【RIZIN TRIGGER03】金太郎戦へ。金網破壊神=倉本一真─02─「仕留める技はホントにたくさんあるので」
【写真】今週土曜日──どのようなエグさが、見られるか(C)RIZIN FF
16日(土)に東京都調布市の武蔵野の森アリーナにて開催されるRIZIN TRIGGER03で、金太郎と対戦する倉本一真のインタビュー後編。
前編に続き、倉本にケージの使い方について訊くと、新しい事実が次々と浮かび上がってきた。次の試合ではストライカーの金太郎を相手に、どんな壊し方を見せるのか。投神から掌神へ、そして破壊神へと進化する倉本一真のMMAは見逃せない。
<倉本一真インタビューPart.01はコチラから>
――相手がマットに背中を着けている状態で、倉本選手が立った状態からのパウンドを効かせている場面もありました。
「そういえば、ヒザの練習はしていないって言いましたけど、Me,Weでやっていました。ただ、それは対人じゃなくて人形相手なんですよ。そこでパウンドの練習もしています」
――人形というのは……。
「MMA用のダミー人形です。完全に人の形になっていて、投げたりパウンドを打ったりすることができるやつですね。昔のように真っ直ぐな状態ではなく、今のタイプは足も曲がるんですよ。それを使って息上げをやっています。
まずサンドバッグでパンチやキック、次に人形を使ってパウンドで息上げですね。そういうところでヒザの練習もやっています。相手が背中を着いて、僕が立っている状態からのパウンドも。……すみません、実は毎週やっていました(笑)」
――アハハハ、そのメニューを無酸素でやるのですか。
「息上げプラス、フルパワーでやります。毎週金曜日の午前にその練習があるので――明日ですね(※取材は7日(木)に行われた)」
――それだけハードな練習を行う前日の気持ちは……。
「金曜日の朝はキツいなぁ、と思っています(笑)。でも、それを乗り越えたら週末が待っているので。金曜日は夜も練習があるんですけど、その朝練が終われば一週間の終わりが見えてくるなって(笑)」
――そう思えるように練習スケジュールが組まれているのかもしれないですね。
「山﨑さん(剛リバーサルジムMe,We代表)のおかげで、良い練習をさせてもらっています。選手一人ひとりの個性を見て、練習させてくれるんです」
――先日、倉本選手が修斗ジム東京からMe,Weへ移籍することが発表されました。もともとMe,Weで練習し始めたのは、いつ頃のことなのでしょうか。
「僕が修斗で岡田遼選手に負けた(2020年5月にKO負け)後ですね。当時の自分は打撃が全然ダメで、岡田戦の後に藤田大和に相談したことがキッカケでした。
大和とは一緒に自衛隊体育学校にいた時期があるんです。僕はレスリング班、大和がボクシング班で。お互い自衛隊体育学校を離れてからも連絡は取り合っていたんですけど、岡田戦の後に『大和、パンチを教えてくれないか』と相談して、Me,Weに出稽古で行くことになりました。その時に山﨑さんがすごく良くしてくださったんですよ。いきなり出稽古で来た、こんなヤツに対して。それが2020年の6月ぐらいですね。そこから出稽古で、Me,Weにお世話になっていました」
――では、それまでの倉本選手というのは……。
「あの頃、僕はハーレーのカスタムショップで働いていたんですよ。仕事が終わるのが8時か9時ぐらいで、それから練習に行って。だから練習に行くのが週2回ぐらい……正直、1回も行っていない週もありました。仕事で疲れて、もうイイやって。
ずっとレスリングをやっていたし、センスで勝つこともできていて、ちょっと調子に乗っていたんです。でも、そろそろちゃんと練習しなきゃいけないと思って、ハーレーを辞めて鳶に転職したんですよ。鳶は午後5時には仕事を終えることができるので。でも現場は朝が早くて、それもまた疲れ果てて――結局、練習に行かないことがザラにありました。
僕がMMAを舐めていたんです。レスリングと空手をやっていたので、あとは組み技と打撃をつなぎ合わせるだけだろう、って……」
――……。
「修斗ジム東京で練習していた頃は、坂本(一弘)さんには、すごく良くしていただきました。僕がRIZINに出ることになった時も、すぐに坂本さんから連絡を頂いて、効くサッカーボールキックの蹴り方を教えていただいたんです。坂本さんから教えていただくことって、MMAの要所要所で使えるものが、すごく多かったですね」
――これは失礼な聞き方かもしれませんが、修斗時代に投げを多用していたのは、試合を盛り上げること以上に、フィニッシュするためには投げしか選択肢がなかった状態だったのでしょうか。
「そうなんです。あとは大振りのフックとか。根津さんと試合した時(2019年11月、根津優太にKO勝ち)は8回ぐらい投げたんですけど、あれは1回で仕留めたかったのに、何度投げても根津さんが起きて来る。会場も盛り上がっているから、投げ続けたいっていう気持ちもありました。でもそれ以上に、しっかり倒したいと思っていたし、それが当時の僕にできることだったんです」
――なるほど。
「どうやって相手を壊すか、どうやって仕留めるかは常に意識しています。ジムで『これって良くないですか?』って話をしていると、山﨑さんにも『また相手を壊すことばかり考えて……』と言われますね。(笑)。RIZINもIREも、故意に相手をケージに叩きつけるのは反則らしいんですけど」
――相手をケージに叩きつけてKO……そんなことを考えていたのですか!
「ケージに叩きつけはしないですけど、エグいことばかり考えています(笑)。まだまだ新しいケージの使い方はあると思うし、いろいろ考えるのが楽しいですね」
――今後も倉本選手がどんなケージの使い方を見せてくれるのか、楽しみです。
「どんどん強い相手と試合したいです。でも……まだRIZINではヒロ・ヤマニハに負けて、加藤ケンジ選手に勝っただけで、何も証明できていないんですよ。ちゃんと今回の金太郎戦で勝てば、認められるんじゃないかなと思います。RIZINのバンタム級トーナメントで、僕は1回戦負けだったじゃないですか。あの時トーナメントに出ていた選手とも対戦していきたいですね。金太郎選手もトーナメントに出ていた選手なので、それは嬉しいです」
――金太郎選手は、そのトーナメントで注目を浴びた選手です。ファイターとしての印象はいかがですか。
「パンチもハイキックもミドルも強い。打撃が強い選手ですよね。僕も、打撃でも負けないように進化してきました」
――金太郎戦では、どのように相手を仕留めたいと思いますか。
「どの技で最終的に仕留めるかは、試合だからやってみないと分からないです。ただ、スタンドでもグラウンドでも仕留める技はホントにたくさんあるので、自分でも楽しみですね」