【UFC222】マッケンジー・ダーン、柔術を信じて世界最高峰の舞台──初陣へ
【写真】本来の力が発揮できるのか。マッケンジーのUFC登場は彼女と柔術の可能性を示す戦いとなる(C)KEITH MILLS
3日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC 222「Cyborg vs Kunitskaya」で、ついにマッケンジー・ダーンがUFCデビューを飾る。
今のMMAにおいて、打撃が勝敗の鍵を握るパーセンテージは高い。パンチはダメージを与えなくても手数で攻勢点を取れる。またレスリングはテイクダウンのトライと、仕留めることが目的でないので──倒したという効果点が存在する。一方、柔術といえば競技柔術の軸となる下からのコントロールに効果点はなく、優位であるはずの位置取りが判定負けに直結する。
極めにおいてもポジション奪取からの絞め以外の多くが、防がれると相手が有利なポジションとなり、逃げた方に印象点を持っていかれる。このようにブラジリアン柔術の技術は、MMAに欠かせない三大要素の一つでありながら、ジャッジの裁定という面では不遇な状況にあり続けている。
そんななかマッケンジーはブラジリアン柔術世界大会を制すること2度、ノーギワールズ優勝2度、そしてアブダビプロを始め、体重差40キロはあろうかというギャビ・ガルシアの一番の好敵手で小よく大を制すという柔術の理念を実践してきた。
何よりも彼女は自らの柔術に全幅の信頼を寄せており、「ヨアナ・イェンジェチックやホーリー・ホルムがすぐにトップになったように、私もUFC世界王者まで一直線でいける」と断言してしまうのだ。
自らの柔術を最大限に生かすために、マッケンジーはストロー級で戦うことに拘り、計量失敗というミスを繰り返した。かなりの批判も受け、一度はフライ級転向も視野に入れたもののInvicta FCでストロー級でやっていけるか、ズッファが課した最終テストにパス。UFCも彼女がレガシーFCやLFA、そしてInvicta FCのケージでみせた魅せた柔術を最大限に評価している。
MMA戦績5勝0敗、3つの一本勝ち。圧倒しながら極めきれない試合でも「15分戦えて、良い経験になった」という勝ち気なポジティブマインド。『女』という部分を意識し、セックスアピールも相当なマッケンジーだが、その底抜けに明るい性格は同姓の支持を得ることにも成功している。
MMAファイターとして打撃の精度を上げ、肉体強化にも努めて世界最高の舞台で一歩を踏み出すマッケンジー。対戦相手のアシュリー・ヨーダは5勝3敗の戦績の持ち主で、UFCでは2敗。それでもオクタゴン初戦は異様に力が入って、力を出し切れないUFCジッターという現象が多々見られるが、マッケンジーの場合はどうか。柔術&グラプリング、MMAでもデビュー戦から異様に高い注目度のなかで戦ってきたマッケンジーとはいえ、Tモバイル・アリーナの雰囲気を楽しめないと、思わぬ結果が待ち受けている可能性もある。
■ UFC222対戦カード
<UFC女子世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]クリス・サイボーグ(ブラジル)
[挑戦者]ヤナ・クニツカヤ(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
フランキー・エドガー(米国)
ブライアン・オルテガ(米国)
<バンタム級/5分3R>
ショーン・オマーリー(米国)
アンドレ・スークムタズ(米国)
<ヘビー級/5分3R>
ステファン・シュトルーフ(オランダ)
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
<女子バンタム級/5分3R>
キャット・ジンガーノ(米国)
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)
<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
アシュリー・ヨーダ(米国)
<ライト級/5分3R>
ベニール・ダリューシュ(米国)
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
<バンタム級/5分3R>
ジョン・ドッドソン(米国)
ペドロ・ムニョス(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
ヘクター・ロンバード(豪州)
CB・ダラウェー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
マイク・パイル(米国)
ザク・オットー(米国)
<バンタム級/5分3R>
ブライアン・キャラウェイ(米国)
コディ・スタマン(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ジョーダン・ジョンソン(米国)
アダム・ミルステッド(米国)