【ONE】チャトリ・シットヨートンがONEチェアマンを正式に名乗るようになった理由とは?!
【写真】大会2日前にはタイ国バレーボール協会に寄付を行ったチャトリ。時世と民意を味方につけたか?? (C)MMAPLANET
5月27日にタイ・バンコクのインパクト・アリーナで開催されたONE42。2011年9月の旗揚げ以来、東南アジア、中国、東アジアに進出し、その規模でいえばアジア最大のプロモーションとなたったONE。
タイ大会──内藤のび太がONE世界ストロー級王座に輝いた大会は、ONEにとってチャトリ・シットヨートンが初めて表舞台に出て陣頭指揮を執ったイベントとなった。
イヴォルブMMAのオーナーとして知られるチャトリは、これまで投資家としてONEと関わっているという立場を貫いてきたが、今回よりオーナーシップを持つ人間として、チェアマンという立場を公言した。なぜ、ここに来てONEでの正式な立場を公としたのか。そしてタイでのMMA普及計画をチャトリに訊いた。
──ONEにとって初めてのタイ、バンコク大会はいつ頃から計画されていたのでしょうか。
「私達がバンコク大会の開催に動き始めたのは去年の9月だった。タイ国政府、ムエタイ・コミュニティ、そしてMMAコミュニティ、財界人がONEバンコク大会をサポートしてくれた。他の国でイベントを開催するのと比較すると、少し勝手が違ったよ。なんせ、ムエタイはタイ国民とって宗教のようなモノだからね」
──ONEでは今大会に先立ち、タイにオフィスを構えました。
「ONEはシンガポールに拠点を置いているけど、実は既に中国にも現地法人とオフィスを開設されている。タイは3カ国目だ。今後、インドネシアと日本にも拡張していく予定だよ」
──これまでチャトリはONEにはインベスターという形で関わっているという形を公言していましたが、今回からONEのチェアマンというポジションを明確にしました。その理由を教えて下さい。
「私は不動産関係、スポーツ関係、飲料水関係、テクノロジー関連など複数の会社を経営している。これからはONEチャンピオンシップの仕事により力を入れていく方針を決めたんだ。ONEを本当の意味でグローバルなブランドに成長させるためにね。
以前の仕事量なら、自分がオーナーシップを持っていることを公言する必要はなかった。しかし、世界75カ国で中継され、アジア全域でイベントが開催されるようになった今、私は表立ってONEを大きくするために各国の要人、メディア、財界のトップ、スポンサーや広告関連の人々と交渉をする必要が出てきた。だから、ONEのチェアマンを正式に名乗ることにしたんだよ」
──今後はビクター・クイCEOに代わり、チャトリがチェアマンとしてONEをリードしていくことになるのでしょうか。
「そんなことはない。今、君が言ったようにビクターはCEOだ。私はチェアマン。それぞれが、それぞれの役割をこなしていく。私達の仲はとても良好だよ」
──そのように本格的にチャトリがONEの運営の表舞台に出てきたバンコク大会の印象を教えてください。
「とてもハッピーだよ。会場は95パーセントの客席が埋まっていた。イベントが始まってからも、母国タイに戻ってきたことで非常に感傷的になっていた。ずっと昔、私の父は破産し、我々家族を見捨てたため本当に貧しい生活を強いられていたんだ。
お金もなく家もなかった。まさかタイという国の歴史のなかで、最も大きなスポーツイベントを率いて帰国することができるなんて思ってもいなかった。これだけタイの皆のサポートを受けることができて、本当に感謝の気持ちでいっぱいだよ。
私の人生のなかで最高の夜の一つになった。あの日のことを忘れることはない。本当に幸せだよ」
──今大会では2つのバンドがかなり長い時間をかけてコンサートを行いました。
「ロックコンサートはONEのイベントの一部になったんだよ。ユニバーサル・ミュージックとONEはパートナーになったんだから。今後、ケニー・ウェストやリアーナの姿をONEチャンピオンシップの会場で見ることになるだろう」
──母国タイでMMAはどれだけの可能性を持っているでしょうか。ムエタイをあれだけ前面に打ち出し、デェダムロンがメインで敗北を喫してベルトを失ったのは誤算では?
「そんなことないよ。MMAブームをタイで巻き起こすよ。まだ始まったばかりだ。ONEは既にタイで毎週土曜日の午後10時からTV中継されている。タイラスTVは今、もっとも成長しているTV局で、現時点では視聴率は第3位だけど、将来的には第1位になるポテンシャルを持っている。
タイラスTVを通じて、ONEやMMAをタイで普及させる。目指しているのは、そこだ。そして年に2回のペースでバンコク大会を開いていくことになるだろう」