【WJJC2019】ミディアムヘビー級 プレギーサが50/50ゲームでバティスタ破り二階級制覇
【写真】階級を変えて、2年連続の世界王者となったプレギーサ(C)MMAPLANET
5月30日(木・現地時間)から6月2日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。競技柔術世界一を決定するこのムンジアル・レビュー第13 回は、昨年クローズアウトを果たしたルーカス・バルボーザとグスタヴォ・バティスタのアトスコンビと、昨年のヘビー級覇者のプレギーサことフィリッピ・ペナの対決が注目されたミディアムヘビー級の戦いをお伝えしたい。
波乱は準々決勝で起きた。昨年アトスのチームメイトのグスタヴォ・バティスタとクローズアウトを果たした「ハルク」ことルーカス・バルボーザが、マテウス・ディニズ(アリアンシ)と延々とスタンド戦を展開。残り15秒で、横捨て身を狙うような形で座ったバルボーザだが、次の瞬間ディニズはその右足を抱えて前に体重をかけて上となり、2点を獲得して勝利したのだった。
そのディニズは、準決勝でやはり昨年のヘビー級世界王者、プレギーザことフィリッピ・ペナ(グレイシー・バッハ)と対戦。ディニズの側転パスからのバック狙いを凌いだペナが、下からディアズの右足に絡んでバランスを崩して上となり2点を獲得すると、そのままリードを守りきって決勝に進出した。
もう一つのブロックの準決勝では、昨年バルボーザと優勝をシェア(記録上は準優勝)したグスタヴォ・バティスタ(アトス)がヘナート・カルドッソ(アトス)と対戦。ヒザを蹴って崩すスイープで上を取ると、パスのプレッシャーから背後に付いて襟絞めを極めて2年連続の決勝進出を決めた。
<ミディアムヘビー級決勝/10分1R>
フィリッピ・ペナ(ブラジル)
Def. by 4-4 レフェリー判定 3-0
グスタヴォ・バティスタ(ブラジル)
まず引き込んだのはバティスタの方。そのままシザースイープを狙うが、ペナはバランスを崩されながらもベリンボロのカウンターを仕掛け、逆にバックを狙う。対応したバディスタは、お互いの右足を50/50に絡めて上にいるペナの背後にポジションを取る。
その後しばらく膠着が続くが、やがてバティスタはペナからラペルを引き出し、その右足に絡めて握る。そのままラペルを引きつけてペナの体勢を崩して上を取ったバティスタが、3分経過時点で2点を先制した。ペナは50/50で右足同士が絡んだまま、横にスピン。ヒザを極められるような形になり一緒に動かざるを得ないバティスタを崩して上を取り返し、同点に追いついた。
ここで50/50の絡みが解けると、バティスタはペナの右足のスボンを掴んだまま立ち上がりにかかる。が、ペナも反応して立ち上がり両者が離れる。
残り4分半。2-2の同点でスタンド再開。先に引き込んだペナは、バディスタの右腕にラッソーで絡む。バティスタを前に崩しながらその左足を引き出して肩で抱えたペナは、さらにバディスタの左足に自らの足を絡めて50/50に。先ほどと同様に横にスピンしたペナは、上を取って4-2とリードした。
下になったバディスタは、50/50で絡んでいない右足でペナの右足を蹴る。これでペナに開脚を余儀なくさせたバティスタは、そのバランスを崩して上を取り返し、残り1分で4-4の同点に追いついてみせた。
終盤の勝負所。下のペナは50/50のまま背後に回り、バティスタのバランスを崩してシットアップ。バティスタは下になりながらもトーホールドへ。関節技を仕掛けているうちは下になってもポイントにならないというルールを利用した動きだ。上のペナがトーホールドは効いていない、自分が上になったぞと謂わんばかりにアピールするなかで、10分の試合が終了した。
同時にレフェリーはバティスタとペナの両方にアドバンテージを与える仕草。両者はポイントもアドバンテージも同点のなか、優勝はレフェリー判定に委ねられた。
ミドル級決勝戦に続いて、50/50ゲームとなった試合の判定は、3-0でペナに。ともに50/50の選択をしたことで、その中で使いうる妙技を披露し合う展開は、優劣をつけるのには難しい内容だった。
しかし、最後にペナに上を取られかけたバティスタのトーホールドに、かけ逃げ的=アドバンテージ狙いのアピール要素が濃かったことを考えると、この判定は妥当といえるだろう。
■ミディアムヘビー級リザルト
優勝 フィリッピ・ペナ(ブラジル)
準優勝 グスタヴォ・バティスタ(ブラジル)
3位 ヘナート・カルドッソ(ブラジル)、マテウス・ディニズ(ブラジル)