【WEC42】クルーズがノンストップバトル制し、王座挑戦へ
■第10試合 バンタム級/5分3R
ドミニク・クルーズ(米国)
Def.3R終了/判定
ジョセフ・ベナビデス(米国)
【写真】大会ベストバウトとなった一戦。勝ったクルーズはフェザー級でユライア・フェイバーに敗れて以降、4連勝を達成した (C) ZUFFA
勢いのあるローキックを蹴り込むベナビデス。リーチで劣るが、思い切り踏み込んでパンチを放つ。そのベナビデスの蹴りをキャッチし、払いあげてテイクダウンを奪ったクルーズ。試合はグラウンドには移らず、スタンドでのパンチの交換が続く。左右の拳を振るいながら、クルーズをケージに詰めたベナビデスだが、ここでテイクダウンを奪われる。クルーズのトップからの攻めをギロチンで切り返したベナビデスに、クルーズは首を引き抜いて立ち上がった。
低いガードから、いきないパンチや蹴りを振るうベナビデス。体幹の強さを伺わせるが、スタミナが持続するのかと危惧したくなるほど積極的に動き続ける。
そんなベナビデスのアグレッシブさに付随する隙をつき、テイクダウンを狙っていくクルーズ。スピーディーな攻防が続く中、両脇を差すことに成功したクルーズがさば折りからテイクダウンを奪う。クルーズはマウントを一瞬だが取ることに成功したが、ベナビデスは体を横回転し、バックを奪われないように立ち上がった。
2R、左右のフックからハイキックをヒットさせ、前進するベナビデスだが、クルーズの右で腰が一瞬落ちてしまう。そのまま足を止めて打ち合う両者は、同時に飛び込みパンチを放つが、ベナビデスの拳が先にクルーズの顔面を捉える。
激しい攻防が続くなか、クルーズのヒザ蹴りがベナビデスを捉え、そのまま脇を差しあげテイクダウンへ。クルーズの腹を蹴りあげたベナビデスがスタンドへ戻る。ベナビデスのバックブローにカウンターをヒットさせたクルーズに、ベナビデスはそのまま組み付き、テイクダウンを狙う。
再び距離を取った両者、ともに体を振りながら攻撃するため、パンチや蹴りを打ち終えたあと、バランスを崩しがちで反撃を許す。その繰り返しがノンストップなグッドファイトを演出するが、勝敗のカギはスタミナに握られるか――。
そんな危惧をよそに、スピードが衰えない両者。クルーズが抜群のタイミングで飛び込みテイクダウンを奪って白熱の2Rを終えた。
最終回、クルーズはミドルから変化するロー、あるいはハイを見せる。打ち終わりに突っ込むベナビデスは、テンポの早いファイトを展開。ベナビデスのハイに、クルーズのローが交錯し、ここは後者が蹴り勝った。続いてみられたレスリングの攻防でも、上を取ったのはクルーズ。ケージ際で立ち上がられたが、クルーズが要所を締めるファイトを展開する。
残りファイトタイム90秒、ハイキックとクロスが行き来し、クルーズがテイクダウンを狙うも、ベナビデスは直後に立ち上がりつつギロチンを狙う。最後の最後まで動きを止めない両者、残り20秒でバックグラブを取りベナビデスの動きを止めたクルーズは、試合終了のホーンとともに両手を掲げ、ベネビデスは正座の状態で頭をキャンバスに突っ伏した。
15分間のノンストップアクション、タイトル挑戦権をかけた意地の攻防は、30-27が一人、29-28が二人、2-1でクルーズに凱歌が挙がった。「僕がトップコンテンダーだと思う?」と笑顔を浮かべるクルーズは、「体調も良かったし、ベナビデスのフィジカルに負けず動き続けることができた」と大切な勝利の味を噛みしめているようだった。