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【DEEP83】17歳・高橋誠の挑戦を受ける和田竜光─01─「正直、1度も試合を見たことがない」

Tatsumitsu Wada【写真】今後へ、初めてのタイトル防衛はマストの和田だが、前回の王者時代と同様に何が起こるか分からないのがMMAだ (C)MMAPLANET

28日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP83 IMPACTで、DEEPフライ級王者・和田竜光が17歳の高橋誠の挑戦を受ける。

日本のフライ級で最高の実力者という評価を受けながら、なかなか次なるステージで戦う機会がない和田は、昨年9月以来の実戦を前にどのような心境でいるのか。

MMAファイターがMMAイベントのなかでキックボクシングを戦うことについての彼の考えなども踏まえ、現状と防衛戦に関して話を訊いた。


──昨年9月の大田区大会以来の試合が決まりました。防衛戦の相手が17歳の高橋誠選手になることを率直にどのように捉えられていますか。

「とにかく試合間隔が空いてしまっているので。フライ級は相手がいなくて4月に防衛戦をするにしても、それが6月になっても相手は高橋選手になることが濃厚だと、佐伯(繁DEEP代表)さんからは聞かされました。

なら早く試合がしたかったので、4月に戦うということになりました。DEEPフライ級はもう一通りやっていますしね」

──その現状をどのように捉えていますか。

「漠然としてなのですが、RIZINにもっと出ることができると思っていたので、DEEPで試合をすることを想定していなかったことはあります。で、気が付いたら誰もいない。皆、どこに行ったんだって(笑)。もっと、いたはずなのに……」

──元谷(友貴)選手はバンタム級になり、井上直樹選手がUFCに行ってしまいました。

「(柴田)モンキー(有哉)選手は階級を下げましたしね。このメンバーに中村優作選手、越智晴雄選手がいた頃のDEEPフライ級とは違いますね。とはいっても、皆とやっちゃっているんですけど(笑)。皆いなくって、自分はいるという状況ですね」

──9月の時点では年末はRIZINと考えていました?

「ハイ。そのつもりでした。なので伊藤盛一郎選手とかを叩いたのですが、何も響かなくて(苦笑)。これだけ言っているんだから、『やる』って言えよって。それが実現しなくても、何か返してくれば良いのにな──とは思っていました」

──選手は誰とでも戦うと言うと思います。いってみれば、キックルールで那須川天心選手とでも(※取材は中村優作が那須川とキックルールで戦うことが発表される前に行われた)。格上だろうが、そういう舞台なので。ただ、大舞台だからこそという周囲の判断も絡んできますよね。

「大舞台なんだから、相手を選ぶなら出る意味があるのかとは思います。相手を選ぶことができるのは、実績のある選手が『お前は顔じゃない』って言う時に限られるはずです。でも、伊藤君とかフライ級でRIZINに出ている人は『選ぶことができる立場なの?』っていう気はします。そういうのは厳しい試合をクリアしてから言うことじゃないのって」

──確かにUFCに行って、『彼とやるのは早い』とか言わないですよね。なら来るなって話で。

「だと思います。ただ、僕には力も影響力もないので組まれないのも分かるのですが……」

──年末に関しては和田選手と同様にMMAのチャンピオンである砂辺光久選手が、キックルールで出場しました。

「砂辺選手が勝てると思っていたのかどうか分からないですが、やっぱりファイターなんで話が来ると『やるか』ってなると思います。そこはファイターですから。やってやるよって──なるんじゃないですかね。

キックボクシングルールでも、キックボクシングをやるつもりはなかったと思いますよ。そりゃ、その種目の世界チャンピオンになるんだから、相手は強いですよ。キックで那須川選手と戦うのは、柔道で阿部一二三選手と戦うのと同じですからね」

──なるほど、その通りですね。

「無理だってことは分かるんです。でも、そういう試合が組まれるんだったら、僕らはファイターだからやりますよ。MMAで戦えないなら、キックでもやる。砂辺選手も、そうだったんじゃないかと。

それと大晦日ならっていうのはあるかと思います。僕が今、この時期のオファーでワンマッチでなくトーナメント、しかも初戦が那須川選手でないのなら、『やってやるよ』とは思えないかもしれないです。でもあの時、砂辺さんが試合を受けたのは分かります。

僕の甥っ子も『天心とどっちが強いの?』って言ってきますからね(笑)。そりゃMMAなら俺だよって思いつつ、キックだろうが試したくなる部分もあるッスね」

──MMAでのオファーがあると、そういう気持ちには?

「それはならないです」

──日本のフライ級で和田選手は扇久保博正選手と並び双璧でありながら、なかなか次のステップがない状態が続いています。

「長いですよね。コンスタントに試合がしたいです、選手ですから」

──そして迎える高橋選手との防衛戦です。現時点で、高橋選手の実力をどのように評価していますか。

「正直、一度も試合を見たことがないんです(苦笑)。試合が決まってからも見ていなくて、構えがどっちかも知らない。まぁ、それはいつもそうなんですけどね。試合までにどっちの構えかを聞いて、少し映像を見るぐらいで、まぁ同じですね。

相手がどうこうで、そこに自分をはめ込む練習はしないんですよ。17歳っていうのは凄いですけど、ただの敵なのでやっつけるだけなんですよね」

──年齢は関係なく6勝1分の新鋭と捉えると、どうなりますか。

「う~ん、ソイツの壁になれなかったヤツらのせいでもあるので。どこかでこかされていれば、そんな戦績になっていなかった。ただ、それを高橋選手がさせなかった。こういうタイミング、人がいなくなったなかで負けずに勝ち続けてきたから、タイトル戦に辿りついたわけです。

2月の大会で石橋(幸太)選手が勝っていれば、石橋選手と戦うことになっていただろうし、そこで彼が勝ったから試合をするだけです」

──それでも格闘技は何が起こるか分からないのに、あまりに対戦相手のことを研究しないのは驚きです。

「韓国人選手と戦う時なんて、試合映像もないこともありますし、何も知らないでも戦ってきました。見るとしても、ギリギリの時もあるし。会場に行く車のなかで、動画サイトで見るだけのこともありました」

<この項、続く

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