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【Grandslam07】ジョン・スルギと対戦、ライカ。ウサギの匂いとファイターズ・ハイ

Raika【写真】このような感じだが、戦いのことになるとしっかりと話してくれるライカ (C)MMAPLANET

25日(日)、東京都江東区のディファ有明で開催されるGrandslam07でジョン・スルギと対戦するライカ。

MMAは昨年10月のソ・ジヨン戦以来だが、12月はキックボクシングマッチで鈴木万季弥と戦い判定勝ちを収めている。その鈴木戦、キックがライカにとってMMAを戦ううえで非常に大切だったという。

なぜキックボクシングが彼女にとって重要だったのか、そしてケージの外と中のギャップの差を風神に尋ねた。


──長南(亮)さんや青木(真也)選手とのやりとりを伺っていると、相変わらずの『お元気さ』ですね(笑)。

「ハイ、相変わらずです(笑)」

──10月のTTFC以来、約半年振りのMMAマッチ。ようやく対戦相手も決まりました。

「なんで、私の対戦相手が決まらないのかは不思議でした。たくさん、やっている人はいると思うので。本音の部分では韓国人選手以外の外国人と戦えるのかな……というか、韓国人以外の方が選手もいるんじゃないのかと期待していたんです」

──世界の情勢でいえば昨年からUFC、そしてBellatorとも女子フライ級が盛んになり、まずInvicta FCからUFCへ人材が流れ、その空いた席にまた人材が吸い上げられています。ベラトールも欧州や中国までスカウティングしていますし、なかなか日本に目を向ける選手は少ないかと。ライカ選手がPXCで戦ったブローガン・サンチェスも今ではインヴィクタと契約していますよね。

「へぇ、そうなんですか? 」

──TTFCで体重オーバーで戦ったジェシカ・ローズクラークもUFCですしね。

「ホントに強いのとやりたいなら、インヴィクタとかにいかないと相手がいないということですね」

──ライカ選手にとってはチャンスではないですか? インヴィクタやベラトールはキャリア5戦以下の選手はいくらでもいますし、ボクシングの世界3冠や年齢ですらセールスポイントに出来ると思います。

「年齢はブッ飛ばしますよ(笑)。でも結果を残して、目立てば行けるっていうことですよね?」

──他の選手より、PRできる要素は絶対的に多いです。

「今回の試合とか、ちゃんとモノにしてまた強い選手と戦いたいですね。対戦相手が決まると、やっぱり気持ちも変わってきます。もともと試合をするつもりで準備をしてきて、戦う相手が目の前に出てくると、ギアが一つ上がります」

──事前の情報などありますか。

「キックボクシングの試合を1試合見ました。どっちかというとスピードよりも、パワーのある選手ですね。これまでの相手と同じで、若くて勢いがある。なので『喰ってやろうと』という選手だと思います」

──そのキックですが、12月にHEATで鈴木万季弥選手と戦い延長R判定勝ちを収めました。あのタイミングでキックを戦ったのは、どういう意味があったのでしょうか。

Raika vs Suzuki「正直、一番不安があったのは蹴りの対応だったんです。これはMMAを初めてからずっとあったことで。蹴りが怖くて中に入れない。10月の試合後も蹴りを強化しないといけないと思っていて、凄く良いタイミングでキックを戦えました。

立ち技を見つめ直すのに、良いタイミングでした。MMAだと組めるから、それがないキックは私にとって一番しんどい試合なので。これまでも、前蹴りとかハイで危ないことがあったし」

──ライカ選手のボクシングの距離より、蹴りはレンジが長いですし、ボクシングの構えがもともと蹴りを想定していない。

「ハイ、どうしても自分はパンチでいくと、まず蹴りが飛んできます。そこをちゃんと対応しないで、ボクシングにいっても組まれてテイクダウンを取られちゃうんです。MMAは打撃から始まるけど、それはボクシングでなく蹴りの距離からなので。

そこをどうやって潰して、パンチの距離に持っていくのか。それができなくて、遠い距離で自分の戦いができないことが続いていたので」

──では、殴り合いの距離に持ち込めたことは、とても成果の挙がる一戦だったとのですね。

「完全に気持ちで行って、良いのを当てると相手が効いちゃったので一気に詰めることができました」

──ライカ選手はもうオフ・ザ・リングの様子が余りにも……という状況なのですが。

「そんなことないですよぉ(笑)」

──インタビュー前も青木選手たちにウサギの匂いがすると、からかわれていたじゃないですか(笑)。

「あぁ、まぁそうなんですけど(苦笑)」

──そんなライカ選手が10月のソ・ジヨン戦で唇をカットしてからも猛攻、鈴木選手とのキック戦での延長戦での連打のシーンなどを拝見していると、やはり戦う人なんだと再認識させられた次第です。

「普段はまぁ自分もグチャグチャですけど……なんなんでしょうね」

──戦っている時こそ、風神ライカの本質を見た思いです。

(C)Kaori Sugawara

(C)Kaori Sugawara

「う~ん、自分でも分からないのですが、自然に気持ちがそういう風になっています。スイッチが入るというか、自分のなかで……捨て身というわけじゃないのですが、覚悟ができるんです。10月の試合でも1Rにピンチがあって、2Rに自分が変わったと自覚できました。開き直りというか、そうなると誰にも負ける気はしないです」

──殴っている時に笑顔を浮かべているんですよね。アレはファイターズ・ハイでしょうか。

「ホントは楽に勝てた方が良いのでしょうけど、自分は思い切りやって楽しめる戦いをしたいんです。色々な戦い方はあるでしょうが、自分自身の全てをリングで出したい。その結果、偶然かもしれないけど勝てています。

自分でも今、ずっと勝てているのは不思議で。奇跡じゃないのかと思っています。絶対に勝つ、楽しむ、それと開き直りが繋がった時に、凄くハイになるんです」

──攻撃を受けずに冷静に勝つことも必要かと思いますが、殴られても試合を楽しみたいと?

「その通りだと思います。ヤバイ状況にならないで勝つことは必要だと思います。でも、そういう試合をするにもリスクはあります。自分がやられる覚悟がないと戦えない。やられることを恐れていると、自分の想う戦いはできない。だから開き直って覚悟ができると、試合が楽しくなって自分は負けない」

──だからこそ、強い相手を欲しているのですね。

「やりたいですッ!! 強い人とやりたいです。そろそろ、そういう相手と戦いたいですね。組みや寝技の選手に苦しめられる状況も想定し、練習しているので、そういうしんどい試合を今回もイメージしていました。

対戦相手はそういう選手じゃなくなりましたが、どういう状況であろうが自分のMMA、ボクシングをいかしたパンチでハイな状況になり、しっかりと勝ちます」

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