【Pancrase291】初防衛戦に臨むロッキー川村―02―「俺はロッキーではあるがミッキーでもある」
【写真】ミットを持つミッキー川村。ミッキーの時間が、ロッキーを強くしている (C)MMAPLANET
12日(土・現地時間)に東京都江東区のディファ有明で開催されるPancrase291で、自らの持つミドル級のベルトの初防衛戦を戦うロッキー川村インタビュー後編。
昨年10月に王座を賭けて戦った新村優貴との再戦に向かう川村をameba TVが制作する格闘家の1日を追うドキュメンタリー番組=ONE DAYが追った。
距離、角度、タイミング、考えることが大切だというロッキー川村が、そのスタイルとスタイルが生まれた背景を語る。
<ロッキー川村インタビューPart.01はコチラから>
――戦い方も以前のように打たれても打つというのではなく、打った位置にいない、スイッチヒッターとなりパンチを被弾しない打撃に変わってきたように感じます。
「これはな、ロッキー3を観たんだ。ロッキー3で、アポロ(※ロッキーのライバル。元世界王者で、ロッキーにベルトを奪われるが、その王座を失ったロッキーが指導者を亡くした後にコーチを務め、王座返り咲きを支える。ドラゴとのエキシビションマッチで死去。後に息子がロッキーの指導を受けボクサーとして独り立ちする)がロッキーにステップを教えたんだ。
世界王座を失ったロッキーに、アポロは『お前には以前のような強靭なアゴもなく、パワーもない。じゃぁ、お前はどうするんだ?』と言うんだ。それを見て、俺は考えた」
――それは本当の話ですか?
「俺はいつだってリアルストリーだぜっ、ドン・キング!!」
――ドン・キングっ(笑)。
「俺の人生は紐解いていくと、全てがロッキーに行き着くつんだっ」
――アポロの言葉から、どのように今のスタイルを構築してきたのでしょうか。ロッキーはあくまでボクシングではないですか、距離も角度も、組み技もない。まして、殴り合って勝つ。
「それがロッキー3で変わったんだ。ロッキー・バルボアはサウスポーからオードソックスになり、両方の構えで戦えるようになった。それを見て、俺も両方できるようにしたんだ」
――あのスタイルを体に馴染ませるのは、かなり大変だったと思います。それだけ考え、体を動かさないと試合で使いこなせないと思います。
「そうだな。考えることは大事だ」
――前回の新村選手との試合で特筆すべきは、自分から動いてかつ、相手の反応に合わせている。受動態も能動態もできていた。出て、待つ。待って出るというステップですね。
「たまたまだっ!! ドン・キング、よく試合を見てるなっ。本当に試合なんてたまたまだ。だから練習するんじゃないのか? ロッキーを見てだな、自分で考える。ボクシングはな、恵比寿のK’s BOXでも練習をしている。
あそこの加山(利治)さんというトレーナーにだな、加山さんだぞ。加山さんにロッキーから得たヒントをもとに、ミットを受けてもらって、そこに修正を加えてもらう形だ。ボクシングの技術を高め、ロッキーに授けられた発想を現実にしていく。なんでも、そうだろぉ? 自分で考えることが大切なんだ」
――なるほどぉ。
「もともとは足を怪我した時に、今や最強のパン屋となった大石幸史さんがK’s BOXへ通っていて、セコンドだったので大石さんとな、共通の考えを持っていたかったから俺も一緒にジムへ行ったんだ」
――そういえば、ONEでホノリオ・バナリオに勝利した時の動きと今の川村選手の動きは共通性があるような。
「そうだろうぉ? もともと大石さんと俺はな、似た動きがあったんだ。それにな、ずっとセコンドだったから、動きも分かっていた。
でな、足の怪我をしていたときに大石さんのボクシングの練習を見て、もっと考えを擦り合わせと思った。これも考えるということだ。そして、K’s BOXへ行って加山さんと出会ったんだ。
俺もミットを持ってもらった。そうしたらな、パンチが全然当たらないんだ。なら、ただ当てるだけじゃなくて、倒せるパンチを当てるようになりたい。そうやって練習していると、試合でたまたまあの動きになったんだ」
――そこを究めていきたい?
「ロッキー川村はロッキー川村だ。ロッキー川村ができることをやるしかない。それもな、バカバカ殴り合っていた時代があったからなんだ。
今一緒にやっている若者たちに、ミッキーやアポロが俺に教えてくれたように教えてやりたいが……教えてやりたいが、若者は完成形を見せてしまって、その過程がないからどうしても全ては伝わらないんだよ、ドン・キングッ。
俺もいざとなったら打ち合える。だが、打たれ弱くもなっている。ソレも分かっている。アゴがいかれている――これこそロッキーが言った言葉だ。そうなる戦いをしていたから、今がある。それを練習仲間に伝える、いや伝えようとすることが、俺の勉強になっている。
伝えるために考える、考えることが重要だから。そういうことなんだ。だからな、俺はロッキーではあるがミッキーでもあるんだ」
――そうしてデカゴンに立つ姿をドン・キングは見させてもらいます。
「そうだっ、見てくれ。俺がな、こんな話をしても面白くないだろうが……まぁ、そういうことだ」
――いえ堪能させていただきました。この1年で新村選手も成長しているはずです。改めて、次の試合で気を付けないといけないと思っている部分はどこになりますか。
「気を付けるところ……う~ん、何だろうな。リーチの差も感じないしな。ただし、前と同じにはならない。ソレだけは絶対に言っておく。ドロドロの試合になるだろう」
――防衛戦以降、ロッキーはどこを目指して戦っていくのでしょうか。
「ノープランだな。どこに立とうが、どこで試合をしようが、どんな試合をしようが、ロッキー川村はロッキー川村である。その心は変わらないんだ。でもな、また海外では戦ってみたい。海外で勝ちたいな」
■Pancrase291対戦カード
<ライト級/3分3R>
菊入正行(日本)
高橋弘(日本)
<ライト級/3分3R>
深谷誠(日本)
松井幸太(日本)
<フェザー級/3分3R>
平山学(日本)
鬼山斑猫(日本)
<フェザー級/3分3R>
加藤泰貴(日本)
DARANI DATE(日本)
<バンタム級/3分3R>
飯島重樹(日本)
林太陽(日本)
<バンタム級/3分3R>
工藤修久(日本)
聖王DATE(日本)
<2017年ネオブラッドTフライ級決勝/3分3R>
川端康太(日本)
中村龍之(日本)
<ミドル級KOPT/5分5R>
[王者]ロッキー川村(日本)
[挑戦者]新村優貴(日本)
<バンタム級/5分3R>
上田将勝(日本)
アラン・ヒロ・ヤマニハ(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
瀧澤謙太(日本)
アレッシャンドリ・シルニ(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
高木健太(日本)
奈良貴明(日本)
<フェザー級/5分3R>
田村一聖(日本)
鈴木琢仁(日本)
<ライト級/5分3R>
冨樫健一郎(日本)
アジズ・パフルディノフ(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
内村洋次郎(日本)
ダニエル・リケイホ(スペイン)
<バンタム級/5分3R>
福島秀和(日本)
原田惟紘(日本)
<バンタム級/3分3R>
TSUNE(日本)
山本哲也(日本)
<フェザー級/3分3R>
杉山和史(日本)
堀江圭功(日本)
<バンタム級/3分3R>
神田T800周一(日本)
川村泰博(日本)