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【Pancrase292】久米鷹介との再戦に臨む──徳留一樹─01─「あの負けがあったから」

Kazuki Tokudome【写真】昨年の久米戦前とは、身にまとう空気感が違う徳留(C)MMAPLANET

12月10日(日・現地時間)、東京都江東区のディファ有明で開催されるPancrase292で徳留一樹が久米鷹介の持つライト級KOP王座に挑戦する。

昨年9月に自らが持つベルトを久米に奪われた。予想は徳留有利──そんな空気と、勝ってUFCと再契約するという徳留の想いを久米が切り裂いたTKO劇だった。

あくまでも目標は世界最高峰=UFC、現役生活を続行した徳留は久米戦で得た教訓を胸に、そのUFCへの想いを忘れて久米戦に集中している。

そんな徳留をameba TVが制作する格闘家の1日を追うドキュメンタリー番組=ONEDAYが追った。

ここでは尋常であらざる空気感を身にまとうようになった徳留に、久米戦に臨む気の持ち方を徹底的に尋ねた。


――久米選手への挑戦を控えている徳留選手ですが、現時点でUFCに対してどのような気持ちでいますか。

「今はもうUFCのこととか考えずに、久米さんのことに集中しています。そういうことが頭にあって戦えるほど甘くない相手だというのは去年、負けたことで分かったので。久米さんと戦う12月10日に向けてメンタル、体力、技術の全てが頂点に持っていけるように意識してやっています」

──UFCに行くために久米選手に勝ってベルトを取り返すということではない?

「そこを考えると隙ができてしまいます。今は久米さんに集中しています」

──この試合云々とは別にしてUFCの選手の選考も以前とは変わってきたのかという気もします。

「そういうことはあると思います。それでもUFCは誰が見てもナンバーワンであることは変らないから、MMAをやっている以上はそこを目指さないといけないのかなって思います」

──9月のUFC日本大会に出られなければ身を引くという発言もありました。

「久米さんに負けて、どうしようかと思い、改善点が見つかった。その部分を練習してきて強くなってきているのが分かるので。それでも成長していなかったり、何をやっても少しも変わらないのであれば、もう辞めていると思います。でも、少しずつ変わってきているので辞めないで続けています」

──強くなっているから続けると言うのは、誰もが口にする台詞です。では、その強くなっている結果を出す対象がどこになるのということが大切になって来るかと思います。

「次、しっかりとベルトを獲る。そうしたらパンクラスのライト級ナンバーワン、日本でも5本の指に入ると思うので、もう一度UFCに戻ってランキングに入れるぐらいの力をつける。それは(塩田歩)館長とも話しているし、大宮司(進トレーナー)さんとも話しています。

そこを目指さないで、下の方で勝ったり負けたりやっているようだともう辞めた方が良い。自分はそういうレベルなんだと分かった時点で多分もうスッキリすると思うので。まずはそこに向けて、ベルトを獲ってアピールすることが一番大事だと思います」

──UFCリリース組は、次は結果を残すためにという風に口をそろえて話します。

「前に出た時……リリースされた時は、UFCに出ることで浮かれているっていうか……『出られた、嬉しいな』という気持ちでいて、それでお終いでした。今、あの時に戻ることができたら、自分はもっと努力するし、もっと色々とMMAについて考えることができる。

今と同じ気持ちでできたと思います。あの時、できなかった自分がいるから今、行けたらもっとできるんだぞということは示したいです」

──その気持ちの違い、去年の敗北からここまでの積んできたモノがあるということで、久米戦に対する心構えも相当違ってくるのではないでしょうか。

「去年は隙がありました。防衛戦という部分より、勝ってUFCに近づけるという方が大きかったです。それだけ、久米さんに対する危機感が少なかったです。今回はあの負けのおかげで強くなれたし、久米さんと戦うことに向けての集中力が前回とは違います。それは試合を見てもらえれば、分かると思います」

──去年はあまり久米選手のことを見ていなかった

「見てはいましたが、今ほど危険だとか、危ないということを考えていなかったと思います。王者で、ベルトを持っていて隙ができました。そこを上手くつかれましたし……負けた後にも話しましたが、苦手な部分を直したつもりというか、近い距離で戦うことに対して、戦えているつもりでした。

Tokudome vs Kumeあの試合であの状況になるまで遠い距離で戦えていたので、そこができていないと気付かせてくれたのが久米さんで。今は近い距離でも全然強いし、そのためのトレーニングを多くやってきました。だから一段階上に行けたのは、あの負けがあったからだと思います。だからこそ、もう一度気持ちを引き締めて勝負をしたいです」

──北岡悟戦、アクバル・アレオラ戦。勝利しましたが、共に近距離ではパンチを被弾しました。勝っている時に感じる課題と、負けて得る反省とは違うモノなのでしょうか。

「違うと思います。改善しないといけないと思ったのは、あの負けがあったから。勝てている時は、自分の勝っているスタイルにすがっているというか、戦い方を変えることはできなかったです」

──久米選手にも打ち勝てると思っていた?

「打ち勝てるとまでは思っていなかったですけど、まぁ練習したことが出ていたので……。当たって倒れたら練習通りに出来ている。そういうつもりでいました」

<この項、続く>

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