【ONE109】デニス・ザンボアンガ戦へ、山口芽生─02─「強度の低い練習をどの捉えるのか」
【写真】ファンのとの交流会でもあるONE Scrambleに主席した山口芽生は、直接ファンの声を聞ける機会をエンジョイしているようだった (C)MMAPLANET
28日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE109「King of the Jungle」でデニス・ザンボアンガと対戦する山口芽生インタビュー後編。
低酸素トレーニングを取り入れているという彼女は、練習に対する考え方という部分に重きを置くようになっていた。強くあり続ける方法論、それはニューヒロイン平田樹に対する印象に通じていた。
<山口芽生インタビューPart.01はコチラから>
──確かに相当強そうです(笑)。それでも「まだまだだろう」という気持ちは?
「これはもう、あとは自分の哲学と練習のスタイル、どこまで自分を追い込むのか、そういうことに対する考え方次第ですよね」
──追い込めば良いということでもなくなってきた?
「そうなんですよ。足りないかなっていうぐらいで実はちょうど良かったりだとか……。それって若くても同じなんですよね。これは日本人の性質があると思います。どうやっても根性論が出てくるし、練習で疲れないと不安になる。
私も一般の会員さんにラッシュガードを着てもらって昼に柔術の練習をしていていますが、強度はプロ練習と比較すると弱いです。でも、それをいかに自分に落とし込むのか。反復して、感覚を磨くことも立派な練習ですからね。
強度の低い練習をどのように捉えることができるのか、ですよね。やはりスマートでないとできないです」
──その一例がSNSで挙げていたフィジカル・コンディション・トレなのでしょうか。
「あぁ、あれは豊洲にあるアシックス・スポーツコンプレックスというジムでやっている練習なんです」
──日本なのですか!! 海外だと思っていました!
「いえいえいえ、日本です。去年の11月にオープンしたのかな。あのジム自体が、高度2000メートルに相当する低酸素なんです。2000メートルと3000メートルの部屋があって、そのなかでトレーニングをするという」
──低酸素はお肌のためですか?
「違うわ!! アハハハハ。腹立つぅ。低酸素トレーニングが肌のためになるんですか?
まぁ言ってしまえば、スパーリングは量でいえば以前のようにできなくなっています。それをどこでカバーするのか。瞬発力とかスタミナ……そしてイメトレとかになります。それを今までの経験に上積みしていくしかないという部分が増えてきました。
そこに対して、これまでは1人で試合のなかで凄く厳しい場面を思い返して、それをスタミナトレーニングではめ込んだり、自分でやっていたんです。それも良い面があるのですが、今はもっと改良できるように専属のトレーナーにメニューを考えてもらって、効率良く動けるようやってきました」
──低酸素で動くと、どのような感じになるのですか。
「最初はめちゃくちゃ苦しいです。酸素が薄いのが分かって、息が上がるのも早いです。息上げは早いけど、それを元に戻すのを早くするトレーニングなんです。効果は人によって違うらしくて分からないのですが、普通にサーキットトレーニングをやるなら、そういうことを試すのも興味深いなと思ってやっています」
──効果がどう出るのか、楽しみですね。以前、コロラドのパイクスピークという標高4300メートルの山で、雹が降ってきてロッジまで走ると、その後に普通にはないほどの頭痛がしたことがありました。
「低酸素はそういうことはないんです。酸素が薄いだけで、気圧は変わらないから、頭痛とかはないんです。ただし、終わってから頭が重いというのはありました」
──それでも回復力が高まるというのは魅力的ですね。
「ハイ、これまで追い込みの時期に走るとかなりだるかったのが、今は普通に走ることができています」
──おぉ、それは15分動き続けることができるかも?
「どう出るのかは分からないですけど、自分のなかの不安が減ったり、自信はついています。普通の試合は5分✖3R、タイトル戦だと5分✖5R。スタミナが切れたらどうしようという風は常にありますから。それをどう克服するのかという部分で、解決策の一つにはなってきます」
──KO、一本より15分動き続けてください(笑)。
「アハハハ、それはぁ……。最悪、そうなっても動き続けることができるのか試せますが、やはり少しでも早く倒すか、極めたいです」
──了解しました。ザンボアンガ戦、期待しています。
「ありがとうございます」
──ところで、ジャカルタ大会での平田樹選手の試合を見て何か想うところはありましたか。
「そこでですか……。う~ん、選手はそれぞれ個性があるので、ああいう図太い感じで勝って、踊って──それを応援したい人もいるだろうし、アレを良しとしない人もいるでしょうね。
ただし、アマチュアではないので、お客さんが楽しければOKだし、その是非について私は何も言えないです。一番大切なことは、自分が思い描いているところまで続けられるのか。あとはONEチャンピオンシップで戦うのであれば、ONEが目指しているモノに自分をはめることができるのかという部分も大切になります。
そうですね、個性としては良いと思いますし、回りで一緒にやっている人が、頑張ろうって言ってやっていければ良いですね。まだキャリア3戦だし、対戦相手が強くなっていくなかでも、心折れずに気持ち良くやってほしいです」