【Bellator278】ヴェラスケスに挑戦。沖縄で──17年暮らしたリズ・カモーシェ「自分の力が分かっている」
【写真】こんなに沖縄好きだったとは。勝手に親近感を覚えてしまう(C)BELLATOR
日本時間の今日、米国では22日(金・現地時間)にハワイ州ホノルルのニールSブレイズデール・センターで開催されるBellator278「Valasquez vs Carmouche」。そのメインでリズ・カモーシェがジュリアナ・ヴェラスケスの持つBellator世界フライ級のベルトに挑戦する。
Strikeforce、UFCで2度世界の頂点に挑戦した経験のあるカモーシェは、今もベースの格闘技での力がモノをいうことが多い女子MMA界になって、生粋のMMAファイターだ。そんな彼女が4度の正直を目指す一番の前に、沖縄への強い想いを語った。
──リズ、今日はインタビューを受けていただきありがとうございました。
「アリガトウゴザイマス」
──おお、そういえば自分たち日本のメディアもあまりフューチャーできていなかったのですが、リズは沖縄で育ったのですね。
「そうよ、3歳から20歳まで17年間沖縄に住んでいたわ」
──そんなにも、ですか。人間が形成される最も大切な時を沖縄で過ごしていたのですね。では日本語で会話というのは?
「スコシ・ハナシマス」
──いや、流暢すぎるではないですか!!
「アハハハハ。違うの。沖縄を離れて、もう長いから日本語を忘れたくなくて勉強して。今の方が読んだり、書いたりは沖縄に住んでいた頃よりできるようになっていて(笑)」
──いやぁ、いずれにせ素晴らしいです。では沖縄時代は米軍のコミュニティで過ごし、あまり日本人との触れあいはなかったのですか。
「私のステップファーザーがベースにあるカレッジで働いていたけど、私はベースで生活したことはないの。私たち家族はアーミーの施設のないニシハラ(西原)に住んでいたわ。可能な限り、ベースから離れて生活して(笑)。
でも沖縄以外では沖縄の周囲にある島にしか訪れたことがなくて、東京はサッカーのトーナメントで1度だけ訪れたことがあったけど、ベースの中でトーナメントが行われて外にでなかったから。だからクインテットで初めて東京を訪れて……でも、凄く故郷の近くに戻って来たっていう懐かしい感覚に襲われて。とにかく沖縄で暮らし、沖縄のカルチャーに触れていた経験は私の人生でも凄く大きなことよ」
──今月の30日に沖縄で生まれ、沖縄でMMAを学んだ平良達郎選手がUFCに出場します。リズに続き、2人目のオキナワンUFCファイターです(笑)。
「へぇ、そうなの。沖縄に柔術やMMAのスクールがあるのね。今も何人かの友達が沖縄に住んでいて、沖縄のスクールで教えないかって誘われているの。沖縄の学校で働く、絶対に実現したいと思っているの。本当に沖縄のことが大好きだから。
あの文化、食事、ビーチ、何かも恋していく。将来は絶対に沖縄に戻って、学校で教鞭を振るわせてもらうわ」
──その時は学校だけでなく、MMAジムで指導もお願いします。
「アハハハ。そうね。楽しみにしているわ」
──いやぁ、リズがそれほどまで沖縄のことを今も思っているとは……こちらも嬉しいです。ところで──といいますが、ようやく本題にはいるのですが(笑)、2週間後にジュリアナ・ヴェラスケスの持つ世界女子フライ級王座挑戦します。今の調子はいかがですか。(※取材は4月7日に行われた)
「カナ・ワタナベとの試合が終わってから、この試合に向けて長い間調整してきたから。ファイトキャンプも9月から始めたの。もう準備は整い過ぎているわ(笑)」
──9月から、ですか!!
