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TUF9フィナーレで、崖っぷち対決に挑むスティーブンソン

2009.06.20

ジョー・スティーブンソン (C) MMAPLANET20日(土・現地時間)、ラスベガスのザ・パールで行われるTUFシーズン9フィナーレ。そのメインカードのなかで、絶対に負けられない一戦に挑むファイターがいる。

【写真】新たな師匠グレッグ・ジャクソンと。かなりハードな立ち技のスパーをフルサイズのケージで行っていたジョー・スティーブンソン (C) MMAPLANET

TUFシーズン2ウィナーのジョー・スティーブンソン。ライト級に転向後、4連勝でBJ・ペンとのUFC世界ライト級王座決定戦に挑むもリアネイキドチョークで一本負けを喫した。

その後、グレイソン・チバウ戦で復活の狼煙を挙げたものの、ケニー・フロリアン、ディエゴ・サンチェスに連敗。崖っぷちの状態で、強豪ネイト・ディアズと対戦するスティーブンソンにインタビューを試みた。

――5月23日のUFC99でギロチン・チョークにより一本勝ちを収めた吉田善行選手が『ジョーに教えてもらったんで感謝しています』と言っていました。

「ノー、もともとヨシダはしっかりとギロチンを仕掛けることができていたよ。ホンの少し、修正箇所を教えたに過ぎない。僕の知っていることは、誰にだって教えてあげたいけど、彼は最初からできていたよ(笑)」


――ジョーがジャクソンズMMAに移ってきたのは、いつのことですか。

「今も僕のベースはカリフォルニアのビクトービルスにある。ラスベガスから移り、自分のスクールも開いた。僕はコブラカイのメンバーで、スクールもコブラカイの支部だ。マイク・ライモンを師事しているし、こないだロバート・ドライスデールから黒帯をもらったばかりだ。アルバカーキには試合の2カ月前からやってきている」

――ケニー・フロリアン、そしてディエゴ・サンチェス戦という大切な試合を落としたことが、ここにやってきたと関係していますか。

「ケニー・フロリアンに一本負けしたときは、試合の6週間前にケガをして、満足に動ける状態じゃなかった。スパーリングもできないし、それでもUFCは僕の試合が必要だったから戦った。とんでもない試合になってしまったよ。

ディエゴとの試合では、立ち技の成長を見せることができたとは思う。でも、もっと戦略を立ててパンチをかわすだけでなく当てる必要があった。

今、ここでしっかりとトレーニングを積まないと、この先に後悔することになると思ったんだ。家内も『子供たちのことは任せて』って言ってくれたから、グレッグのところで試合前はトレーニングすることを決めた。僕が留守の間、スクールはサンパウロからやってきたマルセーロ・ラペラに任せてある。彼はギもノーギもアメージングだよ。人間的にも信頼できているんだ」

――カリフォルニアにも多くの素晴らしいジムがあるなかで、このニューメキシコ州にあるグレッグ・ジャクソンのスクールを選んだ理由はどこにあったのですか。

「素晴らしいファイターがいて、チャンピオンがたくさんいる。そういうジムは多くない。ヨシダがここにやってきて、言葉が通じないのに多くを得ていた。ちゃんとした付き合いができた。ヨシダはジュードー・スローを僕に教えてくれたよ。僕は彼にグラウンドを指導した。そういう関係が、ここでは特別ではないということ。みんなでチームのメンバーを支え合っている。そこがここの良さだよ」

――ところでネイト・ディアズ戦が近付いてきました。またも厳しい対戦相手です。

「望むところだよ。イージーな相手でも、練習で手を抜くことはできない。必死でトレーニングを積むんだから、強い相手と戦いたいよ。凄く大切な試合になる。僕は過去4試合中、3試合で敗れている。そうなると、多くの選手の場合は気持ちが揺らいでくるはずだ。でも、僕には関係ない。ここにきて、ドリル・トレーニングを行い、スパーリングをしてゲームプランを立てている。ここで練習していると、ネガティブになる余裕なんてないよ。相手に勝つことしか考えられない。

ネイト・ディアズはいつも一本を狙う、もっとも危険な相手の一人だ。そして試合を諦めない。アルバカーキはマイルハイシティで、さらにその周囲にはもっと高度が高い場所がある。そこでスタミナトレーニングを積んでいると、最初の2~3週間は吐いてばかりだ。体力勝負では絶対に負けない。ただし、気を抜くと一瞬で試合を持っていかれるから注意が必要だ」

――ここにやってきて、どこが一番伸びたでしょうか。

「グレッグと練習するようになって、立ち技のステップというものを学んだ。これまでは前に進むだけだったのが、相手の周囲、外側に立つということを学んだ。待つということを知ったんだ」

――UFCライト級戦線で、もう一度浮上するには絶対に負けられない戦いになりますね。

「正直、ズッファに切られても、僕の力は変わらない。どこでも戦っていける自信がある。試合を見たファンを満足させることもできる。敗北を怖がって、試合に挑みたくはない。確かに試合前に眠れない夜も経験したよ。そんな時、家内が『私はあなたが勝とうが、負けようが関係ない。それよりもベストを尽くす姿勢を見ていたい』と言ってくれたんだ。僕は家内と子供たちがハッピーであれば、それでいい。彼らがハッピーでいられる試合を見せたい。

きっとフェザー級で戦ったほうがいいんだろう、そういう時期に来ていることも分かっている。でも、フェザー級だとここのレオナルド・ガルシア、カリフォルニアにはカブ・スワンソン、ユライア・フェイバーとWECは友人ばかりだ。もし、フェザー級に落とすときが来たら、僕はジャパンで戦うよ。

まぁ、それは今後、あり得るシチュエーションということで、もちろん僕はネイト・ディアズに勝つ。ただし、これがズッファと契約している最終試合だから、今後のことは試合が終わってから話し合うことになっている。今、試合前に2カ月家族から離れて生活をしている。それが年に3回、できれば年に2回で生きていけるようになりたい」

――例えばフェザー級に階級を落とさなくても、日本でライト級で戦うという選択肢はありませんか。

「凄く良いファイターがいるね。シンヤ・アオキ、ヨアキム・ハンセン、彼らのことを尊敬しているからこそ、戦ってみたい気持ちは持っている」

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