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【ONE】2月度・大沢ケンジ勝手にランキング─01─「佐藤将光の攻撃には常に殺気がある」

Lito【写真】大沢親分、大絶賛のリト・アディワン(C)MMAPLANET

2日前に発表された2020年2月1日付ONE Championship非公認・大沢ケンジ監修非公式ランキング。

団体発表ではない──言ってみれば、大沢ケンジの独断と偏見と、ONEを盛り上げたい気持ちから作成されているランキングだ。

1月は10日のONE106、31日のONE107の2大会が開催され大きくジャンプアップする選手も見られた。これらのランク変動ともに、この1カ月のONEを大沢氏に振り返ってもらった。


──1月は10日のバンコク大会、そして31日のマニラ大会がありランクの変動も多く見られました。今回も最軽量ストロー級からお願いします。マニラで王者パシオが2度目の王座防衛に成功し、アディワンが8位から5位にジャンプアップしています。

【ストロー級】
C ジョシュア・パシオ(フィリピン)→
1 猿田 洋祐(日本)→
2 レネ・カタラン(フィリピン)→
3 内藤 のび太(日本)→
4 ジェレミー・ミアド(フィリピン)↑
5 リト・エディワン(フィリピン)↑
6 アレックス・シウバ(ブラジル)↓
7 デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)↓
8 ミャオ・リータオ(中国)↓
9 ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)→
10 ロビン・カタラン(フィリピン)→

「リトですね。想像通りでした」

──想像通りとは?

「やっべぇなって。ウィルスじゃないですけど、一気に出てきましたね」

──例えがピーです。

「スミマセン。なんかリトはラカイっぽくなくて、ガンガン勝負に行きますよね。仕掛けが早い。普通、強い選手が多いジムで練習していると削られて勝負が遅くなるんですよ。だからポンシリの寝技がそれほどでないとしても、あの仕掛けの早さは嫌ですね。何よりポンシリが圧力に負けて打撃でも中に入れなかった……あの打撃の回転は凄いですね。精度の高い魚井フルスイングです。アッハハハハ」

──……。

「いや、本当に打撃の勢いはヤバいと思います。軸が乱れていないから、結構打ち続けることができるだろうし。だから、テイクダウンを許さないかもしれないですしね。あとは腰がどれだけ強いのか。ラカイだし、全てが揃っているでしょうしね」

──内藤選手や猿田選手と戦いたいと言っていました。

「やって勝てないということではなくて、タイトルマッチ前でなくベルトを取り返してからやるほうが良いですね。リトはパシオと戦ったとしても、まぁやるなぁと思います」

Pacio──そのパシオも王座防衛しました。

「ONEの裁定基準だから、パシオの勝ちは文句ないしです。でもアレックス・シウバはメッチャ良かったです。パシオに何度も背中をつけさせるのかって、痺れました。

あの攻防で松井珠理奈さんも盛り上がっている。言うと素人の人が喜ぶ試合ができる。伝わる試合をしたシウバは凄かったです。負けたからランキングは下がりましたが、シウバは名前はあげましたよ。

それにもまして、リト。だから一気に5位にしました。でもチーム・ラカイにいると、ベルトに挑戦できなくて可哀そうですね」

──一匹狼なのですかね。一度はジムを離れていた時期もあり、弟と練習もしていると言っていたので。パシオに挑戦できるならラカイを離れそうな気が……。

「カタラン・ファイト・システムに移籍ですかね(笑)。でもリトとボカン・マスンヤネが見たいですね。お互いのメッキを剥がす戦い、剥がれなかった方が本物。いやぁ、ストロー級はもう本当に人材豊富ですよ」

──では続いてフライ級をお願いします。キンガドがシェ・ウェイに、和田竜光選手がイヴァニウド・デルフィーノに勝利しました。ただ、キンガドは非常に微妙な勝利だったかと。

