【UFC】2020年、上海で「ダナ・ホワイト、火曜の夜コンテンダーシリーズ・アジア」開催決定!!
【写真】米国時間の火曜の夜、アジアでは水曜日の朝のコンテンダーシリーズとなるのか。詳細の発表を待ちたい (C)Zuffa LLC/UFC
30日(水・現地時間)、UFCから来年=2020年にダナ・ホワイト・チューズデーナイト・コンテンダー・シリーズ・アジアを行うという発表があった。
ダナ・ホワイト・チューズデーナイト・コンテンダー・シリーズ(DWTNCS)はその名の通り、火曜日の夜にダナ・ホワイトの目の前でUFCとの契約を勝ち取るためのガチマッチを行う大会。北米では2017年にスタートし、これまで3シーズンを行なってきた。
シーズン01と02は8大会、今年のシーズン3から10大会が開かれ、毎イベント5試合がマッチアップされている。UFC Fight Passで配信されたシーズン01とシーズン02では、それぞれ15人と23人という契約ファイターを輩出している。さらにこの2年間で大会直後に契約はならなくても、その後ショートノーティスなどの代役でUFC配下となった選手が5名、15年に渡りUFCの人材発掘を担ってきたTUFへ2人、さらには経験を積ませるためにUFCと契約したうえで、フィーダーショーに所属するようになった選手が2人生まれた。
今やDWTNCSにはLFAやTitan FC、CESなど人材発掘大会のチャンピオンが、ステップアップを図るためにワンステップを刻む場にもなってきている。その結果、米国内ではESPN+で配信され──50試合が組まれたシーズン03でダナ・ホワイトが契約を結んだ選手は実に30人に及ぶこととなった。100人の出場者、50人の勝者中30人がUFCとなったのだ。
DWTNCSはUFCトレーニングセンター、そしてUFC APEXセンターで開かれてきたが、ブラジル版も昨年ラスベガスで開催され3大会で15試合、30人のブラジリアンがオクタゴン正式加入を賭けて戦い──11人がコントラクトを手にした。
ここまで書き記せば理解できるように、今やDWTNCSはTUFに代わり完全にUFCへの登竜門となっている。と同時に結果だけでなく、戦いぶり、フィニッシュする姿勢が問われるために瞬発力&スクランブル時代のUFCのカラーを一段と色濃くしたのも、DWTNCSといえる。
そんなダナ・ホワイト、火曜の夜コンテンダーシリーズが、来年に上海のUFCパフォーマンス・インスティテュートで開催されることが決まった。UFCパフォーマンス・インスティテュート上海は本場ラスベガスの施設の3倍の広さを誇り、UFCアジアの中国及びアジア地域への投資、その本気度の象徴とされる。
開催時期や試合数、出場条件など詳細は明らかとなっていないアジア版コンテンダーシリーズだが、UFCが認定する男女11階級の全クラスで試合を組んでいく方向にあることがリリースで触れられている。
またダナ・ホワイトも今回の開催発表に際し「次世代の才能の発掘は、私の果たす役割なのかでも凄く好きなことで、アジアほどポテンシャルの高いファイターが眠っている地域は他にない。DWTNCSで探し、育て、コンバットスポーツ界で最高の舞台で戦う機会を与える」と発言。アジアのMMAはONE Championshipが東南アジアを中心に未開の地を開拓し、基礎をなしてきたことは確かだ。その一方で、MMAが認められていないベトナムにすらUFCジムは進出しており、その影響力は当然のように高い。
ONEでもWarrior Series及び中国国内でHERO Seriesで人材発掘&育成の先鞭をつけているが、アジア版コンテンダーズ・シリーズがアジアのMMAの成長にどのような影響を与えるのか。
とはいえ日本の関係者いやファンですら日本、そしてアジアはその独特な歴史と文化が存在している。UFCが米国流ファイトビジネスをダイレクトに持ち込んでも英国圏や豪州のような英語圏、南米のようにそのUFC流MMA文化が築くことは容易くないことは過去7年のUFCと日本国内の状況を見て十分に知り得ている。
同時にUFCを目指すファイターにとって、来年からアジアでDWTNCSが行われることは、自らの可能性を広げる機会になることも間違いない。現状、J-MMA界はONE=修斗&パンクラス、RIZIN=DEEPという縦割り社会が基本構造として存在している。ここにUFCのアジア市場への本格参入が中国にとどまらず、日本も視野に入れているようだと、国内のヒエラエルキーに変化が起こる可能性は十分にある。
ただしMMAは市場を考慮しつつも純然たる実力社会、弱肉強食の世界だ。どのような区分けができようが強い選手が育つ国内市場を構築しない限り、アジアにおいてもそれぞれの国の選手の強化が進む状況に対応することが困難になることは間違いない。底辺の拡大と、国内上層部での潰し合いをさらに進めない限り、アジアでの生き残りさえ困難になる時代がやってくる。その流れはONEに続き、UFCのアジアでの人材育成が助長することは避けられない。