【Pancrase289】粕谷優介と対戦、松嶋こよみ―01―「ボコボコにされる練習ができるのは、ここ」
【写真】強くなるための選択が移籍。そして、その成果を見せる機会が粕谷戦だ(C)MMAPLANET
20日(日)、東京都江東区のディファ有明で開催されるPancrase289でUFC還りの粕谷優介と対戦する松嶋こよみ。
幼少期より空手、柔道、レスリングを経験。ナチュラルボーンMMAファイターの松嶋をameba TVが制作する格闘家の1日を追うドキュメンタリー番組=ONE DAYが密着した。
AACCより北岡悟率いるパンクラスイズム横浜に移籍した松島に移籍理由とその成長、そして粕谷戦への意気込みを尋ねた。
――内村洋次郎戦後にパンクラスイズム横浜に移籍をしました。AACCから出稽古という形ではなく、籍を移そうと思った理由は何だったのでしょうか。
「これまで強い人にやられて、その人を超えたいという気持ちが自分の行動力につながってきていました。本当に強い選手にボコボコにされる練習が日本でできるのは、ここだと思ったんです。
出稽古ではなくて、常にそういう練習に身を置いておきたかったです。出稽古で来ていた時、AACCでの練習がパンクラスイズムで練習するための練習になっていました。今は毎日、試合のことを考えて、本当に試合のために自分が如何に戦うを考えて練習をするために、出稽古でなく移籍が必要でした」
――単刀直入に言うと、スパーリングパートナーが違うということでしょうか。
「AACCだと階級が下の選手が多かったです。同じ階級の外国人選手がどれだけ力を持っているのかということをマルロン・サンドロ選手と戦った時に気づきました。彼らがいる階級で戦っていくのに、自分より階級が下の選手とスパーリングをするのではなく、そういう力を持っている選手たちと練習するという状況に身を置かないといけないと思ったんです」
――これまで勝った試合の多くも、負けた2試合も競り合いというものは少なかったです。自分が思うように動けない練習が必要だった?
「なんだかんだと言って階級が下の選手は力でねじ伏せることができてしまう。それが同じ階級や上の階級の強い選手と練習すると、そういう風にはできないです。
試合でも疲れてくると、そういう状況に陥っていると思うんです。その練習は毎日のように自分の体に植え込んでいるような感じです」
――これまで思うように戦えなかった試合……、パンクラス初陣の牛久絢太郎選手と戦った時がそうだと感じました。あの時の松嶋選手はどんどん荒くなっていったのが、今日のスパーリングを見させてもらうと、丁寧に戦っているように思いました。
「牛久選手とやった後、サンドロ、内村(洋次郎)さんと戦って、この3試合で自分のダメなところが浮き彫りになりました。内村選手との試合では、どうしても勝たないといけないということを学ばせてもらいました。
気持ち良く勝つことができれば一番良いです。でも、これから先はそうはならない。なので今、自分に必要な練習が凄くできていると思います」
――内村選手との試合では、松嶋選手はレスリングをここまで信じているんだと感じました。
「ハハハ。大学まで続けてきたモノだし、身についているというか勝手に出るんです。打撃は考えて使っているのですが、レスリングは体が勝手に動きます。スパーリングのなかでもテイクダウンは意識することなく入っています。
本当は殴りたいっていう気持ちがたくさんあります。でも、結局、一番身を置いていた部分がレスリングで。中学、高校、大学とやってきて、そこでは簡単に負けないという風にも思っています。そこを生かして戦うべきだと。
まぁ、打撃もそこまで考えて使っているわけじゃないんですけど(笑)。でも、顔を出さない、突っ込み過ぎないと考えて打撃を出すなかで、そこに組み合わせていけるのはレスリングの動きですね。そういう部分が、今やっと生きてきたと思います」
――その得意な部分でもDJ.taiki選手にテイクダウンされたり、北田俊亮選手に上を取られたりしました。
「今日も試合形式でスパーリングをやって、疲れてきた時に自分が何ができるのかを考えていました。疲れてくると腰が浮いてきたりしているのが、自分で分かっているのに、そうなってしまいます。そこの改善を意識いて練習しています。3R全てを10-9で取れる試合ができるように」
――大切な局面で北岡悟選手の声が入ります。
「自分が諦めそうな瞬間が心のなかであって、スパーリングだから良いやっていう気持ちを掻き消してくれる言葉を投げてくれます。内村選手との試合でも、2Rの終わりに『ヤバいな』っていう気持ちがあったのですが、インターバル中に活を入れてくれて。そのおかげで3Rに集中して臨めることができました。細かい部分での言葉が自分の力になっています」
――その結果というと短絡的かもしれないのですが、打撃と組みが以前よりスムーズに融合してきました。
「自分でも分かります。以前は上、下っていう戦い方だったのが、テイクダウンのフェイントで殴ったりできるようになったので、そこは大きな成長かと思います」
――しかも、あの空手スタイルが崩れていないままで融合が進んでいました。
「空手は僕の大事な財産です。空手があったから、これまでの僕がありました。そのスタイルを崩すつもりはなく、空手スタイルを生かして自分のスタイルを進化させる。パンクラスイズムの練習で、そこが成長できると信じています。だから移籍という形を取ったのですが、今でもAACCで教わったこと、指導してくれた先生に感謝しています。
突きとか基本稽古は一人でも続けています。僕は打ちたい、打ちたいという気持ちが強いので体が流れがちなんです。それも突きを意識して出すと、しっかりと止められる。ヒジの位置を下がるなど、そこはずっと意識してやっています。アップ前に自分の位置がちゃんとできているのか、そこはしっかりとやっています。
本当に、それが自分のスタイルなので。そこに強い選手と戦っていくために。新しいスタイルを貪欲に取り入れていきたいです。なので変わってきていると思います」
<この項、続く>