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【UFC234】苦節8年、初PPVメインカード出場ハニ・ヤヒーラ=ソロMMA✖リッキー・シモンのデュオMMA

UFC234【写真】ここまでスタイルが違うというのは、MMAならではといえるハニ・ヤヒーラ✖リッキー・シモン (C)MMAPLANET & LFA

10日(日・現地時間)、豪州メルボルンのロッドラバー・アリーナで開催されるUFC234「Whittaker vs Gastelum」でハニ・ヤヒーラが5年11か月振りのメインカード出場でリッキー・シモンと対戦する。


ハニが2013年3月のUFC日本大会における廣田瑞人戦以来、そしてPPV大会では2011年1月にUFC初出場を果たして以来、15試合(※1試合はNC)目で初のメインカード出場を果たす。この7年の間でオクタゴンで挙げた白星は11(※3敗)。立派な成績を残すハニは、現在3試合連続一本勝ちで2度目の4連勝を賭けてシモンと戦う。

対するシモンはコンテンダーシリーズで勝利も即契約とはならず、LFAでバンタム級王座を獲得、59秒初防衛を経てステップアップを果たした。昇格後は2連勝中でハニとは対照的に僅か10カ月でPPVショーのメインカード出場を迎える。

コンテンダーシリーズ&LFA王座奪取という、いってみればUFCへのステップアップの王道を歩んできたシモンは今のUFCで非常に客受けするスタイルのファイターだ。蹴りも交えたアグレッシブな打撃と一体化したテイクダウン。動きのなかで勝機を見つけるのではなく、動き続けることで勝利に近づく。シモンのファイトが見ている者に途切れないという印象を与えるのは、彼のダーティーボクシングを引き合いに出すのが一番だろう。

ダーティーボクシングといえば片手で後頭部を抑えて殴る、あるいは片方の腕をワキに差して殴る──いわゆるクリンチ・アッパーに代表されるパンチが主流だった。対してシモンはシングルレッグを仕掛けて、足を一本キャッチした状態やバックに回って腰に手を回した状態で後方から殴るなど、テイクダウンやスクランブルのなかで次々とパンチを打ちこみ、相手に様子を見る隙を与えない。

そのテイクダウンも打撃から途切れることがなく、打・倒の間がほぼなくなったMMAこそシモンの信条だ。一方で抑え続けることがなく、相手にスペースを与えて動きのなかで技を繰り出すことで、最高峰の舞台でフィニッシュに持ち込むことができるかという課題は残る。

対して、ハニの打撃はテイクダウンに持ち込むため。テイクダウンもシモンのように一気に肩口に持ち上げてスラムというインパクトを残すモノでなく、懸命にカカトを取り、ボディロックでバランスを崩し、自らが疲弊しながらトップを奪う汗っかきスタイルだ。いざとなれば下になって、そこからダブルを仕掛けるなど、シモンのMMAが対戦相手の動きに反応し動きを止めない──いわばデュオMMAというべきモノであるのに対し、ハニの戦い方は相手の動きを止め、その良さを消す一方通行のソロMMAだ。

相手の動きは止めても、自らは止まらないのがハニの特徴だ。全力で1Rを取りにいくためにフィニッシュに至らなければ、スタミナの疲弊も激しい。つまりハニとシモンのファイトは、動き続けるという共通項はあるものの全く正反対なMMAといえるだろう。

時代の最先端を行くシモン、時代遅れのハニ。だからといってMMAは最新がオールドスクールを上回ると断言できるほど底が浅い競技ではない。相手に決して同調しないハニに対し、シモンがどのように噛み合うファイト=得意の展開に持ち込むことができるのか。

またハニが如何にそれを許さず、流れのない堰止めファイトを見せるのか。非常に楽しみなバンタム級のマッチアップだ。

■ UFC234対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]ロバート・ウィティカー(ニュージーランド)
[挑戦者]ケルヴィン・ガステラム(米国)

<ミドル級/5分3R>
アンデウソン・シウバ(ブラジル)
イスラエル・アデサニャ(ニュージーランド)

<バンタム級/5分3R>
ハニ・ヤヒーラ(ブラジル)
リッキー・シモン(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ナディア・カッセム(豪州)
モンタナ・デラロサ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジム・クルート(豪州)
サム・アルヴィー(米国)

<ライト級/5分3R>
マ・ドンヒョン(韓国)
デヴォンテ・スミス(米国)

<フェザー級/5分3R>
オースチン・アーネット(米国)
ショーン・ヤング(ニュージーランド)

<フライ級/5分3R>
カイ・カラフランス(ニュージーランド)
ハウリアン・パイヴァ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
石原夜叉坊(日本)
カン・ギョンホ(韓国)

<ヘビー級/5分3R>
ランド・バンナータ(米国)
マルコ・ホサ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
カラン・ポッター(豪州)

<バンタム級/5分3R>
ウリジブレン(中国)
ジョナサン・マルチネス(米国)

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