【ONE114】ゲイリー・トノン戦から3週間、松嶋こよみ─02─「大塚(隆史)さんと練習をすることに」
4日(金・現地時間)、シンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されたONE114「Bing Bang」で、ゲイリー・トノンとの大勝負に敗れた松嶋こよみインタビュー後編。
組技師との敗北で気付いた、MMAに不可欠な組み技力。そして松嶋はMMA界には打撃を伸ばすために、かつての同門であり先輩ファイターとのスパーリングを再開した。
<松嶋こよみインタビューPart.01はコチラから>
──今回の敗北を経験して、今後の練習方法などでも考えることはありましたか。
「明確にはなっていませんが、試合のためにグラップリングの練習をしていたのを普段から、トノン戦のような取り組みをしないといけないとかと……。普段から寝技を意識することができれば、もっと自分の打撃を伸ばすことができる。MMAで戦うためには、もっと寝技が強くならないといけないと思っています。
それと大塚(隆史)さんとの練習を週に一度ぐらいでやっていくことなりました」
──大塚選手ですか!!
「ハイ、もともとはAACCの先輩で岩﨑(達也)先生に打撃の指導を受けていたのですが、また一緒に練習することになったんです。やはり僕がやってきたなかで、レスリングと打撃を混ぜている人ってなかなか少なくて。
この間、スパーリングをしたのですが、大塚さんにテイクダウンを取られるんです。タイミング良く、入られたりして。結果、下、上と関係なくスクランブルの練習になっています」
──大塚選手との練習はどこで行っているのですか。
「T-GRIPです。岩﨑先生に見てもらって、打撃からテイクダウン、スクランブルまでのスパーリングです」
──武術空手の理が、MMAに生きるスパーということでしょうか。
「空手が生きるというか、打撃とレスリングの組み合わせで──レスリング出身同士、岩﨑先生の打撃を知っている者同士でもあります。そうしたら、スピードが合うんです。
トノンと戦って、凄くスピードが違っていました。僕のスピードで戦うことができれば、もっと良い動きが出せたはずです。結局、僕はトノンのスピードに合わせてしまった。結果的に打撃も入らず、中途半端になった。
自分のスピードに合った練習ができれば、そこを突き詰めることになるのではないかと。それを大塚さんとの練習で追及していければ良いかと思っています」
──試合中に我がままを通すには、相当の努力が必要になりますね。大塚選手との練習に関して、北岡選手はどのような意見なのですか。
「どうですかね……、そこに関しては特に深くは話していないです。ただ『横浜に練習に来てくれて良いから』と言ってくれています」
──岩﨑さんと松嶋選手が取り組んでいることは、MMA界においてもほぼほぼ理解されないことだと思っていたのですが、大塚選手は分かり合えるのですね。
「そうですね、大塚さんも必要だったから岩﨑先生と再び連絡を取り合うようになったと思うんです。会場で会って挨拶や話をすることはあったのですが、肌を合わせるのは4、5年振りでした。
成長した2人が練習するって言うのは、なんか変な気持ちです(笑)」
──変な気持ちなのですか(爆)。
「なんか心地良いことが、変な感じで(笑)。良い練習になっています」
──分かる者同士の練習が効果的なら、分かる人が多い方が良いわけですよね。ただし、そこが難しそうです。
「分かってくれないと練習にならない部分はあります。ただ空手が分かり、レスリングが分かっていても力量差があると、自分が圧力をかけても掛からない人もいます。だから大塚さんとの練習は、どこにいると危ないとか分かっている人との練習になるので、頭も動きも回転が速くなります」
──対戦相手には理解できないことを、理解できる練習パートナーと積むことができるという利点があるわけですか。
「試合になれば『危ない』っていう感覚は誰しもが持っているとは思います。マルロン・サンドロと戦った時、彼が僕の圧力を嫌がっているのが分かりました。もちろん、僕もサンドロの圧力が嫌でした。でもあの人は空手なんか全く知らないわけで。それでも、危険だ、嫌だという空気を感じることができる。
つまり知らない人に嫌だと思わせることはできるということです。そんな相手が嫌がる部分を養うことができる練習、試合に必要になるスパーリングを大塚さんとやっていきたいです。
トノンとの試合では、僕のエネルギーがどんどん小さくなっていきました。それをもっともっと大きくしていきたい。それが可能な練習だと思います」
──運命ではないですが、互いに一度は離れた指導者の下で手を取り合う。このタイミングだったのでしょうね。
「そう思います。大塚さんが修斗のタイトルに絡めるタイミングで再会できて良かったです。僕にとっても、大塚さんにとっても良い練習になるに違ないです」
──ではトノン戦の敗北を経て、2021年を迎えることになります。
「ここでまた躓きましたが、ONEで僕は本当に良い相手と戦うことができています。そのなかで、もう取りこぼせない。また負けられない試合が待っていると思います。
2連敗して、その先があるかといえば──それはないです。次の試合が今後のMMAファイター人生に大きく影響してくる。だからこそ、絶対に落とせないという気持ちで日々の練習に取り組んでいきたいです」