【UFC193】ヨアナ・イェンジェチック、危なげない防衛も──打撃戦のみでは倒し切れず
<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
ヨアナ・イェンジェチック(ポーランド)
Def.3-0:50-45.50-45.49-46
ヴァラリー・レターノー(カナダ/8位)
左ジャブを伸ばすヨアナ、レターノーのハイをブロックしローからジャブを伸ばす。左ローを見せるヨアナはワンツーから前に出るが、蹴り足を掴まれ右を受けてマットに背中を着ける。シッティングガードから立ち上がることができないヨアナは、ハーフ&潜りからエルボーを落とされ首を抱えられる。左ワキを差して立ち上がったヨアナはケージに押し込まれながらも右ヒザをボディに就き刺す。
続いて左ヒザを入れたヨアナはレターナーのインサイドリップを耐え、細かいヒザを入れる。ここでレターノーが離れると、ヨアナが強烈な右前蹴りを顔面に蹴り込む。動きが止まったレターノーが組みにいくと、逆にケージに推せつけ右ミドルを入れて離れる。パンチから右エルボーをヒットさせたチャンピオンは、ローから前蹴りを再び入れる。レターノーも下がらず左ハイ、これをスウェイしたヨアナが右エルボーを見せて初回が終了した。
序盤の嫌な流れを一変させたヨアナは2Rに入ると、左ミドルを受けつつ左ジャブを伸ばし、右ストレート。組みに逃げないことでヒザやヒジを受けないレターノーが、またも蹴り足をキャッチする。ヨアナは倒れず、左フックを入れる。しかし、続く右ミドルをキャッチされてケージに押し込まれてしまう。ヨアナはヒザ&ヒジで反撃、ケージを背にすることで軸ができ、径は小さくても勢いのあるヒザやヒジを入れることができる。
離れた両者、ミドルを掴まれる傾向のヨアナがローから前蹴り。ヨアナは左ハイをスウェイでかわし右ローを入れる。レターノーも右ストレートを伸ばし、左ミドルを蹴り込むなど戦前の予想を上回り、健闘したファイトを見せる。レターノーのワンツー、王者が右ローを入れる。中間距離の打ち合いで引かないチャレンジャーに対し、ヨアナの手数が徐々に優るようになってきた。
3R、組んでケージにヨアナを押し込んだレターノーだが、体を入れ替えられ右エルボーを被弾。オクタゴン中央で離れると、ヨアナが右ローを蹴り下ろす。つづいて右のカウンターから左ボディ、そして右前蹴りを顔面に伸ばしていく。王者の連打にも、パンチを打ち返すレターノーは左前蹴りをキャッチしにかかる。これを取れず、受ける展開が続くようになった挑戦者。ヨアナは左ボディフック、左ロー、さらに右ストレートを見せる。レターノーは右目を腫らしながらも、ワンツー。ここにローを入れたチャンピオンの手数は減らない。決定的なシーンはないが、チャンピオンが圧したラウンドとなった。
4R、素早いワンツーからローを放つチャンピオン。蹴りを掴まれても、バランスをキープしてパンチを打ち込む。ヨアナの右ストレートを受け、前蹴りで押し返されるレターノーの受け身のファイトは続く。ローを受け続けた左足が伸びるようになってきたレターノーに、ヨアナは手を緩めることなく攻撃を続ける。
レターノーも左ミドルで形勢逆転を狙い、パンチにつなげて前に出る。ヨアナは右エルボーで迎え撃ち、左ロー。右もヒットさせる王者。必死に組むことがないので、体力の消耗が少ない相手を倒すのは、ヨアナをもってしても難しいのか。残り15秒、ワンツーで動きの止まったレターノーだが、ここも乗り切った。
最終回、レターノーがアゴを引いてワンツーを繰り出す。さらに左ジャブを伸ばし、左ミドルをヒット。ヨアナはまるで怯むことなく、左ボディストレートからワンツーを打っていく。細かいパンチの応酬のあと、左ミドルを受けたヨアナはここで間合いを取り直す。流石にスタミナも落ちてきたか、口が開き気味のチャンピオンはワンツーからローを続ける。ヨアナの右前蹴りから距離が詰まった両者がパンチを交換。
レターノーが左フックを決め、王者の左エルボーをよける。ヨアナはローからパンチを打ち続け試合は残り1分に。左アッパーとヒットさせたヨアナが、アイポークをアピールして一時中断。再開後もヨアナは攻め続け、レターノーが大きなダメージを被ることのないというそれまでの流れを集約したような攻防が続き、試合はタイムアップを迎えた。
結果、ジャッジ2人がヨアナが1ポイントを失った裁定を行ったが、文句無しの判定勝ちを手にした。「タフになると言った通り。5R戦う準備はしてきた」と話した。チャレンジャーは「驚かされる攻撃はなかったけど、思ったように反応できなかった」と涙声でコメントした。