【PKJJC2020】「柔術を生活のメインにしている」竹浦正起─02─パンで見た、米国キッズ柔術の最前線
【写真】数ある支部の中でも唯一、ユースクラスを設ける三田。パンキッズ参戦組を中心に、鎌倉から毎週通う選手もいるなどハイレベルな練習が続けられている(C)SATOSI NARITA
CARPE DIEM三田でキッズクラスのメインインストラクターを務め、パンキッズ選手権に帯同した竹浦正起のインタビュー後編。
IBJJF主催のパンキッズ柔術選手権に総勢14名が出場し、優勝者を2名排出した国内キッズ柔術をリードする道場から、そんな子供たちを引率した竹浦が見た、米国のキッズ事情とは。
Text by Satoshi Narita
<竹浦正起インタビューPart.01はコチラから>
——三田やHOPEも含めてCARPE DIEMからは14人が参戦し、11人が入賞しました。
「1回勝って入賞、というカテゴリーもありましたが、みんな頑張ったなと思います」
——三田所属の大村莉愛選手とHOPE所属の中川輝世羅選手が優勝した一方で、全日本キッズで優勝するような国内トップレベルの男子選手たちは一歩及びませんでした。競技レベルについて感じたことは?
「正直、トップの選手との差はけっこうあると感じます。特に1回戦で負けてしまうような子と優勝する子は、同じ帯色でもかなりの差があって、AOJのようにキッズに力を入れているアカデミーの選手はダブルガードや50/50だし……」
——アダルトの試合のように、選手がレフェリーに猛アピールするシーンもちらほら見かけましたね。
「子どもらしさがないですよね(苦笑)。ホント、スポーツって感じですね。格闘技というより、ポイントゲームというか。あと、日本の親御さんとも話題になったんですけど、米国はホームスクーリングがあるじゃないですか。
例えばAOJの子どもたちはほとんどそれで、柔術を生活のメインにしている。それでは差が出てしまうな、というのは正直あります。柔術に割ける時間が全然違う。こっちは多いといっても1日1時間だし、基本的には学校に通わないといけませんから。良くも悪くもお金の問題もありますし」
——CARPE DIEMは昨年、一昨年とJBJJF全日本キッズ選手権で団体優勝を果たし、キッズでもその存在感を増しています。海外との環境の違いがある中、チームの力をさらに高めるためにはどんなことが必要だと思いますか。
「三田に限って言えば、役割的に選手の実力を伸ばすのは岩崎さん、僕はその下のパイを増やすのが担当なんですけど、コンペクラスは増やして良いかもとは考えています。今は三田と広尾で週1回ずつですから」
——先ほどのユースクラスでは、「残り1分、0-0でダブルガードから」、「アドバンテージ1-0でガードから」という風に、シチュエーションスパーを繰り返していました。そうしたコンペ色の強い練習がありながら、キッズクラスでは皆、和気あいあいとテクニックに取り組んでいた印象です。竹浦選手はキッズを指導する上で、どんなところを大切にしていますか。
「みんなが選手になるわけではないし、厳しくし過ぎるとやめてしまうこともあるし、やっぱり飽きさせないというか、『柔術はこれだけ楽しいんだよ』ということを、いかに伝えるかを常に考えています。どうしたら長く続けてもらえるだろうかって」
——最後に、選手としての抱負も伺いたいのですが、竹浦選手の最近の練習環境は?
「三田ではグラップリングをメインに練習していて、これからは広尾の選手練にもボチボチ参加しようと思っています。東京に出てくるまでは毎月ペースで試合に出ていたんですけど、去年は仕事が多かったので」
——昨年はJBJJF全日本選手権、全日本ノーギなどに参戦していましたが、結果は振るわずでした。仕事に時間を取られてしまうと、選手として「もっと練習に力を入れたい」という想いもあるのでは?
「いえ、指導も経理も雑用も、僕はそれがやりたいと言って入れてもらっていますからね。ただ、年末くらいから落ち着いてきたし、今年はもっと大会に出ようと思っています。近い大会だとブルテリア(柔術チャンピオンシップ/3月7日開催※26日に新型コロナウィルスの影響で、中止が決定)に出られれば良いかなって思っています。またエントリーがないんですけど」
——最近はYouTubeの発信も活発です(竹浦正起MTチャンネル)。ここ数週間で目にするようになりましたが、遡ってみるとアカウント自体は1年前くらいからあったのですね。
「もともとは思い出づくりみたいな感じで、僕のパーソナルジムにイゴール(・タナベ)やエドゥアルド・テレスが来てくれた動画をアップしていたんですけど、iPhoneを替えて画質も良くなったので再開してみました。
で、三田に来る選手のテクニックをアップしたらけっこう数字が伸びて、今成(正和)さんや岩崎さんの効果はすごいなと(笑)。収益を出すというよりも、CARPE DIEMの宣伝として、いろんな人に向けて発信できたらいいなと思っています。三田でチャンネルを開設するという話もあるので、それも見据えてやっています」