【WJJC2017】レプリにA0-1の敗北の意味とは、岩崎正寛―02―「ファーストコンタクトの重要性」
【写真】第一次接触で斬り合いになると岩崎が、レプリ戦を振り返った (C)MMAPLANT
4日に閉幕したブラジリアン柔術世界選手権=ムンジアルで4度目のライト級制覇を成し遂げたルーカス・レプリにアドバン0-1で敗れた岩崎正寛インタビュー後編。
一本、大量ポイントではなく1つのアドバンテージで勝敗が分かれる。岩崎が目指す、柔術スタイルとはどのようなモノなのかを尋ねた。
<岩崎正寛インタビューPart.01はコチラから>
――なるほど、アウトボクシングのような柔術ですか。
「ハイ。アウトボクシングのような戦い方を完成させたかったので無理に極めにいくとかではなくて、安全圏にいることを第一としていました。普通の柔術ゲームの発想とは少し違ってくるとは思っています。
今はストレートバックなどパスガードを経由せずにバックマウントを狙うことが主流になっているのですが、そうじゃなくてガードゲームのなかで攻めさせない。鉄壁のガードからアドバンテージをポイントのように扱うことが、僕の戦う武器だったんです。
ダブルガードからベリンボロ・ゲームや50/50ゲームはポイントがよく動くシーソーゲームになります。対して、僕やレプリのようなタイプは組手が重要になるので、ファーストコンタクトの時点でかなりの斬り合いになります。そうするとアドバンテージがポイントぐらい大切な戦いになります。そういう柔術も有りなんじゃないかと。
去年の全日本からアジア、そしてヨーロッパとこの戦い方を実践してきてヨーロッパでハマってきたという感じがしました」
――それが岩崎選手の安定感につながるのでしょうね。
「返されないコツというのは、昔から持っていました。そこをいかに自分のゲームとして、組み立て行けるのか。そうですね……唯一無二にならないと世界では勝てない。ミヤオ兄弟にしろ、レプリにしろ、こんな柔術は普通じゃやれないっていうことをやり通して世界王者になっている。
そこが重要な点で、僕のスタイルは本当に地味かもしれないけど、それでも勝てるのではあればそれをやるのみです。僕は柔術が好きだけど、スタイルにこだわっている時間はないので」
――ここから攻め方を組み立て行くわけですね。
「ハイ、それもどういう攻め方にするのか。極めに行くのか、ポイントを取るのか。アドバンテージを大量に重ねていくのか。そこで僕はアドバンをポイントのように扱う。ポイントは絶対領域、2P取ると絶対に勝てる。そういう試合ができるようになっていきたいんです」
――つまりはレプリを相手にアドバンテージを取れるようにならないといけないというわけですね。
「ハイ。アドバン、もしくはポイントですね。昨日のミスがどこにあったのか。それはファーストコンタクトにあったかと思います。テイクダウン狙いを2度に渡り切られてしまった。あそこから、レプリが試合を優位に進めました。レプリングが引き込んだら、僕はダブルガードにしてアドバンを先取するという選択もあったのに、テイクダウンしか考えていなかった」
――その意識が強すぎると、レプリ程の名選手になると岩崎選手の狙いが読めてしまうかもしれないですね。
「ハイ、そうだと思います(苦笑)。殺気を出し過ぎました。だからこそ、レプリがガンガンと投げを打つことはなかったというのもあります。彼の組手は崩して投げを打つという組手ではなかったです。ピタッと止める組手だった。それは僕のテイクダウンを警戒してのことなので、それなりに効果があったと思っています。ただし、その効果があったうえで技を出さないといけなかったです」
――ここまで振り返ることができるということは、悔しさと同様に手応えを感じることができたと認識して良いでしょうか。
「少しずつですけど、やってきたことの成果が表れてきています。まだ開花したというわけではないですが、これから花を咲かせて、実りの時期を迎えたいです」
――また新しい1年が始まります。
「ハイ、まずは8月の全日本、9月のアジアでしっかりと結果を残します。それとレスリング力も高めてきたので、ノーギの方にもチャレンジしようかと考えています。MGに行って掴んだモノもあるので、ノーギ・ワールドに出ることができればと思っています」