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【ONE116】イベント終了直後の青木真也─02─「俺はもう頑張れない」&「頑張る理由がないんだもん」

【写真】青木真也は辞める理由を見つけるのではなく、戦い続けるための理由を創り続けている(C)ONE

22日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されたONE116「Unbreakable」でジェイムス・ナカシマをネッククランクで一蹴した青木真也を──ABEMA TVとMMAPLANETが行った共同&単独インタビュー第2弾。

前回の立ち技の攻防から、話題は『下がれない環境を創って、試合に挑む』という試合の臨む尋常でない背景を青木が語った。

<青木真也インタビューPart.01はコチラから>


──両ワキを差してバックに回りました。

「多分、さっき言ったように右が効いていたんだと思います」

──ナカシマから受けのプレッシャーはなかったですか。

「なかったですね。きっと前の試合でTKO負けしていて、あの試合が大きいんだと僕は思います。岡見選手との試合を見ていると、もっともっと来る選手のはずなので。あの前戦でリズムを崩したんじゃないかと」

──10月30日にキャムラン・アバソフとヒザからパウンドを受けてTKO負けですしね。

「あの試合の影響はあると思います」

──それはあったとしても完璧な一本勝ちでした。ところで今回の試合も青木選手はやるだけやれば勝敗はついてくるものという発言をしていますが、実は青木選手ほど負けられない試合、負けると失うモノが多い状態で試合をしている選手は国内にいないと思います。

「確かにそうかもしれないですねぇ」

──論客というポジションも、選手であるうちは勝っていないと説得力はなくなる。そしてABEMAではMMAを数字で引っ張らないといけない。そのために積み上げてきたもの、これからやっていくことが敗北で崩れてしまう。この状況で、よくあの勝ち方ができたと感心しました。

「それで言うと……普通じゃ頑張れなくなっていると思うんですよ。普通じゃ、俺はもう頑張れないんです。色々な人を巻き込んで下がれない理由を創らないと、下がっちゃうと思います──正直(苦笑)。

ここまで試合前のプロモーションを含めて、色々と付き合って頑張らせてもらったこともあるし。ホント、DDTのレスラーの皆さんにも協力してもらっているから僕、下がれないんですよ。

勝ち負け……何だろうな、負けても意地を見せることができなかったら。寝ました、ゴロンって倒されましたってことをやったら、ちょっとなぁっていうことを想っちゃうから。意地──なんか下がれないような状況を創らないと頑張れないのかもしれないです」

──格闘技が好きなだけなら、練習して、指導をしていうことだけでも続けることはできます。

「ですよね。それは皆が続けることができる(笑)」

──けれども引き下がれない状況を創ってまで勝負へ挑むのですね。

「もう無理ですね。そういうことをしないと、頑張れないです。例えば意地悪な言い方になってしまいますけど、修斗で1試合──休憩前にただ試合をするっていうんだったら頑張れないと思います」

──人を巻き込んで、その人たちのためにも勝つという気持ちがあるのは、自分のためだけに戦うよりも粘ることができると個人的に思っています。だから、青木真也は強さをキープできているのかと。

「ホント、もう頑張れないと思います。頑張る理由がないんだもん、正直言うと。2003年から試合をやってきて、55戦、56戦目とかですよね。『取りあえずベルトも獲って、防衛とかもして。地上波にも出て──もう良いじゃない、あんた』って若い子は思っちゃいますよね。

回りが『もう良いじゃん』って思っていると僕も流されちゃうから、頑張れるために人を巻き込んで担がれないと頑張れない」

──神輿に乗せてくれる人がいるから、頑張ることができる?

「ハイ。若い子たちはそういう意味では凄いですよ。自分を認めさせたいとか、そういうことで頑張れる。僕もそれでやって来たけど、いつしか……それだとしんどくなりますからね」

──そこが青木選手は団体と一緒に何かを創っていくという風に人を巻き込んでいました。ONEともABEMAの中継が始まり、日本大会が始まる時にそのように創ってきました。今回はそうではなく青木選手個人の物語という体でしたが、大会前のシンガポール本隊の青木選手の試合のプッシュは相当なモノに感じました。この経験を経て青木選手個人のストーリーとONEの日本での活動がリンクしてくることはあるでしょうか。

「言うたら4回とかチャンピオンシップで勝ってきたので、『俺たちのチャンピオンだ』という風に想ってくれているのは感じました。10年、やってきましたからね。それだけの想い入れを持ってくれていることは、凄く有難いと思います」

──それは日本にいる時よりもシンガポールでより感じられた部分でしょうか。

「まぁ来たら、来たで人当りは皆良いから。良くしてくれるし。必要としてくれたら頑張ります。ただ無理にやっていこうという意識はそれほどないです」

──北岡選手がABEMAの解説で、この相手にこの勝ち方ができる青木真也を日本で格闘技を生業にしている人間は無視するなというようなことを言っていました。

「難しいこと言いますね(笑)。真っ直ぐですよね。そこでいうと僕は思ったことを言い続けます。正しいと思ったことを言うし、僕は頑張っている。ただし、それを認めてほしいとはあまり思っていないかな」

──では共同会見で秋山選手の名前を対戦相手候補として挙げていました。あれは国内を揺り起こす方向へ発言かと捉えたのですが。

「日本でやるなら、そういうことをしないとダメじゃないですか。でも、今は秋山じゃないです。正直な話をすると。だからといってクリスチャンとやりたいというのは正直ない。1回やっているし。あの試合は僕の中で割と大きくバトンタッチをしたという要素もあるから。だから1、2回、勝負論のある試合をできるうちにさせてもらったら良いかな。秋山はその後で」

──タイトルは目指さないですが、ナカシマ戦のようなONEのなかで負けたら終わりという勝負論のある試合を望むと。

「タイトルとか全然思っていないから。でも、下りたくない。いつだってレジェンド枠というか、わちゃわちゃイージーなファイトに切り替えて見せるのは、別に苦手じゃないからできるとは思っています。でも、もうちょっとやっておかないと。できるうちにやっておくと、良い厚みがつくからやっておきたいです」

<この項、続く

■ONE Unbreakable II視聴方法(予定)
1月29日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App

■ONE Unbreakable II対戦カード

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
マウロ・チリリ(イタリア)
アブドゥルバシール・ヴァガボフ(ロシア)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
アラン・ンガラニ(香港)
ウマウ・ケニ(セネガル)

■ONE Unbreakable III視聴方法(予定)
2月5日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App

■ONE Unbreakable III対戦カード

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)
スタンプ・フェアテックス(タイ)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
佐藤将光(日本)
ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)

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