【Shooto2021#07】女子Sアトム級王者・黒部三奈─01─「私はSARAMIちゃんのことが大好きですから」
【写真】SARAMIが挑戦者に決まった時ですら、ケージ内で自撮りをする黒部。SARAMIの表情からも両者の関係が伺える (C)MMAPLANET
6日(土)、東京都江東区のスタジオコーストで行われるShooto2021#07で、世界女子スーパーアトム級王者の黒部三奈が、挑戦者SARAMIを迎え撃つ。
Text by Shojiro Kameike
黒部にとっては昨年8月に獲得したベルトの初防衛戦であり、SARAMIは今年7月に修斗初参戦ながら中村未来との挑戦者決定戦に勝利して、今回の対戦に至った。両者は過去2度対戦し、いずれも黒部が勝利を収めている。同時に、普段は練習を共にしている間柄だ。SARAMIが王座挑戦権を獲得した直後には、ケージインした黒部との仲睦まじいやり取りが展開されていた。
そんな2人の激突直前、王者の黒部に現在の心境を訊いた。
――今年7月に中村未来選手を下したSARAMI選手を挑戦者に迎え、修斗女子世界スーパーアトム級王座の防衛戦を行うことになりました。そのSARAMI選手は、普段は一緒に練習している仲間なのですね。
「はい。日曜日にマスタージャパンで、他のジムの女子選手が集まって一緒に練習しているんですよ。何年も前から一緒にやっています。いつも参加しているのは、メイさん(V.V.Mei)、藤野(恵実)さん、富松(恵美)さん、それとSARAMIちゃんですかね」
――SARAMI選手とは過去に2度対戦し、いずれも黒部選手が勝利しています。2度目の試合は2018年3月に行われていますが、その時点では一緒に練習していたのでしょうか。
「いえ、2018年はまだ練習していなかったです。その試合がキッカケで、一緒に練習することになったのかな……。もう何年も前のことなので、詳しくは覚えていないんですけど」
――SARAMI選手も含めて、いま名前が挙がったのは階級も近く、対戦する可能性もある選手ばかりですが……。
「仕方ないですね。各ジム、そんなに女子選手っていないじゃないですか。特にプロで上のほうにいる選手が集まっているジムはなくて。すると、そこまでガッツリ練習できる相手がいないんですよ。自分のジムでは男性とも練習しているけど、やっぱり実戦に近いレベルの練習は、女性が集まってやらないと分からないこともあるので。だから週に1回ぐらいは――という気持ちで集まって練習しています」
――なるほど。
「そもそも、みんな対戦することもあるかな、と思って練習しているところもありますよ。でも、しょうがないよねって」
――実際に、9月のRIZINでは練習仲間でもある浜崎朱加選手と藤野恵実選手が対戦しました。今後、対戦する可能性がある選手と全力で練習できるものなのですか。
「私は、できます。手の内を見せたくないとか言う人もいますけど、私はもともと強くなりたくて格闘技を始めているわけだし、そんなことは気にしていないですね」
――では、そのSARAMI選手の練習はいつまで行っていたのでしょうか。
「挑戦者決定戦まで、ですね。前回のSARAMIちゃんの試合が、挑戦者決定戦と発表されて……そうなるとSARAMIちゃんが勝ったら対戦する可能性があるわけじゃないですか。そうしたら彼女から『次の試合が終わるまでは練習してもらっていいですか?』って連絡が来て。私も『もちろん、お願いします』っていう感じでした」
――そうした仲が、SARAMI×中村未来戦直後のやり取りに繋がっているわけですね。ほんわかした会話といいますか……。
「アハハハ! 私はSARAMIちゃんのことが大好きですから。もちろんSARAMIちゃんのことを思いっきりぶっ倒そうと思っているけど、それは試合の時だけ。会見とかの場では、普段の会話になっちゃいますね(笑)」
――普段の練習でも、そのような感じで。
「そうですね……いや、もしかしたら対戦するかもっていう流れになってきた時は、練習の時もバチバチだったことはありました。そこまで熱くなることはないけど、スパーリングでラウンドの最後とか、相手が打ってきても引かないで打ち返すとか(笑)」
――アハハハ、練習だから仕方ないですよね。今はUFCを中心としてMMAの世界では、女子のレベルが急速に上がり続けています。そんななかで、日本のトップ選手が一緒に練習してレベルを上げていかなければいけないのも、当然かと思います。その点でいえば、海外の女子の試合については、どのように見ていますか。
「……海外の選手と、そんなに凄く差があるとは思っていないんですけどね。スタンプ選手と対戦してみたかったなぁ、とは思いますけど」
――ONE女子アトム級GPに対して、思うところはありますか。
「別にイベント自体に、特に思うところはないです。女子だけのトーナメントとか、こだわりもなくて。私としては、試合ができればいいかなって(笑)。できれば知らない相手と試合がしたい。そうなると海外の選手と対戦したい、っていう気持ちはありますけど」
――すると、今の黒部選手にとってMMAを戦ううえでの目標は何なのでしょうか。
「うーん……私は自分の年齢のことは気にしていないですよ。気にしていないです。気にしていないけど――この先に何があるかは分からないじゃないですか。
もっと自分が若ければ、ONEで試合ができたかもしれないし、次の試合に勝ったらもっと上に行きたいとか思っていかかもしれないです。でも今の私にとっては、次の試合を本当に思いっきりやる。それだけなんですよ。今この年齢で試合の舞台に立てていること自体が、凄いというか(笑)」
――黒部選手は現在44歳、確かに凄いことだと思います。
「だからこそ……毎回、最後の試合のつもりで準備しています。できるかぎりのことを、本当に毎日やる。もしかして、明日はないかもしれないから。でも不思議だけど、今すごく元気なんですよ。本当に――若返っているなっていうぐらい(笑)」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後1時00分~ ABEMA格闘チャンネル
■ Shooto2021#07対戦カード
<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
[王者] 黒部三奈(日本)
[挑戦者] SARAMI(日本)
<修斗暫定世界ストロー級王座決定戦/5分5R>
猿丸ジュンジ(日本)
黒澤亮平(日本)
<フェザー級/5分2R>
結城大樹(日本)
岩本健汰(日本)
<フライ級/5分2R>
高橋SUBMISSION雄己(日本)
山内渉(日本)
<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
澤田千優(日本)