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【RFC41】薩摩竜人に一本勝ち──ユ・ジェナムのインタビューから垣間見る、韓国MMA界の現状

Jae-Nam【写真】チームフォースの仲間達と共に。彼らは恵まれている──派なのだ。そして、キム・スーチョルが普通の人過ぎる(笑)(C)KAORI SUGAWARA

8月12日(土・現地時間)、韓国ウォンジュのウォンジュ総合体育館でRoad FC 41が開催され、ユ・ジェナムが薩摩竜人をRNCで破った。

Gladiatorの辻川遼平戦、Grachanの堀友彦戦を含め4連敗中だったユ・ジェナムはロードFCのジョン・ムンホン代表の持つチーム・フォースの一員で、そのジムでの指導で生活を営むことができている。

彼がインタビュー中に話してくれた──負傷欠場中も安心して治療に専念することができる──環境は、ずばり韓国の他のファイターはそうでないことを意味する。キャリア4勝4敗から4連敗を経ての今回の勝利。過去に上に挙げた2選手以外にも春日井たけし、漆谷康宏、山上幹臣、和田竜光という錚々たる日本勢と戦ってきたユ・ジェナムの言葉から、トップ選手以外の韓国MMA界の実情が垣間見える。


──一本勝ち、おめでとうございます。

「とにかく嬉しいです。自分の地元ではありませんがウォンジュで生活し、練習するようになって5年が経ちます。ここで試合をして勝つことが出来たので本当に嬉しいです」

──地元の人たちも応援に来てくれましたか。

「地元はここに近いですがもっと山の中の田舎にあります。インジェという場所でウォンジュから車で1時間半くらいかかります。親は家でテレビで見ると言っていました。家族には心配をかけたくないので、会場に呼ぶことができませんでした。友達はいっぱい応援に来てくれました。

他の人が聞けば笑うかもしれませんが、ここは自分にとっては第2の故郷です。格闘技が好きだったのですが、自分の地元にはジムがありませんでした。そんな時、妹がウォンジュの大学に進学しました。妹が行くならと僕もウォンジュに来たところ、ジムがあったのでここで生活することにしました。家族、地元の友達、このウォンジュで、勝利できて本当に嬉しいです。

映像を見たら薩摩選手は柔道が得意で足払いも上手い、経験豊富な選手だと思いました。僕は以前日本で試合をしたことがあるので、薩摩選手のチームの人とも試合をしたことがあります。薩摩選手のチームの人達はみんな経験が多く強い選手ばかりなので、自分も集中して練習をしました。

練習をするときは出来るだけ距離を取って、足払いに注意をしました。ヒザでKOする作戦でしたが、それは試合では出来なかったですけど、グラウンドでも良く対応できたので、勝利することができました」

──これまで4連敗と苦しい時期が続いていたのではないかと思います。

「怪我や手術をしたり、苦しい時間もありましたが、ロードFCのCEOでありチームフォースのジョン・ムンホン代表の指導の下で何も考えずに練習に打ち込むことができました。もし他のチームに所属していたら、生活の心配をしなければなかったと思います。チームフォースにいる自分は幸運にもそんな心配をする必要はなく、練習に打ち込むことができました」

──ケガというのは?

「4年前に日本での試合で顎を怪我しました。3カ月前にロードFC38のジョン・ウォンヒ戦でも目を負傷し、手術しました。試合に出るのは少し早いかなとも思いましたが、その時の負けが凄く悔しくてとても後悔していたので、『早く試合をしたい』という気持ちがありました。

このウォンジュで大会が開かれるというので、僕も試合をしたいと代表に申し出たところ、代表も承認してくれたんです。

1番怖いと思っていたのは同じ場所に怪我をすることでしたが、『今までそんな手術はしたことがない。自分は普通の人だ』と思うようにして過ごしました。この試合に負けたら5連敗という心配もあり怖かったですが、チームの仲間に助けてもらいながら、自分もその不安や心配を忘れるために必死で練習をしました。

朝からずっと、試合を待っている間も緊張して落ち着かなかったです。連敗はここで終わりにしたいという気持ちから来るもので、本当に緊張がなくなったのは試合が始まってからでした。距離を取って戦うように作戦を立てていたので、もし距離を詰められていたら良くない状況だと感じたかもしれませんが、相手が距離を詰めてくる様子はなかったので、自分が思うように動けばその通りに出来るかもしれないと思ったら緊張もなくなりました。」

──生活の心配をしなくても良いというのは練習できない期間、ジョン・ムンホン代表のサポートがるということでしょうか。

「他のジムの選手は仕事をしながら練習をしている状況で、十分な練習時間を確保するのがとても難しいです。かと言って、アルバイトや仕事をしないと生活費に困ります。僕は代表が経営するジム・チームフォースで小学生の子供に指導をしています。それで給料をもらえるし、自分の練習する時間も確保できます」

──試合後にはチームメイトのキム・スーチョル選手が泣いていましたね。

「『お疲れ様でした』と声をかけてくれました。今度の試合に向けて練習している間、スーチョルさんからたくさんアドバイスをもらいました。

ただ、自分は頑固なので、スーチョルさんの話を聞かずに自分の考えを通していました。昔からスーチョルさんが試合をするときには僕が、僕が試合をするときにはスーチョルさんがセコンドに付きます。2人の間には言葉には出来ない感情があります。セコンドだとしても、勝利をすればお互いに自分の勝利と同じくらいに嬉しいです。

スーチョルさんとはウォンジュに来て以来、5年の付き合いになります。ここに来てから怪我をしたり、苦しい時期のことも彼は全部知っています。スーチョルさんは僕だけでなくチームや、同僚や友達、家族など、みんなのために何が出来るかを他の人よりも常に考えている人です。

僕が怪我した時のこともよく知っているので、勝利してたまらない気持ちになったんだと思います。チームフォースは他のジムと違って一緒に練習も生活もしているので、家族に近い感覚で、色んな意味のある場所です」

──この勝利を経て、今後はどのようにキャリア・アップしていきたいと考えていますか。

「今回、他にもたくさん強い選手が出ている中で、ヤングガンズのメインで試合ができたのは自分に実力があったからとは言えません。ただ、ウォンジュで開催される大会だから、ウォンジュで練習しているからです。これからもっと練習をしてメインカードで試合ができる実力を付けたいです」

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