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【Special】増刊、青木真也、ONE100総括─01─「明確に次の半年もこのまま、同じ。変わらない」

Aoki【写真】青木にとっては試合開始前と同様、大会開催前も真剣勝負だった(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

13日にONE Championshipにとって2度目の日本大会が終わった。

台風19号がイベント開始の半日前に東京を直撃。それ以前にも大会まで1カ月半になった時点で急遽、2部制に変わるなど混乱も見られた。北米を睨み、アジア全体を見渡すONEの日本大会に関して、その開催前から異例ともいうべき、警鐘を鳴らしていた青木真也に今大会を振り返ってもらった。


──ONE100 Centuryが終わりました。大会前のプレビュー記事で異例ともいえるイベントへの不安を青木選手が口にし、それを活字にした。ならば、ここは青木選手と大会を総括すべきではないかという企画です。

「総括でいえば、台風が来たという運の悪さがありましたね。俺たちに追い風は吹いてこなかった。そこに対する対応は突っ込みどころはあるけど、2回目のイベント開催でスタッフもまだ育っていないなかで台風が来たのは……運がなかった。危機管理という受け身が得意な人たちでないうえに、ONEの場合はジャパンでなく、シンガポールの本隊というべきグローバルが指揮している。そういう部分で台風関連の対処にしても、ちょっと辛さはあったかと思います。

ただ、そこを差し引いても3月の大会からこの10月まで何もやらなかったツケは回ってきていますよね。それは仕方がないことです」

──そこはONEの運営陣が、次の半年でどうしていくのか。我々は傍観するしかないですね。青木選手はファイターとして、自分はメディアとしての立場でいえば、専門メディアも伝える役割を担えていない。それは運営とは違う部分で明確でした。

「それはいっぱいあります。僕もある。選手側はプロモーションをまるでしていない。今回はパンクラスと修斗という伝えやすいところで……、試合決定から時間があったところでも会見をやっただけ。あとは何もなかった。それはもう疑うしかないことですし、でも……プロモーションをAbemaだったり、テレ東だったり、ONE ジャパンに任せるのかというと、できない人にいうのは酷だし。それは選手側がやらないといけないことだったと思います」

──イベントを中継する、イベントを開催する側のプロモーションとはつまり告知であり、中継、配信のためです。そことは別に専門メディアは格闘技と伝えるという部分で、仕事をしないといけない。

「やってない……ですね。でも、そこに関しては何とも思わない」

──……。

「もうマスコミに対して過度な期待はしていないし。選手にも、いってみればもうそういう気持ちでいます。だから自分のやることをやる。そこに落ち着いてしまいますね」

──それは全ての人間に当てはまることだと思います。自分のやるべきことをやる、のは。

「う~ん、だからやらないことはもう放っておけば良い。そう思ってしまいますね。僕は自分がやっていることが全く別物でそれが可視化されたと思っているから。高島さんはメディアに対して、まだ理想を持っている。僕の方がリアリストなんで、できないヤツは放っておくしかないと思っています。

逆にいえば、僕の方が寛容。だってテレ東の解説で、俺のフィニッシュがダースチョークと分かっていないんです」

──あぁ、スミマセン。自分もアナコンダと混同していまいた。映像を見直しておきます。

「アナコンダかダースはまぁ、あるんです。それはある。でも、ダースでもアナコンダでもないんですよ。変形の肩固め……そりゃぁ、そういえばそうなるだろうって。間違いにはならない。でも、今のMMAを見てないんだなって……。そう聞くと残念だし、腹が立ちますよね?」

──私はそうですね。せっかく、世に広まる機会を得て担えているのに……と。チャンスを棒に振っているなと思います。

「チャンスですよ、それは。チャンスですけど僕はどっちも思わないんです。ニヤニヤみたいな感じになっちゃう。そんなモンだと思っている。もうイライラもしなくなりました」

──MMAは楽しいのですけどね。ちゃんと見て、知れば。

「それは僕らの責任ですよ。見方の提案、楽しみ方の提案ができていない」

──僕らと言うのは選手が提案しないといけないということですか。

「選手、僕ですね。僕がしないといけない。マスコミ側でない、選手になりますね」

──全ての選手が青木選手のようになれないし、ならなくても良いと思います。ただし、青木選手と違うことができるはず。そして、それは専門メディアもそうで。Abema TVが「舐めんなよ、ジャパーズMMA」というキャッチを今大会の軸にすえた。すると専門メディアもそこに則して伝えるようなところがあった……。いや、自分らでないか創ろうよと。それは選手も同じではないでしょうか。

「自分たちで創るってことですよね。メディアも選手も……。でも、それがない。主体性を持ってやっていこうとか、能動的にやっていくということがないんですよ。そのスタンスがない……それは仕方がないですよ」

──仕方がない……仕方がないままで変わらないと、次にONEが日本大会を開いても同じ轍を踏むことになってしまいますね。

「なると思います。明確に次の半年もこのまま、同じだと。変わるとすれば那須川天心やRENAが出場するとか、大きな変化がない限り変わらないし……うん、変わらないと思います」

<この項、続く

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