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【ONE109】「変に巧くなるのが、一番嫌。角が取れると、もう終わり」秋山成勲、ONE初勝利へ

Akiyama【写真】シンガポールで戦う意義、そこから見据える将来と、そのために如何に自己表現して勝利を得るかと秋山は話した(C)MMAPLANET

本日28日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE109「King of the Jungle」で秋山成勲が、シェリフ・モハメドを相手にONE初勝利を狙う。

昨年6月に4年半振りの実戦を上海大会で行い、アギラン・タニに判定負けした秋山は、実際に試合という場に戻ってきた準備期間に自らの肉体の変化に気づいた。

そして今回も日本国内ではなく、韓国とタイでモハメド戦に向けて調整を行ってきた。そんな秋山が今、ケージのなかで戦い、結果を得ることで切り開こうとしている道とは何かを訊いた。


──無観客席試合で、海外からのメディアもほとんどいないなか、メディア対応などスケジュールが立て込んでいるようですね。

「そうですね、シンガポールはONEの本部というだけあり、色々なメディアに注目されている感があります。そこが、なんか嬉しいですね」

──そんなファイトウィークですが、新型コロナウィルス拡大の報が次々と入ってきます。

「そこはもう仕方のないことなので、現状を受けとめて感染を回避しながらやっていくだけですね。外に出ると気候が良いということだけ、僕らも感覚が鈍るところがありますし、見えないモノが相手なので怖いですね」

──やはり、この状況では普段はない感覚がどこかに残ってしまいますか。

「ちょっとした恐怖感というのは、誰もがあるかと思います。ここに来ている選手もスタッフも、何かしらは気にしてしまいますよね。そのなかで自分は大丈夫だという、強い気持ちを持ち続けることも重要です。病は気からということもありますし、そこに胡坐をかくわけではないですが、ケアをしつつ自分は大丈夫だろうという気持ちでいるようにしています。健康でいられれば一番ですし。そういう意味でONEの計量方法で良かったですね。水抜きがあれば、免疫は弱くなります。だから、他の団体の計量方法の場合は出場選手には本当に気をつけてほしいです」

──そんなシンガポールでの試合ですが、いつ頃オファーがあったのでしょうか。

「2、3カ月前ですね」

──この試合前も日本でなく韓国とタイで調整をされていました。日本でファイトキャンプを張らないのは、何か理由があってのことなのでしょうか。

「正直、もう面白くないということですね。知っている選手ばかりですし。新しい場所にいっても選手の数も決して多くないです。もちろん技術的な部分で学べることは多くありますが、そういうことよりもアグレッシブに戦うことのできる環境に身を置く方が良いと感じています。

それもあって以前に行ったタイのタイガームエタイと、初めて韓国で試合前の調整をしました。タイガームエタイはもう100人以上、選手が集まっていました。びっくりしましたね。半分ぐらいいるロシアの連中がガチで。試合前にあの練習に加わるのはリスキーなので避けてはいましたが、見ているだけでも『本来はこうでないといけないな』と思うところはありました。そういう意味でも、今の僕には日本での試合に向けてはないなと」

──韓国はどこで調整をされてきたのですか。

「キム・ドンヒョンがやっているチーム・スタンガンです。もともと一緒にジムを創って、今は彼に完全に任せているのですが「来て欲しい」と言われて。ユン・チャンミンや若い選手もいますし、韓国式のトレーニングを取り入れたいという希望もあったので」

──韓国式というは以前のようなスパルタ・トレということでしょうか。

「その名残もありつつ、なおかつテクニカルな部分を重視している。そして最終的には何だかんだと根性論的なトレーニングですね。韓国にはそういう以前のような空気もあり、良い合宿ができました」

──後輩たちとの練習で、秋山選手のケツを叩ける人はいますか。

「年下の後輩達ですが、練習になるとそういう部分が出てきます。だから有り難い練習になりましたね」

──ところで今回、Abema TVの煽り番組で桜庭選手との試合について話されていました。我々のような専門メディアではなかなか尋ねることができなかったことに触れていて、正直驚かされました。