【フライ級】
C アンドリアーノ・モライシュ(ブラジル)→
1 デメトリウス・ジョンソン(米国)→
2 カイラット・アクメトフ(カザフスタン)→
3 ダニー・キンガド(フィリピン)↑
4 和田竜光(日本)↑
5 リース・マクラーレン(豪州)↓
6 ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)→
7 若松佑弥(日本)→
8 ジアーニ・スッパ(マレーシア)→
9 チャン・ロタナ(カンボジア)→
10 キム・デファン(韓国)→

Kingad「イエローが2つありましたからね。あれで攻勢点が20パーセント減になるとかっていうことなので。

でもシェ・ウェイは強かったですよ。キンガドはずっと接戦続きじゃないですか、いつも判定で文句が出る。それはパシオを同じで……まぁ、こんなもんなんです。試合をよくまとめる。リトのような『うわぁ』っていう部分はなく、知らない間に角を抑えたオセロのような勝ち方ですね。

キンガドはリース・マクラーレンにもやりこまれていて、でもフィリピンだし勝てた。人によって判断が分かれる試合をずっとやってきて、それを取り続けている。考えているんじゃなくて、感性であの抑える試合ができているんだと思います。判定をモノにできる、つまり強いんです。そこを理解する必要がありますね。それがチーム・ラカイ全体にいえることでだと思います。

Wadaそれと和田選手、完璧でしたね。あれで体調が悪かったとは……本当に得意な形にはめ込んでいました。

あそこで煽ってバックや、小外で倒すっていうのが本当に強い。他人がやらないところをやりこんで勝負していますね」

──そしてクォン・ウォンイルに一本勝ちした佐藤が5位から4位になったバンタム級です。

【バンタム級】
C ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)→
1 ケビン・ベリンゴン(フィリピン)→
2 ジョン・リネケル(ブラジル)→
3 ユサップ・サーデュラエフ(ロシア)→
4 佐藤将光(日本)↑
5 ムイン・ガフロフ(タジキスタン)↓
6 マーク・アベラルド(ニュージーランド)→
7 竹中大地(日本)→
8 上久保周哉(日本)→
9 レアンドロ・イッサ(ブラジル)→
10 トロイ・ウォーセン(米国)→

「もう佐藤将光君に尽きますよ。ビビアーノとやってもいけるんじゃないですかね。ハファエル・シウバの強いバージョンがビビアーノで。めっちゃハマると思うんです。それを期待できるだけの勝利でしたよ。

佐藤君は常に攻めているのに、攻撃を散らしている。上でパンチを打ったと思ったら、テイクダウンを狙って。テイクダウンも2度切られて、そこからパンチを当て始めた。下を意識させて上、クォン・ウォンイルも見えていなくて。すると次は組んでいった」

──見事にMMAになっていたということですね。

「ハイ。この流れは良くあります。でも、日本人選手に多いのは殺気がないことなんです。でも佐藤君にはある」

──最初にウォンイルのパンチを被弾しても、そこで怯まないことも、た殺気に結びついてくるのでしょうか。

「海外の選手はそうだと思うんです。日本のMMA選手って組み技の練習を大事にする。デビューしたての頃は組みが強い方が勝てるから、すぐ勝つために寝技ばっかりやっていた。最近は変わってきたんですけどね。僕らの頃はそうだった。日本って組みの選手ばかりが多くて、打撃で勝負できない。打ち合えないでパンチにビビっちゃう。でも、佐藤君はビビらないで打撃ができる。

そして簡単に打ち合うんじゃなくて、計算している。その頭の良さと殺気がある。気迫と殺気って違っていて、気迫があっても怖くないこともあります。でも佐藤君は常に相手を倒そうとしている。ダメージを与えようとし、試合を終わらせようとしているのに、上下を散らして相手に反応させないように仕向けたりもできる。ホント頭が良いんですよ。

やっぱ明治大学です(笑)。もう佐藤君はタイトルに絡んで欲しいですよね……あっ、でもベリンゴン、リネケル、ガフロフもいるのかぁ……。サーデュラエフには勝てるでしょうね。アレ、でも強いなぁ上の方は(笑)」

<この項、続く

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