“米国のKID”ユライア・フェイバー インタビュー
6月1日(日・現地時間)に迫った、WECサクラメント大会。現地のARCOセンターで、ユライア・フェイバーが持つWEC世界フェザー級のベルトに、ジェンス・パルバーが挑む一戦をメインに、この1年半のWECの活動の成果といわれる軽量級の祭典が行われる。
【写真】6月1日、サクラメントARCOアリーナでジェンス・パルバーの挑戦を受けるユライア・フェイバー (C) MMAPLANET
「KIDとは、状況がしっかり整ってから戦いたい」
Interview by Manabu Takashima
ズッファによるWECの買収と、VERSUSでの全米中継により、早々と認知されるようになった軽量級のスピーディかつテクニカルなMMA。その軽量級普及計画第一期の集大成ともいえる大会の開催まで、3日と迫ってきた。
当大会では日本から前田吉朗が、WEC世界バンタム級王者ミゲール・トーレスに挑戦する一戦、ATTの強豪マイク・ブラウンがフェザー級のパイオニアといえるジェフ・カーランとの戦いや、ペケーニョことアレッシャンドリ・ノゲイラがWECデビューを果たすなど、日本のMMAファンにとってもたまらない大会となる。
同メインに登場する“WECの顔”ユライア・フェイバーに、ジェンス・パルバーとのタイトルマッチ、そして山本KID徳郁戦について尋ねてみた。
――いよいよ、ジェンス・パルバー戦が直前に迫ってきましたね。
「体調も凄く良いし、後は試合が始まるのを待つばかりさ。トレーニングも凄く順調にこなすことができた」
――減量は順調ですか。
「もともと、155ポンドから157ポンドぐらいしかないし、減量はそれほど大変じゃないんだ。カレッジでレスリングをやっていた時は135ポンドまで落とす必要があったから、その時と比べるとフェザー級の145ポンドにするのは簡単だよ」
――減量がそれほど大変でないということは、試合当日はジェンスの方が重いということも考えられますね。ところで、今回の試合では、テイクダウンの攻防が非常に重要になってくると思われますが。
「2人とも長所と短所を持っているけど、僕のレスリングはアドバンテージをもたらすだろうね。でも、少しのアドバンテージで、逆にジェンスはサブミッションでは僕より少し上だと思う。噛み合ったエキサイティングな試合になるだろう。実際、二人ともオールラウンダーで、どんな局面でも戦えるし、そして僕もジェンスもフィニッシュを狙う気持ちが強いからね」
――スタンドで戦った場合、距離が離れればジェンスの間合い。縮まればユライアの間合い。ボクシングではジェンスが長けていますが、爆発力ではユライアに分があると思うのですが。
「彼はKO勝ちも多いしね。立ち技で彼の距離で戦うことは危険だと思う。けど、同時に彼はスタンドで戦ってKO負けもしているからね。僕はスタンドでも、グラウンドでも構わない。爆発力だけでなく、スピードも僕の方があるからね」
――試合はサクラメント、つまりユライアのホームタウンで行われるのですが、ファンの関係は大きな力になる一方で、プレッシャーになることも考えられます。
「プレッシャーにはならないよ。僕はオクタゴンのなかで、ジェンスと向かい合うことに集中しているし、観客のみんなが僕を応援してくれるのだから、それは大きなアドバンテージさ。そんな環境のなかで、ジェンスは試合をしたことはないはずだからね。2年前にナオヤ・ウエマツとサクラメントで戦ったときも、地元のファンの声援には凄く勇気づけられたからね」
――チケットも当初、発売予定だった8000枚が完売となり、2階席も開放することになったようです。
「嬉しいよね。それだけのファンが試合を見に来てくれるということは。まぁ、ファンの数を気にしているような悠長な試合じゃないんだけど、フェザー級の試合がメインイベントでそれだけの人々が来てくれることは素晴らしいことだよ。ファンも、軽量級の試合がいかに面白いか理解してくれるようになったんだ。WECがこれまでTV中継などに力を入れてきた成果だよ」
――そのように注目を集めるようになったことで、WECのフェザー級には強豪が集結しつつあります。次回大会でもマイク・ブラウン選手、アレッシャンドリ・ペケーニョ選手がWECに登場します。
「僕がカレッジでレスリングをしていたときから、彼らはこの階級で活躍していた。僕がプロになってしばらくしたときにマイク・ブラウンは、UFCでゲンキ・スドーと戦っていたからね。ただ、フェザー級は僕の階級だということを証明していきたい」
――ところで、山本KID徳郁選手と戦えるなら、バンタム級に階級を落としても良いという発言があったようですが。
「KIDヤマモトは、ずっとビッグショーでトップを張ってきたファイターだ。僕はWECを引っ張ってきた。僕らが戦わないわけにはいかないだろう。ただ、KIDと僕が戦う前に、チームメートのジェセフ・ヴェネヴィダスが、どうしても彼と戦いたいって言っているんだ」
――つまりは、ユライアの指名したファイターを倒してから自分と戦えと山本選手に言っているわけですね。
「ジェセフは7勝0敗。ファザー級で戦っているけど、僕らのチームで一番のバンタム級ファイターなんだ。KIDが彼と戦うことで、僕らの試合に対する障害を取り除くきっかけにならないかと思う。とにかくKIDとは、状況がしっかり整ってから戦いたいんだ。ケージかリング?リングの経験もあるけど、やっぱり僕らが戦うならケージの方が合っていると思う。彼と戦うことができるなら、僕は米国で戦いたい」
――それはやはり自国で戦いたいということですか。
「ハニ・ヤヒーラとKIDが戦ったとき、反則のキックを放ったのに、おとがめがなかったじゃないか。ああいう状況では戦いたくない。だって、あれは反則だろ?」
――反則だったと思います。山本選手は無意識のうちに蹴りが出てしまったと言い、レフェリーは不可抗力と判断したんです。
「アクシデントだった?ハハハハ。いや、不可抗力か狙って蹴ったかは問題じゃないんだ。結果、反則だったから反則という裁定をしないと、レフェリーには自分の仕事を全うしてほしい。KIDと僕が戦うということは、それは世界的規模なファイトになると思うんだ。ファイトマネーだって、二人が納得するものにしたい。だからこそね、しっかりとした環境で戦いたんだんだよ」
――KID戦の実現を祈りつつも、ジェンス・パルバー戦がエキサイティングな試合になることを願っています。
「ありがとう。ベストを尽くすよ」
■『WEC Faber VS Pulver』全対戦カード
・WEC世界フェザー級タイトルマッチ/5分5R
【王者】ユライア・フェイバー vs. 【挑戦者】ジェンス・パルバー
・WEC世界バンダム級タイトルマッチ/5分5R
【王者】ミゲール・トーレス vs. 【挑戦者】前田吉朗
・ライトヘビー級/5分3R
チャック・グリスビー vs. マーク・ムニョス
・ライト級/5分3R
ケネス・アレクサンダー vs. ロブ・マッカラー
・ライト級/5分3R
ドナルド・セローン vs. ダニー・カスティーリョ
・フェザー級/5分3R
ジェフ・カーラン vs. マイク・ブラウン
・バンダム級/5分3R
チェイス・ビービ vs. ウィル・ヒベイロ
・ミドル級/5分3R
ティム・マッケンジー vs. ジェレミー・ラング
・ウェルター級/5分3R
アレックス・セルジュコフ vs. ルイス・サッポ
・フェザー級/5分3R
アレッシャンドリ・ノゲイラ vs. ジョセ・アルド
・バンダム級/5分3R
チャーリー・バレンシア vs. ドミニク・クルーズ