ブラジル最強から世界最強へ、トキーニョ インタビュー
バックマウントから、チョークを逃れようとしたアイバン・サラベリーを一瞬にして腕十字で葬ったブラジリアン・トップチームのホウジマール・トキーニョ・パリャレス。昨年、ブラジルで行われたフューリーFCミドル級GPで優勝し、ブラジル国内最強を証明した彼がUFCにおける勝利で、その強さが世界に通じることを証明した。
【写真】24日のUFC84で勝利を飾ったホウジマール・トキーニョ(中央)と、師匠のムリーロ・ブスタマンチ(左)&ベベウ(右) (C) MMAPLANET
「どんな関節技でも使いこなせるようにトレーニングを積んでいる」
Interview by Manabu Takashima
口数が少なく、常に笑顔を見せるトキーニョに話を聞くと、思わす師匠のムリーロ・ブスタマンチが助太刀を買って出る、そんなインタビューとなった。
――バックコントロールからのヒールホールドという得意のパターンでなく、素晴らしい腕十字での一本勝ちでした。
トキーニョ「どんな関節技でも使いこなせるようにトレーニングを積んでいる。どの技で極めるのかは、どんな技が使えるのか、試合の流れによって決まってくるから。僕のヒールフックをみんなが警戒してくるなら、他の技を使うチャンスも増えるしね」
――まるでバックマウントからのチョークをわざと逃がし、腕十字への布石をつくったかのようにも見えました。
トキーニョ「決して技というわけじゃないけど、あのように逃げることは十分に考えられたし、逃げてきたら腕十字にスイッチしようと思っていたんだ」
――まさに柔術、相手の動きを読む動きですね。
トキーニョ「オブリガード(ありがとう)」
ブスタマンチ「確かにそうなんだ。トリックではなくて、次に何をするのか。試合の流れを考えた動きなんだ」
――今、MMAでは倒し、倒されていかに立ちあがるか。そして打撃戦の重要性が増しているなかで、本当に素晴らしい寝技の動きが堪能できました。
トキーニョ「オブリガード」
ブスタマンチ「彼は本当にシャイなんだ(笑)」
――次に対戦したい相手は誰ですか?
トキーニョ「与えられた相手、強い相手と戦いたい」
ブスタマンチ「トキーニョは、いつだって厳しい相手を望んでいる。我々もそうだ。その方がベルトが近づいてくるからね」
――UFC世界ミドル級チャンピオンは、同じブラジル人のアンデウソン・シウバ選手です。
ブスタマンチ「チーム以外のファイターなら、ブラジル人だろうが関係ないよ。そりゃあ、ブラジリアン・トップチーム以外にも親しい友人はいる。でもアンデウソンはただの友人だ。彼はチャンピオン、たった一人しかいないチャンピオンで、私たちはベルトが欲しいんだ」
――トキーニョ選手がUFCで素晴らしい勝利を挙げたで、ブラジリアン・トップチームも活気づきますね。
ブスタマンチ「PRIDE消滅後、私たちは厳しい時間を過ごした。しかし、トキーニョやブスカペのようにチームを信じてくれる選手たちと、トレーニングを怠ることだけはなかった。そして、DREAMが日本で始まり、UFCにもトキーニョが出場できた。ここがまた、チームにとって新しい一歩になるだろう」
――日本の吉田善行選手が、トキーニョ選手の腕十字がなければベスト・サブミッション賞を獲得できたのにと悔しがっていました。
トキーニョ 「ベスト・サブミッションの賞金で、母に家を買ってあげる資金ができたから、凄く嬉しい」
――お母さんにですか。それは、吉田選手も諦めるしかないですね。ところで、フューリーFCのミドル級GPで優勝したときに、リング上がって熱烈なキスをした彼女は?
トキーニョ「もうすぐ、結婚するんだ。でも、貧しい環境のなかで僕を育て挙げてくれた母に、まず家を建ててあげたいんだ」
ブスタマンチ「トキーニョはUFCで成功して、新しい人生を手に入れるよ。絶対にね」