アジア予選へ、岩本健汰─01─「サドルからエントリーしても勝てない」
【写真】77キロ間が出てきた岩本(C)SHOJIRO KAMEIKA
19日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』が開催される。
Text by Shojiro Kameike
岩本は前回の2019年大会でオセアニア&アジア予選(66キロ級)を勝ち抜き、世界大会への切符を手にした。しかし世界大会では1回戦でパオロ・ミヤオに敗れている。あれから3年、再び世界の舞台へ挑む岩本に、現在のグラップリング界――自身が経験したオセアニア&アジアと世界大会の違いについて語ってもらった。
――コロナ禍により延期されていたADCCオセアニア&アジア予選が、ようやく開催されることになりました。この1年の間、ADCC出場へのモチベーションが下がることはなかったですか。
「もともと昨年も出場するつもりでした。延期されて1年の間MMAを始めていたので、その1年が何か影響したということはなかったです。試合がないなぁ、とか嫌な気持ちになったこともなく」
――岩本選手は2021年9月に椿飛鳥戦でMMAデビュー、現在までMMAで3連勝中です。異なる競技にチャレンジしたことは、自身にとってどのような影響を及ぼしていますか。
「ADCCのルールはIBJJFのノーギと違い、レスリングを重視している部分があります。その部分に関しては、MMAの練習とかみ合っているところはありますね」
――岩本選手の中でADCCとIBJJFのノーギは別競技と考えているのでしょうか。2019年8月にADCC予選があり、10月の世界大会に出場したあと、12月にはJBJJFの全日本ノーギ選手権で優勝しています。それだけルールやコンセプトが異なる大会に短いスパンで出場し、常に切り替えていけるものなのですか。
「ADCCとIBJJFのノーギは、競技的には同じだと思います。ギだと、またいろいろ違ってきますけどね。でもIBJJFルールもヒールフックが認められてから、ほぼ同じになってきました。あとはグラップリングでもどういうスキルを重視するのかが、ルールや大会によって変わってきます」
――前回のADCCはオセアニア&アジア予選を制して世界大会へ。世界大会では1回戦でパウロ・ミヤオに敗れました。岩本選手から見てオセアニア&アジアのグラップリングは、世界と何か違いはありましたか。
「オセアニア&アジア予選は、他の地区の予選と比べると、勝ち抜く難易度は低めかもしれないです。実際に世界大会へ行ったら、すごく強い選手と当てられる可能性も高くて……。
予選から勝ち上がった選手は、世界大会の1回戦は招待選手と対戦することが多いんですよ。ただ、世界大会に出る選手はみんな強いので、そこは関係ないかもしれないですけど(苦笑)」
――世界といいますか、やはり米国やブラジルなどとは差があるかもしれません。
「世界とオセアニア&アジアを比べると、レベルの差はあると思います。でも、そういうなかで――例えば2019年のオセアニア&アジア予選の77キロ級で優勝したラクラン・ジャイルスは、世界大会1回戦でルーカス・レプリと対戦して、あっさり負けてしまいました。でも突き抜けた部分があって、何かを起こしてしまう可能性はあったんです」
――実際に無差別級ではカイナン・デュアルチに勝利するなど3位に入賞していますし、世界に名前が通じるグラップラーになっていますね。
「それにクレイグ・ジョーンズも予選で勝って世界大会でも勝ち抜きましたから、何も可能性がないわけではないです。世界大会に出る選手は、何かしら凄いスキルを持っている。柔術では黒帯ではなくても、すごくレスリングが強かったりとか。世界大会にはあまりいないですけど、予選にはレスリングチームが出てきますよね」
――では日本と海外のグラップリング事情を比べて、何か思うところはありますか。
「うーん、そうですね……海外と比べて、グラップリングだけをやる人が日本では少ないですよね。海外というか米国ですね。ただ、今は豪州でもグラップラーが増えています。一方で日本はギのほうが多いというか。グラップリングだけの練習ができる環境が、そんなにない。そこの熱量が違うかな、と思います」
――技術面の変化については、どのように捉えていますか。
「技術については、結構なスピードで変わってきています。前回の予選では、僕が足関節――内ヒールや、サドルからエントリーして極めていました。でも今は、そういう戦い方をしても絶対に勝てないです」
――というと?
「最近では足関節や下からの攻撃に対して、いかにその攻防をさせず、上からプレッシャーを与えて勝負する選手が多くなっている印象が強いです。全体的にMMAの攻防に近づいている気はしますね」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling