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【UFC223】思わぬ苦戦(?)もカビブ・ヌルマゴメドフが、大差の判定勝ちで新世界ライト級王者に

<UFC世界ライト級王座決定戦/5分5R>
カビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)
Def.3-0:50-44.50-43.50-43
アル・イアキンタ(米国)

ヌルマゴメドフが勝った場合のみ王座戴冠という変則世界戦。低い構えから右を伸ばすイアキンタがテイクダウンのフェイクからパンチを見せ、ヌルマゴメドフのダブルレッグをスプロールする。シングルレッグでイアキンタの左足をキャッチし、レッグリフトからテイクダウンに成功したヌルマゴメドフが、一気にバックを奪う。スクランブルから立ち上がったイアキンタだが、ハイクロッチ&足払いで倒されるとキムラロックへ。バックに回ったヌルマゴメドフが左のパンチを打ち続ける。

ゴツゴツと音がするパンチを被弾するイアキンタは、立ち上がることができない。殴りながら、同じような形でテイクダウンを奪ったヌルマゴメドフのパンチがいよいよ強くなる。このままバックからパンチを打ち続けたヌルマゴメドフに対し、胸を合わせたイアキンタは初回を生き残った。

2R、ヌルマゴメドフの前蹴りを顔面に受けても怯まないイアキンタだが、アッパーには大きく反応する。左フックや右ストレートを、変則的なステップを踏みながら打ってくるイアキンタに対し、2度の試みでシングルレッグを決めたヌルマゴメドフはパス狙いからバックへ。初回と同じような形となり、ヌルマゴメドフのバックコントロール&パンチに対し、正面を向いたイアキンタはダブルレッグをスイッチで返そうとするが、続くスクランブルでバックを許し、両足をフックされる。

暴れるイアキンタにRNCを狙うヌルマゴメドフ。正面を向いて防いだイアキンタにパンチを落とし、背中を向けると完全に潰してパンチを連続する。肩固めを防ぐイアキンタをバックマウントに再び捉え、懸命に手首を掴んで防いでくるが、それを振り払ってパンチを落としたヌルマゴメドフは、最後は乗り過ぎて背中から落ちそうになったが足を掴んで踏み止まった。

3R、左ジャブの相打ちから距離を詰めようとするヌルマゴメドフは左ジャブ、左ハイを繰り出すが疲れも見えるか。左ジャブから右ストレートを伸ばしたヌルマゴメドフのシングルレッグをイアキンタが切って、右を当てる。前に出るイアキンタはジャブを捌いて、テイクダウンのフェイクを見せる。ヌルマゴメドフはローを当て、左ミドルハイ。イアキンタは左ストレートをかわして、ローに右を合わせていく。

ヌルマゴメドフの動きは雑になり、スピードにも欠けて来た。それでも左の変則アッパーから右、そしてジャブを繰り出し続けると、イアキンタが踏み込んで右を見せたところでラウンドが終了、ヌルマゴメドフは集中力に欠けているようにも見えてきた。

4R、右フックからシングル、反応したイアキンタに右アッパーを放つなど、集中力が増したような動きを見せたヌルマゴメドフが、引き続き左ジャブを当て続ける。踏み込みもパンチも鋭くなったヌルマゴメドフがシングルレッグも、これはイアキンタが切る。イアキンタはボディから顔面にパンチを伸ばす。これらの攻撃をかわしたヌルマゴメドフだが、左ハイは空振りし、イアキンタのシングルレッグ狙いからの左フックを被弾する。

ジャブを連続で当てたヌルマゴメドフ、イアキンタは前に出て右ストレートをヒットさせる。近距離では、何が起こるか分からないと思わせるまでイアキンタがけんとう健闘を見せる──というよりも、ヌルマゴメドフにいつもの迫力がない状態が続き、試合は最終回に。

5R、思わぬ長丁場となった試合は最後の5分を迎える。ヌルマゴメドフのシングルを切ったイアキンタは、ジャブを被弾しながら左ボディフックを入れ、左フックで顔面を狙う。さらに左フックを当てたイアキンタが、シングルのフェイクから右アッパーをヒットさせる。下がるマゴメドフは、息も荒く、これまで見せたことがないほどパンチを被弾する。

イアキンタはアッパーを打たれても、前に出る。ヌルマゴメドフは、ケージに詰めてシングレッグもテイクダウンは奪えない。ここで脱ぐマゴメドフは、いつものような野生が目覚めた如く、圧力のある打撃から一気にテイクダウンを奪う。ヌルマゴメドフはバックコントロールから勢いのある左のパンチを打ち込む。

残り90秒、パンチかスタンドで両足をフックしたヌルマゴメドフが、足を引き寄せて寝技に持ち込み、RNCへ。必死に防ぐイアキンタにパンチを続けたヌルマゴメドフはバックマウントの状態でタイムアップを迎え、満面の笑みを浮かべた。

結果、大差の判定勝ちでヌルマゴメドフがUFC世界ライト級チャンピオンに輝いた。「神の存在なしに何もできない。父とハビエル(メンデスAKA代表)が僕を創ってくれた。AKAはベストチームだ」と話した新チャンピオンは、トレーニングバートナーに感謝の言葉を続ける。そして、「イアキンタはリアルなブルックリン・ギャングスターだ。コナー・マクレガーは、バスと戦いたかったみたいだけど、俺はリアル・ギャングスターと戦いたかった。俺はUFCが言った相手と戦うつもりだ。でも、今は少し水を飲ませてくれ(笑)」とロシアン・ジョークを交えてコメントを残した。


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