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【UFC273】MMAの未来イアン・ギャリー─02─「コナー・マクレガーのように成功する。僕のやり方で」

【写真】セレモニアル計量では笑顔いっぱい、早くもハイテンションだったギャリー(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、フロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナで開催されるUFC273で、ダリアン・ウィークスと対戦するイアン・ギャリーのインタビュー後編。

コナー・マクレガーの後を追い、彼のような成功を収めることが目標のギャリーは、「自分のやり方でやり遂げる」と言い切った。明るく多弁、ファイトはキレキレのギャリーからは無敗のモノだけが持ちうる──一点の曇りもない真っ白な自信が感じられた。

<イアン・ギャリー・インタビューPart.01はコチラから>


────確かにファイトは素晴らしいモノがありましたが、コナー・マクレガーによりトラッシュトークはMMA界の常識になり、彼自身はトラッシュトークに収まらず暴力事件といって良い行動を起こすこともありました。

「柔道や相撲を見ていても、コナーのやり方は日本の文化とは全く正反対だよね。対戦相手のことを凄く尊敬している。コナーはショーマンなんだよ。決して相手をリスペクトしていないわけじゃない。ファンの期待に応える、鏡のような存在なんだよ。コナーはファンが何を望んでいるのか、本当に理解している。

彼は自身の言動によって、ファンがどんな反応をするかまで把握できている。そして彼が何かコトを起こすだけにファンはコナーのことだけでなく、UFCを話題にする。ファンはずっとコナーが何をして、どんなことを話したかを覚えている。正しいことをしたかといえば、きっとノーなんだろう。でも、誰も彼を忘れていない。今もコナーを話題にしている。彼は市場を理解していた。そして世界に自分が何者かをアピールし続けたんだ」

──コナー・マクレガーは素晴らしいです。でも、多くの選手が彼をコビーしてコナー・マクレガーもどきになった。

「もちろん、コナー・マクレガーは唯一の存在だ。あの価値を持っているファイターは。だから、僕は彼のような言動をしようとは思っていない。僕もファイターだから『アイツを倒す。KOしたい』ぐらいのことは言うよ。でも、僕は対戦相手を尊敬している。失礼な態度を取ることはない。握手を断られた時以外はね。もちろん、向うが何かを仕掛けてくれば、それなりに対応させてもらうよ。舐められちゃいけないからね。対戦相手が僕をリスペクトしてくれれば、僕だって同じようにリスペクトする」

──その方がクールですよね。正直、コナー・マクレガーが大成功を収めたあとでアイルランドからジェイムス・ギャラガーが出てきたとき、二番煎じで面白くなかったです。

「アハハハハ」(と大笑いし、手を叩いて喜んだ)。

──だからイアンがそういう言動をしても、『また出てきた』と思ったかと。規律と尊敬心を重んじる今回の言葉を聞くことがデキて、ずっとクールだと感じました。

「僕はファイトを愛している。でも、自分のことをファイターだとは思ってない。コンペティションが好きなんだ。だから僕は自分はコンペティター、競技者だと思っている。ファイターじゃなくて、自分以外の選手と顔を突き合わせて勝負がしたいんだ。何も嫌い合っているわけでもない。ただ、相手に勝ちたい。だから過剰な言動は控えたいんだ。落ち着いて、しっかりと自制して戦いたい。そして、僕がどれだけのモノなのかを世界に見てほしい。僕の技量はコナーと比べてどれくらいなのかを知りたいんだよ。

オクタゴンに入ると。そこは僕の場所だ。僕が自分を見せる場所なんだ。僕がどれだけ優秀なのかを世界に披露する舞台、それがオクタゴンなんだよ。

僕が口にすることは全て本音だよ。フェイクはしたくない。メディアに対してもそうだよ。僕は僕でしかない。どんな人間なのか、メディアと話す。子供の頃から、多くの人に『静かにしろ』って言われてきたよ。落ち着けってね。僕は自分のエネルギーを抑えることができなくて、喋り倒してきたんだ(笑)。

そうだね……コナー・マクレガーのように成功を収めたいよ。100パーセント、そう思っている。でも、自分のやり方で成し遂げるよ」

──素晴らしいです。その熱い想いをぶつける相手が、ダリアン・ウィークスになるわけですね。どのような印象を持っていますか。

「彼はレスラーだ。グラウンドに持ち込みたいだろうね。クリンチワークからテイクダウンを狙ってくるはずだ。そういう風に仕掛けてきたとき、きっとビックリするだろうね。僕の一つ一つの動きに。

自分が戦いたいようにゲームプランを立ててくれば良いと思っている。どんなゲームプランを考えてきても、試合は僕のモノだ。僕が思ったように、試合は進む。だからダリアンには万全の体調でオクタゴンに上がってほしい。僕が勝った後で、どんな言い訳もしてほしくないから。彼の拳じゃ、ギャリーを倒せない。それは絶対。以上だよ(笑)」

──ところでサンフォードMMAに拠点を移したのは?

「ロリダの暖かい日差しと青い空、パームビーチが気に入ったからだよ(笑)。UFCとサインをした時、エリートクラスの選手が集まるジムで練習をしなければいけなと思ったんだ。UFCウェルター級やBellatorのウェルター級選手が鎬を削り合っている環境に身を置きたいと思った。

もっと強くなるために、追い込んで、押し上げてくれる場所で練習しないといけないってね。サンフォードMMAには、そういう練習環境がある──世界一のジムだよ」

──佐藤天選手が言っていることと同じですね。高い志を持つ選手達と練習したいと。

「サトーとは一緒に練習しているよ!! 僕らは互いにプッシュしている。彼とは毎朝、『オス』って挨拶をしているんだ(笑)。サトーと僕はきっと日本とアイルランドのジムで同じ状態だったと思う。練習相手とは違う、強い意志を持って練習してきた。自分と同じような気持ちで、MMAを戦うメンバーが周囲にいなかったんだと思う。自分の国、ジム、友人から離れるって簡単じゃない選手が多い。でも、僕にとっては何も悩むことはなかった。世界一になるためには、世界一の練習が必要だったからアイルランドを離れることはイージーチョイスだったよ。

凄くシンプルなことさ。そうしないと世界チャンピオンにはなれない。サンフォードでは皆、そういう気持ちで練習しているんだ。全ての局面で、世界最高のコーチがいる。世界各国の団体でトップだったファイターが集まって、死に物狂いで練習している。互いがケツを叩いて、強くなろうしている。僕が世界のベストになるために必要な練習環境、それがサンフォードMMAだったんだ」

──佐藤選手はギャリーは凄く良いヤツで、打撃は元々強くグラップリングも上達していると言っていました。

「そうかい? 嬉しいね。サトーの言う通り、打撃はそこそこ自信はあった。でもサンフォードに来てから、ずっと良くなっている。グラップリングも自分では、そこそこの知識はあったつもりだったけど勉強することだらけだよ。マットの上で他の選手が練習をしているのを眺めるだけでも勉強になる。ロールもそうだし、心肺機能系のトレーニングも本当に興味深い。サンフォードの一員になって、自分の将来を想い描くのが本当に楽しくなったよ」

──こうやってインタビューで話し、イアンの試合がより楽しみになってきました。土曜日、期待しています。

「誰も僕を止めることはできない。何が起ころうが、問題ない。それだけの覚悟と自信をもってケージで戦うよ。どれだけ高いレベルの試合がUFCで行われても、いつだって僕に賭けてほしい。誰も僕を止めることはできないから」

──では日本のファンにメッセージをお願いします。

「6月、シンガポールでUFCが開かれるよね。そこで戦いたい。まずはアジアだ。東南アジアの空気を吸いたい。MMAを戦っていて最高なのは、世界中で色々なカルチャーに触れられることだよ。アジアにはまだ行ったことはない。だからこそシンガポールのファンに喜んでもらえる試合がしたい。そして、シンガポールの次は──ジャパンだよ!!」

■視聴方法(予定)
4月10日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前11時00分~WOWOWライブ

■UFC273計量結果

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー: 144.5ポンド(65.54キロ)
[挑戦者]ジョン・チャンソン: 144.5ポンド(65.54キロ)

<UFC世界バンタム級統一戦/5分5R>
[正規王者]アルジャメイン・ステーリング: 134.5ポンド(61.0キロ)
[暫定王者]ピョートル・ヤン: 134ポンド(60.78キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ: 170ポンド(77.11キロ)
カムザット・チマエフ: 170ポンド(77.11キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン: 115.5ポンド(52.38キロ)
ティーシャ・トーレス: 115.5ポンド(52.38キロ)

<ライト級/5分3R>
ビンチ・ピチェル: 155.5ポンド(70.53キロ)
マーク・マドセン: 155ポンド(70.31キロ)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー: 170.5ポンド(77.34キロ)
ダリアン・ウィークス: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 252.5ポンド(114.53キロ)
マルチン・ティブラ: 253ポンド(114.75キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
アスペン・ラッド: 136ポンド(61.69キロ)
ラケル・ぺニントン: 134.5ポンド(61.0キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル: 170.5ポンド(77.34キロ)
マイク・マロット: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク: 244ポンド(110.67キロ)
ジャレッド・ヴァンデラ: 266ポンド(120.65キロ)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・ヘルナンデス: 186ポンド(84.37キロ)
ジョシュ・フレムド: 185.5ポンド(84.14キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス: 115ポンド(52.16キロ)
ケイ・ハンセン: 118.5ポンド(53.75キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジュリオ・アルセ: 136.5ポンド(61.91キロ)
ダニエル・サントス: 135ポンド(61.24キロ)

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