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【ONE42】不確定要素満載、ONE世界ストロー級選手権試合=デェダムロン×内藤のび太

ONE43【写真】未知の部分が多い両者。この未知の要素が、相手の予想を上回る点が多いほど優位に立ち、勝利に近づくであろうデェダムロン×のび太の世界戦だ (C)MMAPLANET

27日(金・現地時間)、ONEにとって初のタイ・バンコク大会となるONE42「Kingdom of Champions」が現地のインパクト・アリーナで開催される。これまでインベスター的な存在としてONEと関わっているとしていたイヴォルブMMAのチャトリ・シットヨートン代表が、母国開催にONEのチェアマンを公式に名乗るようになり、メディアにも進出するという力の入った大会は、日本の2人のチャンピオンが世界戦に出場する。

メインではタイ人初のMMA世界王者として凱旋マッチに臨むONEストロー級王者デェダムロン・ソー・アミュアイシルチョークに前修斗世界フライ級(※52.2キロ以下)王者の内藤のび太が挑戦する。MMAキャリア6勝0敗のチャンピオンに対し、10勝0敗のチャレンジャー、この両者が戦う世界戦は不確定要素が本当に多い一戦だ。



デェダムロンの組みへの対応力は如何ほどのモノか(C)MMAPLANET

デェダムロンの組みへの対応力は如何ほどのモノか(C)MMAPLANET

ルンピニー3階級制覇から日本でのコーチ業を経てMMAへ転向、パンチや蹴りは当然ながら、首相撲の強さやエルボーの打ち分けとナックモエらしい攻めを見せるデェダムロン。

テイクダウンに対しては、前述したように首相撲を加えたケージレスリングでケージにせを付けた状態での防御から攻撃に転じることができる。またマットに背中をつけられても、イヴォルブMMAで身に着けたブラジリアン柔術の動きを駆使して、スクランブルに持ち込むこともできる。

以上のようにデェダムロン自身は、ケージ内でも十分に強さを見せてきた。ただし、MMAは相対的な強さを争う1対1のスポーツだ。相手の力如何によって、その絶対的な能力が過大にも、過少にも映る。そして、デェダムロンが戦ってきた最初の5戦の相手はフィリピン&マレーシア勢で、キャリアも少なく戦績も目立った者はなかったのが正直なところだ。6戦目で初めてノヴァウニオン所属のヤゴ・ブライアンと戦ったものの、ブラジルでも層の薄い階級ということもあり、彼もまた3勝0敗というレコードの持ち主だった。

そんなデェダムロンの過去の対戦相手のなかから、比較対象を見つけることができるのは、王座決定戦を戦ったロイ・ドリゲスだ。デェダムロンに敗れたあと、ドリゲスは階級を上げて渋谷莉孔と戦い判定負けを喫している。内容的には渋谷のテイクダウン&トップコントロールに完敗を喫したといっても過言でない。そのドリゲスを相手にテイクダウンを奪われながら、トップを奪い返し、マウントからエルボーの連打を打ち込むなどしてデェダムロンは勝利を掴んだ。

執拗な低い姿勢からの組みが、デェダムロン&ONEルールで有効となるか(C)MMAPLANET

執拗な低い姿勢からの組みが、デェダムロン&ONEルールで有効となるか(C)MMAPLANET

打撃は文句なし、スクランブルやガードワークの精度は未知数──、故に測れない点が多いデェダムロンといったところだ。対して10勝中4試合が一本勝ちというのび太、低い姿勢から飛び込んでしっかりと密着して寝技に持ち込むスタイルは、修斗のリングで勝負強さを発揮してきた。下になってもワキを一本させば、上を取り返す。

その粘り腰が、のび太の信条といえる。ただし、のび太にとってデェダムロン戦は初めての海外の試合で、初めての国際戦、そして初めてのケージと初めて尽くしとなっている。

形に入れば、圧倒的な強さを見せてデェダムロンを寄せ付けない可能性がある。その一方で、これまでデェダムロンのような体、打撃の強さを持った相手と戦った経験はなく、得意の形に持っていけるどうかがカギを握ってくる。デェダムロンが闇雲にパンチを振り回すファイターなら、どれだけフィジカルが強いストライカーでも組みに行ける。しかし、デェダムロンは少なくとも、序盤は力づくで来るようなタイプではない。しっかりと距離とタイミングを見極めることができる元ルンピニー王者、だ。

特にデェダムロンのような前足の強い蹴りを使うファイターは世界に広まったMMAとはいえ、今もそうそう見ることはできない。加えてONEルールでは、のび太は低いテイクダウンを切られると、サッカーボールキックという恐怖も待っている。

それでも5Rの長丁場、絶対にのび太の態勢で組める機会は巡ってくるはず。そこで、デェダムロンの未知の部分、グラップリング能力が如何ほどか明らかになるというもの。まず、この試合で問われるのは、のび太の打撃への対応力と抵抗力、そしてデェダムロンの組み技への対応と攻めへの応用。首相撲もガードワークも表裏一体で、一発の逆転を可能にする。両者の不確定要素はいくら論じてもしょうがない。サークルケージで確認するだけだ。

■ ONE42対戦カード

<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] デェダムロン・ソー・アミュアイシルチョーク(タイ)
[挑戦者] 内藤のび太(日本)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] マラット・ガフロフ(ウクライナ)
[挑戦者] 横田一則(日本)

<73キロ契約/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ロブ・リシタ(豪州)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
レアンドロ・アタイジ(ブラジル)
マルチン・プラチニオ(ポーランド)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
カリアー・リン・オウ(ミャンマー)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
クリスチャン・リー(シンガポール)
ロッキー・バトルバトル(フィリピン)

<62キロ契約/5分3R>
ヨーサナン・シッチョートン(タイ)
クレク・コサル(カンボジア)

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