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【RFC14】チーム・バジリスクから韓国RFCへ、手塚基伸

Motonobu Tezuka

【写真】団結し始めた関西軽量級勢の力をキム・スーチョル相手に見せることはできるか (C)MMAPLANET

2月9日(日・現地時間)に韓国ソウルのオリンピックホールで開催されるRFC14で、キム・スーチョルと対戦する手塚基伸。

UFCリリース後、パンクラスからVTJを経て選んだ戦いの場は韓国のROAD FCだった。今回の参戦を前に、関西在住ファイターならではの練習環境の改善に乗り出していた手塚の話を訊いた。

──2月9日のRFC出場が決まった手塚選手です。UFC後、パンクラスからVTJを経て、RFCに戦場を求めた理由はどこにあったのですか。

「これからMMAはケージが中心になっていくので、オファーを貰った時点で日本のリングで戦うよりも海外で戦いたいと思いました」

──国内でも5月からパンクラスが完全にケージ化し、VTJとともにユニファイドルールを使用します。RFCはユニファイドではないですよね。

「決まったレールじゃない大会に出てみたいという気持ちがありました。RFCはこれからデカくなっていきそうな気もしますし。あとは、これを言ったら元も子もないのですが、ヒジ打ちがないルールの方が自分に合っているかと思います。戦い方的にも」

──グラウンドで戦う時は、そう思う選手も実際には多いかと思います。ブラジルの国内MMAイベントもほとんどが、ヒジ無しルールです。

「下になってハーフから作っていく場合は、ヒジがあると印象が悪くなってしまいますからね」

──ということは、もうUFCに拘りはない?

「段階として、そんな感じですね。これからすぐに戻れるわけじゃないですし、どの団体でも良いのでベルトを巻きたいです。これまでタイトル戦線に絡んだことがないので。とにかく結果が欲しいです。今はUFCですけど、自分が力をつけた時点でデカい団体には出ていきたいと思っています」

──一昨年11月のマカオ大会、昨年2月の英国大会。UFCの2試合の経験とは手塚選手に、何をもたらしたのでしょうか。

「結果が全てです。アレはアレで自分のなかで精いっぱいのモノを出した形だったと思いますし。それはそれで、受け止めています。スタイル的にも自分のなかでは完成したと思っていたのですが、よくよく考えるとベタ塗り感もあって。繊細なところがなくて、大雑把に作り上げていたことに気付かされ、細かいところをやらないといけないと思うようになりました。

それはUFCで戦わないと分からなかったことかもしれないですし、出て良かったと思っています。ああいう形で急遽出場という形でないと、UFCからオファーもなかったでしょうし、結果は全然出せなかったですけど、UFCに出たことは正解でした」

──今のMMAの裁定基準だと、手塚選手の戦い方は判定では不利になるケースが多いです。極めは一本でないと評価されないですし、下からの仕掛けはほぼ評価がない。対戦相手も寝技を凌ぐ技術は十分に有している。そういう中、繊細にしていくということですが、ファイトスタイル自体はこれまで通りのスタイルを突き詰めていく感じですか。

「このスタイルを追求していきたいことはいきたいですが、色々と変えてはいます。変えられるところは、変えていこうと思っています」

──手塚選手のスタイルは、非常に興味深い。その一方で、11月のVTJでは日本人の根津優太選手にも打撃で封じこまれてしまったという事実もあります。

「根津選手との試合の次の日にボクシングジムに入会しました。あの試合も振り返ってみれば、打撃の練習はやっていたのですが、結局は練習量も打撃の比重が少なかったというのは否めないです。元々、技術云々というか、手を動かしていなかった。今は週に5、6回の練習に加えボクシングジムに通っています。それは勿論、打撃でKOするためではなくて、僕のスタイルでより戦い易くするためです」

──従来のMMAの練習は、どのようなルーティンで行なっているのですか。

「コブラ会もそうですし、パラエストラ大阪のタクミさんのプロ練習で勝手にチーム名をつけて練習させてもらっています」

──チーム名は?

「チーム・バジリスクって言います(笑)」

──バジリスク? どういう意味ですか。

「ギリシャ語で小さな王っていう意味なんです」

──つまり軽量級の選手でチームを組んだということですね。

「ハイ。もともと(石原)夜叉坊に誘われ、稲垣組の金太郎と3人で組んでチームを作ったんです。関西って、やっぱり選手が少ないので皆、集まって練習するというのはなく、練習会があるところに行って、会えば一緒にやるって感じが多いのですが、この3人は絶対に一緒に集まるようにしようっていうところから始まりました」

──バジリスクの練習の頻度はどれくらいなのですか。

「週に2回はタクミさんのところで、あとはコブラ会のプロ練習でも顔を合わせるようにしています。メンバーも徐々に増えて来て、修斗新人王(フェザー級=60キロ)を取ったパラエストラ和泉の竹中大地、稲垣組の中村晃司さん、ゴンズジムのオニボウズとかも参加して、良い感じになってきています。前田吉朗さんも水曜日に来てくれますし」

──パラエストラ大阪で週に2回というのは……。

「ハイ、タクミさんがケージを入れてくれたからです(笑)。タクミさんには頭が上がらないです。技術も惜しげなく教えてくれて。これまで関西在住の選手は、関西の大会が主になるので試合で当たることを考えて、あまり合同練習でも技術的な練習ができなかったんです。関西同士で勝たないと東京に行けなくて、潰し合いが必要になる。だから仲は良くても、スパーをやる程度で。そこから変えていこうと思いました」

──まずは東京に出て……ということではない、ステップアップ方法を関西の選手も模索しているわけですね。

「もう、そこではないと思います。関西から海外へ出ていく選手も多くなっていますから。目標が海外になったから、ケージで練習がしたいんです。関西勢同士で意地を張っている場合じゃないと思います」

<この項続く>

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