【Road to ADCC】世界王者対決=上も下も鉄壁の支配カイナン・デュアルチ✖閃光マテウス・ジニス
【写真】カイナン✖ジニスの階級を越えたワールチャンプ対決。世界大会は1年延期されたが、このようなワンマッチ大会の開催は嬉しい限りだ (C)SATOSHI NARITA
17日(土・現地時間)、テキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンにてFlograppling主催のRoad to ADCCが開催される。
Text by Isamu Horiuchi
今大会はその名の通り、パンデミックの影響で来年に延期されたADCC世界大会の前哨戦となる。ルールは、ADCCのスーパーファイトに基づいたものだが、延長戦はなく本戦20分のみ──前半はスコアがカウントされず、選手は一本勝ちのみを目指し、10分経過時から加点時間帯が開始する。
ただし、引き込みに関しては試合開始時からマイナスポイントが与えられることなっている。そんなRoad to ADCCのメインを飾るのは、2019年のADCC世界大会99キロ以上級優勝のカイナン・デュアルチと、同大会88キロ以下級優勝のマテウス・ジニスによるチャンプチャンプ対決だ。
本来デュアルチの適正は一つ下の99キロ以下級だろうが、それでもジニスとはひと回り以上体格が違う。デュアルチは、来年のADCC世界大会無差別級優勝の最有力候補とみられる選手で、昨年末のWNO 05ではホドウフォ・ヴィエイラとの新旧頂上対決にてチョークで圧勝している。
今年に入っても3CGグラップリングにてテックス・ジョンソン、メイソン・ファウラー、ヴィクトー・ウゴといった強敵を退けて優勝するなどここまで全勝だ。
対するジニスは、今年の試合出場はこれまで先月末のBJJ Stars におけるルーカス・バルボーザとのノーギ戦のみ。テイクダウンで先制されたものの、終盤にアームドラッグで崩して斜め後ろを取ることに成功し、RNCをセットしバルボーザを失神に追い込んだが、タイムアップ後と判断され惜敗している。
それでも今年の柔術世界王者相手に大きなインパクトを残してみせた事実に変わりないジニスは、師マルセロ・ガウッシア譲りのウェルラウンデッドな技術を持つ。
最大の強みはトップゲーム。19年ADCC準決勝のジョシュ・ヒンガー戦(カニバサミを仕掛けて下になったヒンガーに対し、試合終了寸前にパスを決めて勝利)と決勝のクレイグ・ジョーンズ戦(ジョーンズのテイクダウン狙いを切り返してポイントを奪って勝利)、前述のバルボーザ戦等、超強豪との試合では決して自ら下になることはなく、トップからの戦いに徹して勝利している。
対してデュアルチは自ら下になることも辞さない。前述した2019年ADCCでは準決勝のブシェシャ戦、決勝のニック・ロドリゲス戦と強靭な足腰を活かした鉄壁のニーシールドで相手の勢いを止め、胸を蹴ると同時にシングルに移行して瞬時に反撃に転じてみせた。
加えてデュアルチはスタンドレスリング自体も得意にしており、19年にはブシェシャの雪崩の如きテイクダウンを見事な足捌きで防ぎ後半は有利に戦い、また昨年のホドウフォ戦ではスタンドでの一瞬の崩しから見事にバックを奪って勝利している。
体格的にも、トップからもボトムからも戦える戦術の幅という点でもデュアルチの有利は動かないと思われるこの試合だが、ジニスはワンチャンスをモノにする術が秀でている。
ばかりか2019年のADCC世界大会のように、相手が見せた少しの隙も逃さず確実にポイントを取り勝ち切る勝負勘の持ち主だ。一つのミスが命取りとなる緊張感のある攻防が期待できるワールドチャンプ対決だ。
■視聴方法(予定)
7月18日(土・日本時間)
午前9時00分~Flo Grappling