「皆の中で、あのことは残っているでしょうしね。Abemaでも話しましたけど、申し訳ない気持ちで生きるしかないことで。常にそういう気持ちをもって格闘技……桜庭さんにも、そういう想いを持ち続けてきました。それを想っているからどうだということになるのですが、自分自身が想い続けることが大切だという気持ちです」

──メディアで話せて、どこか気持ちが楽になったということはありますか。

「それは正直ないです。僕が今、申し訳ない気持ちを持ち続けて格闘技をやるしかないと言っても、僕のことが嫌な人は嫌なままでしょうし。逆に好意を持っている人が、どのようなことを言っても好きなままですし。人からどのように思われるのかということではなく、自分がそういう想いを持ち続けるということです」

──分かりました。改めてシェリフ・モハメド戦ですが、エジプト人ファイターはONEのカースト制にあって最下層といっても過言でないです。

「そういった意味でも、当たり前のように大前提として負けられないです。こんなところで負けていると意味がないというか、調子に乗って44歳でやっていますなんて言えなくなります。なので、ここは次につながるように勝たないといけない試合だと、自分のなかでもプレッシャーをかけています。

やはり、今シンガポールもそうですし、日本も、韓国でも見ている人がいるので、このシンガポールというONEの本部で試合をする意味も理解しています。そこをちゃんと把握したうえで、試合をしておかないと……自分はやはりONE KOREAを創らないといけない立場ですから。ONEを広めていくという覚悟をもって、試合をしていかないといけないです。

何より格闘技は負けて『あぁだ、こうだ』と言っても何の説得力もないです。しっかりと勝ってアピールすることで、皆も納得してくれると思っています」

──四十を過ぎると、人は角が取れて円熟味が増してくると思います。ただし秋山選手はそのキレキレの体を維持するという部分も含め、ファイトは尖っているままだというような気がします。

「円熟味って戦いのなかでは、かわしたり、相手の力を使ったり達人的になるってことだと思うんです。ある意味、お年を召した高段者に近づいていくような。

僕は40歳を超えたからといって、そんな風に戦うと落ちるだけだと思っています。なので40代でも動ける体があるから、現役でバリバリ戦えるわけで。変に巧くなるというのは、僕のなかでは一番嫌な部分ですね。だから、デビュー当時と変わらない動きができるように、それをイメージして練習も続けてきました。僕はファイターとして角が取れると、もう終わりですからね」

──それはしんどい練習が必要になりますね。

「そうなんですよ。そこにもっていくための時間が、20代、30代、そして40代では違います。上がっていくスピードが、以前と比べてメチャクチャ遅かった。それが6月のアギラン・タニ戦の時に分かったんです。今回は前回よりも、練習する時間もあったので前の試合より絶対に動けます」

──では、金曜日の試合で秋山選手がケージのなかで見せたいのはどういう部分でしょうか。

「正直、前回の試合と金曜日の試合で何かが違うということは、試合を見てくれる人でも分からないと思います。戦っている感覚という部分で、それが分かるのは自分だけかと。僕らがやっていることは陸上のように秒数で結果が分かるものでも、ポイントが提示されるものではないので、そういう部分は伝わらないはずです。それでも自分のなかでは安定してスピードをだせるようになったと思うので、そこを気にして見てほしいです」

■ONE109対戦カード

<ONE Super Seriesキックボクシング世界女子アトム級選手権試合/3分5R>
[王者]スタンプ・フェアテックス(タイ)
[挑戦者]ジャネット・トッド(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者] サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
[挑戦者]ロッキー・オグデン(豪州)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
江藤公洋(日本)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
秋山成勲(日本)
シェリフ・モハメド(エジプト)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ティフェニー・テオ(シンガポール)
三浦彩佳(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
山口芽生(日本)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
トロイ・ウォーセン(米国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
ホノリオ・バナリオ(フィリピン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ウー・シャオチェン(台湾)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ムラット・ラマザノフ(ロシア)
ペ・ミョンホ(韓国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ラディーム・ラフマン(シンガポール)
ジェフ・チェン(カナダ)

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