「そうよ。7カ月間、アリーナMMAで練習してきたわ」
「若くて、勢いのある選手ね。ただし、彼女の武器はMMA全般で通じるだけのモノじゃない。特定のエリアで強いけど、まだMMAファイターとしてウェルラウンダーではないわ。私にとっては戦いやすい相手よ」
──ヴェラスケスのフィジカルについては、どのように考えていますか。
「彼女と戦った選手は、そういう風に話していることは知っているわ。でも、まぁ私は自分の力が分かっている。ジュリアナとどういう風に戦えば良いのか分かっているつもりよ。私には彼女の柔道のようなバックグラウンドはなくて、MMAを始めた時から全てを練習してきた。
全ての局面で、平行して成長してきたから穴がない。そう……だから私の方がMMAファイターとして完成度が高いと信じているわ。ジュリアナは柔道が強くて、そこに頼るから他の局面では強くない。そういう相手に何をすべきかは、もう分かっている」
──クインテットで来日した時は、まだ10thPlanet──サンディエゴ・コンバットアカデミーに所属していました。リズはボクシング&レスリングのMMAで、トップで攻めてバック奪取という印象があるのですが、エディ・ブラボー流の柔術のことをどのように捉えていますか。
「いくつかの局面では、凄く役立つわ。ただボトムで10thPlanetのシステムを使いこなすことは簡単じゃない。何より、こっちがコントロールしていてもジャッジが理解できないで相手のポイントをつけるから。でも10thPlanetで学んだテクニックは、トップでも有効なモノがあるから、MMAに融合させて使って来たわ」
──12年のMMAキャリアで、世界タイトル挑戦は4度目……4度目の正直なるかという試合です。
「最初にStrikeforceでマルース・クーネンに挑戦した試合は、オファーが2週間前だったわ。ミーシャ・テイトが負傷欠場し、代役出場だったから。それにまだMMAの練習はトータル8カ月しかしていなかった時で」
──!! なんと。
「だから試合に負けたけど、凄く良い……ユニークな経験になったわ。良い経験……というより良いレッスンを受けた感じね。2度目のチャレンジも、私としてはまだ準備ができていない状態での挑戦だった。
3度目、バレンチーナに挑戦した時は、サウスポー対策が十分でなくて自滅した。自分の持っている力を出すことができなかった。でも、この全ての経験が今回の挑戦に生きてくる。この試合のための敗北だったと思えるぐらいね」
──2度目の挑戦もまだ早かったということですが、あの試合はMMAの歴史を変えた大一番でした。
「あの試合を戦って……そうね、あれから若い選手がMMAを始めた理由を『あの夜のファイトを見たから』と言ってくれて。そういう試合をしたことは、私が強く生きていける要因になっているわ。
何より今回、ベラトールの世界王座に挑戦できて凄く嬉しいし。私はベラトールでの選手生活をエンジョイできている。彼らのことを心から尊敬しているし、この機会を与えてくれたことを感謝している。そんなベラトールのベルトを家に持ち帰ることにワクワクしているわ」
──22日の試合、期待しています。
「ありがとう。全てを出し切って、ここまでなぜ私がベラトールで勝ち続けてきたのかを改めてこの試合で証明するわ」
──では最後に日本のファンに一言お願いします。
「最初に言いたいのは──アリガトウゴザイマス。沖縄の人、日本の人に感謝しています。今の私があるのは日本、沖縄での生活があったから。第2のホームである日本のファンの皆が、私の試合を見て応援してくれると嬉しいわ」
■視聴方法(予定)
4 月23日(土)
午前9時30分~ U-NEXT
■Bellator278計量結果
<Bellator世界女子フライ級選手権試合/5分5R>
[王者]ジュリアナ・ヴェラスケス: 124.8ポンド(56.6キロ)
[挑戦者]リズ・カモーシェ: 125ポンド(56.7キロ)
<Bellatorバンタム級ワールドGPワイルドカード戦140ポンド契約/5分3R>
エンリケ・バルゾラ: 139.6ポンド(63.32キロ)
ニキータ・ミハイロフ: 139.4ポンド(63.23キロ)
<バンタム級/5分3R>
ジョーネル・ルーゴ: 134.8ポンド(61.14キロ)
ダニー・ザバテーロ: 134.6ポンド(61.05キロ)
<ライトヘビー級/5分3R>
クリスチャン・エドワーズ: 204.4ポンド(92.7キロ)
グラント・ニール: 204.2ポンド(92.62キロ)
<160ポンド契約/5分3R>
マニー・ムロ: 160ポンド(72.57キロ
ネイト・アンドリュース: 159.2 ポンド(72.21キロ)
<フェザー級/5分3R>
ウェベル・アルメイダ: 145.2ポンド(65.86キロ)
ファブリシオ・フランコ: 145.6ポンド(66.04キロ)
<ウェルター級/5分3R>
ダンテ・シーロ: 170.6ポンド(77.38キロ)
スコッティ・ハオ: 170ポンド(77.11キロ)
<ウェルター級/5分3R>
マコア・クーパー: 169ポンド(76.66キロ)
ブレイク・ペリー: 169.8ポンド(77.01キロ)