【DEEP107】神龍誠とフライ級王座統一戦、藤田大和「休む前のほうが強かった。以前のほうが速かった」
【写真】世界を目指すことができるチャンピオン同士の対戦を前に藤田が何を語ったか (C)SHOJIRO KAMEIKE
8日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP107でフライ級正規チャンピオン神龍誠と暫定チャンピオン藤田大和が王座統一戦を行う。
Text by Shojiro Kameike
この試合は当初、2月26日に行われる予定であったが、神龍が新型コロナウィルスに感染し、体調不良のため今大会へ延期されていた。これまで自身の王座に暫定の2文字がついていたことに不満を述べていた藤田は、この延期と今回の試合について、どのように考えているのか。対戦相手である神龍の復帰戦と現在、そして自身の成長まで語ってくれた。
――試合を4日後に控えてのインタビューとなります。すでに顔も引き締まってきています。
「練習は終えて、あとは打ち込みで動きを確認するぐらいの状態ですね。体重もしっかり落ちてきています」
――もともと今回の王座統一戦は今年2月26日に行われると、昨年11月末には発表されていました。それが2月上旬に、神龍選手が新型コロナウィルスに感染したため5月8日大会にスライドされることが決定したという経緯があります。藤田選手が試合の延期を聞いたのは、いつ頃のことだったのでしょうか。
「正式決定を聞いたのは、発表される直前だったと思います。ただ、選手間の噂レベルでは(神龍が)コロナに感染したという話が聞こえてきていました。その時点では、まだ試合が延期になるかどうかは分からなくて。僕としては、試合はやるんだろうなと思っていましたけど……」
――その結果、試合の延期が正式決定された時は……。
「やっぱりか、というぐらいの気持ちでした。噂レベルで聞いた時から、もしかしたら試合がなくなるかもしれないという覚悟はあったので。主催者からも事前に聞くことはできていましたし。そもそもコロナ禍のなかでは仕方ないことですしね。ただ、自分としては試合をやりたかったなという気持ちは大きかったです」
――特に藤田選手が待ち望んでいた王座統一戦でした。
「そうですね。延期になっても練習は休まずにやっていましたけど、正式決定を聞いてから1~2日ぐらいは気持ちが入らなかったです。でもすぐに立ち直ることはできました」
――その時点で通常の練習も一度落ち着くものなのでしょうか。
「いえ、僕というかMe,Weは普段から試合前のような練習が多いんですよ。だから試合が延期されても練習量が減ることはないですね。あとは体重と気持ちの調整ぐらいで」
――同じMe,We所属の倉本一真選手からお聞きしましたが、1週間ぐらいのスパンで練習メニューが組まれ、毎週末が試合のような練習スケジュールをこなしているそうですね。
「アハハハ、そうなんです。めちゃくちゃキツいんですよ……(苦笑)」
――では改めて、神龍選手の印象についてお聞かせください。昨年10月に行われ、判定勝ちを収めた福田龍彌選手との復帰戦は、どのような感想を持っていますか。
「途中までは福田選手が勝つのかなと思っていましたけど、最終回にダウンを取って、これは判定勝ちだなと。でも採点を見ると、フルマークもあったじゃないですか」
――採点はジャッジ3者がそれぞれ30-26、30-27、29-28とつけていました。
「アグレッシブに攻めていたのは、誠君だったと思います。それでもフルマークは不思議な気もして――彼が苦戦したことは間違いないですよね。それも復帰戦だから仕方ないのかな、とは思いましたけど。それでも最後に明確なダウンを取ったのは、さすがでした」
――あの試合の流れで最後にパンチを当ててダウンを奪えるのが、神龍選手の強さなのだろうと思います。一方、あの試合を点ではなく線として捉えた場合……以前の試合と比較すると、印象は違いますか。
「それは……休む前のほうが強かったですよね。特にスピードに関しては、以前のほうが速かったと思います」
――それは藤田選手の中で想像していた範囲でしたか。それとも想定外のことだったのでしょうか。
「あの試合については、福田選手が勝つんじゃないかと予想していました。復帰戦で、こんなに強い相手を当てて大丈夫なのかなって。福田選手はキャリアもあるし、平良(達郎)選手に負けたとはいえ、平良選手が強いチャンピオンでしたからね。それだけ強い選手と、いきなり復帰戦で対戦するのは、危ない橋を渡るなぁと思いました。でも、その福田選手に勝ったのは、さすがです」
――ということは、神龍選手に勝利した福田選手と対戦する可能性もあると考えていましたか。
「それはあると思っていましたね。複雑な気持ちでした(苦笑)」
――結果は神龍選手が福田選手に勝利し、そのまま王座統一戦という流れになりました。ちなみに神龍選手に取材オファーを出したところ、今回は試合に集中したいとのことで、辞退の返答がありました。これについては、どう思いますか。
「あまり喋りたくないんですかね……。どうなんだろう? 僕としては特に気にならないです」
――まず福田選手との試合の内容を見て、神龍選手に勝つ道筋も見えたのでしょうか。
「そうですね……見えたものもあるし、以前よりも強くなっている部分もありました。ただ、あの試合だけでは分からないですよね。誠君も試合までに仕上げてくるでしょうし。そこは彼がどうこうではなく、自分次第でもあるので」
――では福田選手との試合前から、つまり休む前の神龍選手に対しては、どのような印象を持っていましたか。
「グラップラーですよね。動きが速いし、止まらない。試合では常に動いている印象でした。でも対戦したら……という感じでは見ていなくて、具体的に考え始めたのは僕が暫定王座を獲得してからです。
彼もそんなに試合をしていなかったですし。中村優作さん(2019年12月、神龍が判定勝ち)や伊藤盛一郎君との試合(2020年8月、神龍がギロチンで勝利)は、そういう意識では見ていなかったですね。だから意識して見たのは、前回の福田選手との試合ぐらいです」
<この項、続く>