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【UFC FOX29】実は高い組み技が打撃を支えるポイエー×敗北を知り変化があるのか気になるゲイジー

Poirier vs Gaethje【写真】殴り合いになるのか。あるいは違った戦いが見られるのか。どちらも興味深い(C)Zuffa LLC/Getty Images

14日(土・現地時間)、アリゾナ州グレンデールのヒラ・リバー・アリーナで開催されるUFC on FOX29「Poirier vs Gaethje」。メインはライト級のザッツ・ファイター対決=ダスティン・ポイエー×ジェスティン・ゲイジーの一戦が組まれている。


引くことを知らない両者の対戦。WSOFライト級王者からUFCへ転出、その2戦目となった昨年12月のエディ・アルバレス戦で、プロ19試合目の初黒星を喫したゲイジーが、再起を掛けて4カ月振りのオクタゴンでポイエーと戦う。

対するポイエーは昨年11月にアンソニー・ペティスから結果的にはわき腹の負傷TKO勝ちだが、フィニッシュ以前に圧倒していた勝利から5カ月振りのファイトとなる。ポイエーはペティス戦の前にアルバレスと対戦し、真っ向からやりあうなか反則のヒザ蹴りを3度喰らい試合続行不可能に。てっきり反則勝ちになると思いきや、ノーコテンストという結果を受け入れている。

MMAに三段論法は通じない。さらに仮定の話をしてもしょうがない──が、ポイエーは反則のヒザがなければアルバレスに競り勝っていた可能性は低くない。もちろん、ゲイジーと同様にヒザ蹴りかパンチでマットに沈んでいたことも考えられる。ただ、断言できるのはゲイジーに負けないだけアルバレスとやり合い、追い込んでいたということだ。

ライト級転向後、5勝1敗のポイエーは唯一の黒星となっているマイケル・ジョンソン戦はギアを入れ間違えたかのようにひたすら殴られ95秒でキャンバスに沈んだものの、それ以外のファイトではサウスポーの構えから常時プレッシャーを与え続け、そのプレッシャーから貫いてきた。

サウスポー基調のポイエーだが、相手の反応を見てオーソに構えてスイッチヒッターとして戦うことができる。彼が構えを変えるのは、MMAに多い相手を混乱させるというよりも、自らのパンチが届く最善の距離、角度に位置するためのように感じる。つまりポイエーが構えを変えた時は、攻めの意識がより高まった時と考えてよいだろう。

Poirier vs Pettisそんなポイエーのスタンドのプレッシャーを支えているのが、実は高いグラップリング能力だ。

ブラジリアン柔術の黒帯のポイエーは打撃一辺倒でなく、必要に応じてしっかりと組んで、ポジションを支配し相手を削ることができる。その組み技が堅いファイトに映らないのが、この間もエルボーやパウンドを絶え間なく打ち続けているからに他ならない。ペティス戦で見せた下になった時の安定したガードワーク、さらにスクランブルでのバック奪取、バックマウントとマウントの移行という最善のポジションキープは、まさに寝技のプレッシャーファイトであった。

UFC 218: Holloway v Aldo 2一方、ゲイジーは強烈なローと、殴られても殴り勝つスタイルで勝利を積み重ねてきた喧嘩屋だ。UFC初戦ではポイエーを秒殺したジョンソンにも逆転で殴り勝っている。それゆえに初黒星が彼にどのような影響を与えているのか気になるところ。

いってみれば18連勝中のゲイジーは、負け知らずの純真無垢な勝利を欲するままにゴーフォーブロック・ファイトを展開し、白星を手にしてきた。しかし、アルバレス戦で敗北を経験した。負ける自分を知ったことで、ゲイジーは以前のようなやり過ぎファイトを続けることができるのか。

まるで後先を考えないような殴り合いこそ、ゲイジーの最大の強味だったが、その裏で確かなレスリング能力の持ち主という姿を、これまでゲイジーは見せてこなかった。テイクダウンに行くのか、乱打戦で勢いをつけるため。反撃の狼煙がテイクダウンであったものの、アルバレス戦では切られて通用しなかった。

ゲイジーが十分に動け、スタミナもある状態でテイクダウンを織り交ぜて戦うとどうなるのか。ポイエーの右足を狙うのが、左右のローキックだけでなく、テイクダウン狙いの左手となった時、喧嘩屋でなくMMAファイターとしてゲイジーのフルポテンシャルを見ることができるのだが──、果たして。

■ UFC FOX29対戦カード

<ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
ダスティン・ポイエー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
カーロス・コンディット(米国)
アレックス・オリヴェイラ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ミッシェレ・ウォーターソン(米国)
コートニー・ケイシー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリシュトフ・ヨッコ(ポーランド)
ブラッド・タヴァレス(米国)

<ミドル級/5分3R>
アントニオ・カーロス・ジュニオール(ブラジル)
ティム・ボッシュ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アージャン・ブララ(カナダ)
アダム・ビチョレク(ポーランド)

<フライ級/5分3R>
ジョン・モラガ(米国)
ウィルソン・ヘイス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
岡見勇信(日本)
ディエゴ・リマ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ルーク・サンダース(米国)
パトリック・ウィリアムス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
シェイナ・ドブソン(米国)
ローレン・ミューラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
アレハンドロ・ペレス(メキシコ)
マチュー・ロペス(米国)

<ミドル級/5分3R>
イスラエル・アデサニャ(ニュージーランド)
アルバート・モラレス(米国)

<ライト級/5分3R>
ジルベウト・バーンズ(ブラジル)
ダン・モレット(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ムスリム・サリコフ(ロシア)
リッキー・レイニー(米国)

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