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【ADCC2019】アンドレ・ガルバォンがプレギーサを破り、スーパーファイト4連勝の偉業達成!!

Galvao【写真】ADCCバージョン・ボディのガルバォンがスーパーファイト王座を守った (C)SATOSHI NARITA

9月28日(土・現地時間)と29日(日・同)の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。

2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー23弾はスーパーファイト王者のアンドレ・ガルバォンに、フィリッピ・ペナが挑んだ一戦をレポートしたい。

Text by Isamu Horiuchi


Galvao 01<スーパーファイト/20分1R+ExR10分>
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)
Def. by 本戦0-0 延長2-0
フィリッピ・ペナ(ブラジル)

2013年にブラウリオ・エスティマを倒してスーパーファイト王座に君臨して以来、ホベルト・アブレウ、クラウジオ・カラザンスを連破してその座を守り続けているガルバォンに対するは、前回17年大会の無差別級王者フィリッピ・ペナ。競技柔術でも幾度も戦っているライバル対決だ。14年の柔術世界大会決勝ガルバォンを倒して初優勝を果たした──その後禁止薬物摂取が発覚して優勝取り消し──ペナは、16年のワールド・プロ準決勝でもガルバォンに快勝。17年の世界柔術準決勝では不可解なスコアリングで惜敗したものの、優位に試合を進めていたのは明らかにペナの方だった。

その後も昨年、今年と世界柔術を連覇し現在脂の乗り切った27歳のペナに対して、この日ちょうど37歳の誕生日を迎えるガルバォンは、この2年大きな試合には出場していない。このような状況を考え合わせるとペナ有利と見るのが自然と思われたこの一戦だが、その行方は──?

今までになく筋肉隆々の肉体を誇るガルバォンは気迫十分。試合開始と同時に前進しては、ペナの頭を叩くようにいなしてゆく。対するペナも、下がりながら同じように応戦。掌打の打ち合いにも見えるような攻防が展開された。そして3分半。前に出続けるガルバォンは、ダブルレッグで豪快にテイクダウンに成功した。

加点時間帯前ということもあって無理に立たずに下でステイしたペナに対し、上を取った後も積極的に仕掛けるガルバォン。座るペナの足に体重を掛けての左右に動いてのパスを狙うガルバォンだが、世界最高水準のオープンガードゲームを誇るペナは、落ち着いて対処してゆく。

やがて加点時間帯に入ると、ガルバォンはガードの上からネッククランクへ。対するペナは下から足を絡めて50/50を作る。バランスを崩されたガルバオンだが、やがて絡んだ足を解除して上の体勢に戻った。

Galvao 02さらにペナは下からガルバォンの左足に絡むと、横回転して崩しての足関節を狙う。距離を取って防ぐガルバォン。その後もペナは足を絡めるが、ガルバオンが防ぐうちに本戦が20分が終了した。

Galvao 03スタンドから再開された延長戦。相変わらず気迫を前面に出すガルバォンは、前進して場外側でダブルレッグに。そのままペナを押していったガルバォンが、場外に雪崩込むように倒すと、ペナのワキ腹がマットサイドの机に激突。苦悶の表情のペナは、しばらく倒れこむこととなった。

なんとかペナが立ち上がって試合が再開すると、ガルバォンは再び突進。ペナの左足を取って股間に入れると、ほとんど張り手のような形で左手を伸ばしてペナの顔面をヒット。後ろに倒れたペナだが、距離を取って立ち上がった。

勢いづくガルバォンは、さらに前に出ては頭を手を伸ばすフェイントを繰り返す。対応するペナだが、ワキ腹の痛みのせいか、あるいはガルバォンのラフプレイに嫌気が差したのか苦しい表情を見せはじめる。ここでガルバオンがまたもダブルレッグに。倒されたペナだが、なんとかスクランブルしてみせた。

Galvao 04ワキ腹を押さえて苦悶の表情を見せるペナに対して、ガルバォンは前進を続ける。残り7分のところでガルバォンは再びダブルレッグでテイクダウン。場外側でエビで距離を取って立とうとするペナだが、ガルバオンはそれを抑えにかかる。やがて机が目の前にある状態で動きを止めてアピールするペナに対して、体重をかけて抑え込みにかかるガルバォン。ブレイクが入るが、その後もペナはワキ腹を抑えて抗議している。

Galvao 06マット中央に戻り、お互いいろいろと体勢について議論した後で再開。下から前転する等スクランブルを試みるペナだが、ガルバォンはペナの腰に腕を回して離れず、そのまま低く体重をかけ続ける。そして疲労困憊の表情のペナが横向きの体勢になったところで、ガルバオンは重石のごとくペナの腰に体重を浴びせて体勢を固定。残り6分、ガルバォンがとうとうテイクダウンの2点を先取したのだった。

ペナはなんとか足を戻すことに成功するが、ガルバォンは低い重心でプレッシャーをかけ続ける。終盤ペナは下から足を絡め回転して足を取りにゆくが、ここもガルバォンは低いベースで対応。結局ガルバォンは、試合終了まで上のポジションをキープし、ADCCスーパーファイト4連勝の偉業を達成した。

Galvao 07過去最高にバルクした肉体。気迫溢れる前進と、掌打と見紛わんばかりのいなし。そして相手を机に叩きつけてダメージを与える豪快なテイクダウン──今回からアブダビ・サブミッション・「ファイティング」と改名された本大会に、ある意味もっともふさわしい戦いを見せたのがガルバォンだった。その戦法には賛否両論あるだろうが、37歳にしてこの大会に照準を合わせて最高の肉体と精神状態を作り上げ、世界最高のガード技術を誇るペナの心身を折るような勝ち方をしてみせたことは、鉄人の面目躍如だった。

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