【Road to ONE05】野尻定由と対戦、山本空良─02─「格闘技をやりたいと思ってもらえる試合がしたい」
【写真】しっかりと話せる。そんな印象の山本空良です (C)NOB YASUMURA
5日(火)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-Eastで開催されるRoad to ONE「Sexyama Edition」も出場し野尻定由と対戦するする──NEXUSフェザー級チャンピオン山本空良インタビュー後編。
Text by Shojiro Kamaike
山本は幼少期から練習を共にしている西川大和と同じく、現代MMAの中で下になることも厭わないスタイルで戦ってきた。今後は世界を目指して戦っていくうえで、その戦い方に変化が見える。そんな山本がRoad to ONE参戦、野尻戦、そして今後について語った。
<山本空良インタビューPart.01はコチラから>
――子供の頃から一緒に練習している西川大和選手は、修斗の世界ライト級チャンピオンシップで、下からのパンチとヒジでダメージを与えて勝利しました。それはスクランブルの展開が多く、トップを取ることが有利となる現代MMAでは異質なスタイルです。山本選手も下になることが多いのですが、試合を見ていてどう感じていますか。
「正直言うと、そのスタイルはやめたほうが良いと思っています。いろんなファイトスタイルがあるのが、MMAじゃないですか。このスタイルで世界を獲ることができるかどうか――僕は、それは難しいと思っているので」
――ものすごく正直な意見ですね。
「先日の世界チャンピオンシップを見ていても、『もっとリーチがある相手、もっとパンチがある相手ならどうなんだろう?』と思いました。MMAでは、上に行けば行くほど、相手のパンチも強くなっていくじゃないですか。もちろん大和も、そこは考えながら戦っていると思うんですけど」
――山本選手も、以前は下になることが多かったと思います。しかし最近の試合では、上からサブミッションを狙ったり、スタンドの打撃を重視する試合になってきていますよね。
「はい。最近は、スタンドの攻防を集中的に練習しています。それは『スタンドで勝ちたい』とか『上を取ったほうが勝率が良い』ということではなく、どうすれば相手を早く倒せるかを考えているからなんです」
――それだけ自身の中でMMAファイターとしての幅が広がっているということですか。
「今まで、相手はグラップラーが多かったんです。だから打撃――パウンドが得意ではない選手が相手だから、下から極めて勝つというフィニッシュを選ぶこともありました。でも今は、僕もMMAファイターとしての幅が広がってきていると思います。自分としては寝技も打撃もできたうえで、相手の弱いところを衝く選手になりたいですね」
――プロデビュー以来、PFCとZSTを中心に戦ってきた山本選手ですが、2019年からネクサスに参戦し、今年はフェザー級のベルトを獲得しました。
「何て言うんだろうな……ネクサスのベルトを獲れたことは、すごく嬉しかったです。でも、それで調子に乗ったり、甘えが出るようなことではいけないと思うんです。ネクサスのベルトを獲って、初めてスタートラインに立てたというか」
――スタートライン、ですか。
「まだ自分は完成されていません。もっともっと強くなります。このベルトを獲って、そして防衛していくことで、自分は強いファイターなんだと胸を張って言えるんじゃないかと思います」
――強くなって目指す先はRIZINなのでしょうか。ネクサスのベルトを巻いた時に、「RIZINに出たい」という発言がありました。
「もちろんRIZINに出させていただければ嬉しいんですけど、僕はずっと海外を目指してきました。世界最強のファイターになりたいんです。男だったら、世界で一番強いと言われたい。だから今、最強の舞台がUFCであれば、そこで戦いたいです」
――今回の大会はRoad to ONE、つまりONE Championshipを目指す興行です。ONEに対しては、どのような印象を持っていますか。
「ONEはアジアで一番強い人が集まる大会だと思っています。軽量級では、UFCに負けないぐらい凄い選手が揃っています。特に立ち技が強い選手が多くて……。試合を見ていると、もうヤバいですよね(苦笑)」
――そんなONEに出ているファイターと比較して、今の自分はどのような位置にいると思いますか。
「グラップリングだけなら、通用するんじゃないかと思っています。でも強いストライカーが多いですからね。UFCと同じぐらい強いストライカーに対して、どう戦うか。昨年からコロナ禍の影響もあって、試合数も減りましたが、今はとにかく強い選手に挑戦していきたい。試合で勝つか負けるかというより、どんどん強い選手と対戦して成長していきたいです」
――なるほど。今回、Road to ONEからオファーが来た時の感想を教えてください。
「ビックリしました(笑)。まさかオファーが来るとは思わなかったので。たくさんの方が注目してくれる大会ですし、Road to ONEを通じて自分のことを知ってほしいです。初めて僕の試合を見る方にも、ネクサスのチャンピオンがどんなものなのか見せたいですね」
――対戦相手は、修斗世界バンタム級9位の野尻定由選手です。どのような印象を持っていますか。
「実は、野尻選手の試合は見ていないんです。僕は相手のことは知らずに試合をするタイプで……父からは『テイクダウンを狙ってくる選手だよ』と聞いているので、だいたいのイメージは出来ています」
――では、野尻戦でどんな試合を見せたいですか。
「試合全体を通して、自分が全部支配したいと思っています。全てコントロールして、圧倒的に勝つ。狙うのは、1Rでの勝利ですね。見ている人が『自分も格闘技をやりたい!』と思ってくれるような試合をしたいです」
――『次の試合も見たい』ではなく、『自分もやりたい』と思ってくれる試合、ですか。
「僕のなかでは、一本かKOで勝つのは当たり前で、なおかつ1Rで狙いに行きたいです。格闘技ってやっていると楽しいんですけど、見ている人にとっては、漬け込んだりする試合は面白くないじゃないですか」
――……。
「でも、そんな展開の中にも技術があるんですよね。実際に格闘技をやってみると、そういうことも分かってくると思うんです」
――確かに野球やサッカーなどは、子供の頃から遊びの中で野球や慣れ親しんでいるから、バンド攻撃やオフサイドも当然のように受け入れることができるのかと。
「そうなんですよ。たとえば、打撃が得意だった選手が、どれだけグラップリングを練習して、MMAではパウンドで勝つのか。そこには選手の技術と努力があります。選手には何かしらの上手さがあって、努力をしている。だからプロの舞台に立つことができています」
――まず格闘技への理解を深める入口づくりが重要となりますね。
「格闘技もやってみると本当に奥が深いし、それが分かると見るほうも楽しくなるはずです。だから僕はRoad to ONEを通じて、『自分も格闘技やってみたい!』と思ってくれる試合を見せたいです」
■視聴方法(予定)
10月5日(火)
午後5時00分~ ABEMA格闘チャンネル
■ Road to ONE05対戦カード
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
竹中大地(日本)
<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
キャプテン☆アフリカ(日本)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
小野島恒太(日本)
山本聖悟(日本)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
山本空良(日本)
野尻定由(日本)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
須藤拓真(日本)
南風原吉良斗(日本)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
河名マスト(日本)
新関猛起(日本)