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【ONE】初めてのリモ―トショーを終え、チャトリ・シットヨートンに訊いたONEのこれから

【写真】バンコク大会のリングにチャトリ代表の姿はなかった (C)MMAPLANET

7月31日にタイはバンコクでONE No Surrenderが開催され、ONEチャンピオンシップの活動再開が本格的に始まった。

ただし、同大会のリングサイドにはチャトリ・シットヨートンCEO兼会長の姿はなく、いわゆるONEの首脳陣はそれぞれの居住国でイベントの行方を見守っていた──のではなく、イベントを遠隔主導していた。

ニューノーマルのONEチャンピオンシップ、これからのONEの活動をチャトリ代表に尋ねた。


ビッグアナウンスは──グリーンレーン・ビザ?!

──ソーシャルベイカーズが発表した2020年上半期のフェイスブックのトータル・エンゲージ数トップ10でONEチャンピオンシップが8位にランクインしています。

「こういうランキングがあることを知らなかったので、驚いたよ。そして、この結果を得ることができたのも世界中に存在しているONEチャンピオンシップのファンおかげだから、とても感謝している」

──この8位という結果から得ることができる、最もポジティブなことは何でしょうか。

「このトップ10にはマンチェスター・ユナイテッド、リバプール、レアル・マドリッド、FCバルセロナ、チェルシー、UEFAチャンピオンズリーグ、リーガ・エスパニョーラら欧州、北米ではNBAという錚々たるスポーツプロパティが錚々たる名前が並んでいる。そのなかでアジアを代表してONEの名前があることは凄く意味のあることだ。2位にはICC(インターナショナル・クリケット・カウンシル)が入っているけど、これはもう13億の人口を抱えるインドで絶大な支持を得ているからに他ならない。

ただし、これも始まりに過ぎない。ONEチャンピオンシップは将来1位になると信じている」

──ところで7月31日にはONE Surrenderというバンコクでの無観客大会によって本格的な活動再開に乗り出しました。大会当日にバンコクを訪れることはできたのでしょうか。

「ノー、それはまだできないからシンガポールにいたよ。ONE SurrenderはONEにとって初めてのリモートショーになった。私のチームはシンガポールからオーガナイズしてね。マット・ヒュームは米国にいた。中継に関してもマイケル・シャベロは豪州で実況し、解説のミッチー・チルソンはフィリピンにいた。バンコクの実働部隊の多くはフリーランスとパートタイマーだったんだ」

──凄まじい状況ですね。

「各部署のリーダーはタイにいない、全くもってクレイジーなイベントだったよ(笑)。ただし、何度もシミュレーションをして、当日の大会開催にこぎつけたんだ。ホント、なんとかなって良かったね。

我々は常に世界規模の連係を行ってイベントを開いてきたけど、この経験は初めだったよ」

──WOW。そして、あれだけの大会となりました。

「いや、全く満足できるショーじゃなかった。小さな課題が数多く見つかった。イベント後に、私はチームを厳しく叱責したよ(笑)」

──うわぁ……想像しただけでも恐ろしいです。

「アハハハハ。かなり厳しいことを伝えたのは確かだ。ホント、一つや二つじゃなく、色々なことに関してね」

──リモートショーである8月28日にバンコクのA NEW BREED、9月25日の上海のREIGN OF DYNASTIESに続き、11月30日にシンガポールでSUPER NOVAというイベントを開催します。この大会は他の2つと違い、ディレイ中継はないようなスケジューリングになっています。ただ、ONEのイベントスケジュールから10月25日に予定されていた日本大会が無くなっています。

「現状を考えると、10月に日本ではイベントはできないと判断したんだ。ただし、今も11月か12月にスライドできないかという話し合いを日本サイドとは続けているんだ」

──なるほど、ONEと契約している日本人選手たちもROAD TO ONEという大会がありますが……なかなか試合ができない状況です。

「まずNo Surrenderの経験により、どこの国でもリモートでイベントを行う算段を立てることができた。その自信を我々は手にすることができたんだ。これによってアジアだけでなく、米国やヨーロッパでもショーを開くことができるようになる。

と同時にABEMAとキタノ・サンという素晴らしいパートナーが、Road to ONEという日本国内用のイベントを開き、ONEをサポートしてくれることに多大なる感謝の気持ちでいるよ。本当に有難いことだ」

──とはいえONEの売りであるクロス・ボーダー、国際戦が日常的に行われるという本来の規模のイベントを開くことはまだ困難な状況です。

「それがね……シンガポール大会に関しては2、3週間にはビッグアナウンスができるはずだよ」

※このビッグアナウンスとはシンガポール政府がONEチャンピオンシップに対して、特別にグリーンレーン・ビザを発給し世界各国から選手を招聘できるもの──という話が既に伝わってきている。よって10月のシンガポール大会は、無観客大会であってもパンデミック以前のようなグローバルショーになり、出場選手は居住国、飛行機搭乗前、シンガポールのチャンギ国際空港、その後も滞在ホテルでチェックを行うことで2週間の隔離は免除される可能性も高い。

とにかくね、最善を尽くすよ。これまでも言ってきたようにONEチャンピオンシップにとって、日本は最も大切なマーケットの一つだ。まだ選手たちにも我慢を強いているけど、私は毎日のように戦い続けている。だから、皆に伝えてほしい──心配しないで、と」

──分かりました。ところでONEではマーカス・アルメイダ・ブシェシャと契約を交わし、またヘビー級の五輪レスラーと契約するという話も伝わってきます。ヘビー級の拡充を図っているのでしょうか。

「ONEはこれから重い階級にも力を入れていくよ。軽量級には世界中から強い選手が集まった。ただしヘビー級とライトヘビー級はそうではないから、今後は世界レベルの実力者を増やして層を厚くしていきたい。UFCにも負けないように、ね。やはりヘビー級の戦いというのは、ファンに与えるインパクトも大きいし。だから来年はヘビー級GPを実現させようと思っている。これは書いてもらって良いよ。ONEは2020年にヘビー級GPを行うってね」

──しっかりと書かせていただきます(笑)。日曜日の夜という時間にインタビューをさせてもらい、ありがとうございました。本来は海外の選手、関係者を日曜日に取材するというのは、ほぼないことです。

「日曜日の夜に働く。マナブ・サン、君も同じじゃないか(笑)。それが私のマーシャルアーツに対するパッションだよ。日本の選手、ファンの皆には『未来を信じて欲しい』と伝えてくれないか。そして、一緒に日本人世界王者を誕生させようじゃないか。私は日本の皆と一緒に歩んでいけることにとても感謝している。そしてONEチャンピオンシップは絶対に、戻って来るから!!」

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