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【UFN28】ジャカレ戦に挑む岡見勇信。参謀:磯野元に聞く(03)

Gen Isono

【写真】岡見のグラップリング・トレーニングを見て、通訳、指示を与える磯野氏(C)MMAPLANET

9月4日(水・現地時間)、ブラジルのベロオリゾンチで行われるUFC Fight Night 28。そのセミでホナウド・ジャカレと対戦する岡見勇信の参謀・磯野元氏インタビュー、最終回。

ジャカレ・ソウザという最強グラップラーを相手に、岡見が取るべき手段とは?

<磯野元インタビュー、Part.01はコチラから>
<磯野元インタビュー、Part.02はコチラから>

――ブラジルでの試合は一昨年8月のアンデウソン・シウバ戦以来となります。あの時は現地に行ってから、岡見選手は非常に固くなっていたと思います。2度目ということで、前回の経験が生きそうですか。

「生きると思います。セコンドの辰己(豪人)君が一人で日本から来てくれるんですけど、乗換が4回ぐらいあって、結構厄介なんです。僕的にはこれは大変だなぁって思っているんですけど、勇信は『辰己には絶対に来いよってメールしておきますよ』って感じで、ブラジルは俺の庭って感じなんです(笑)。

まぁ、ブラジル大会が増えた今、ブラジルをホームにするぐらいの気持ちでないといけないとは思っているんですけど、前回とはだいぶ違うんじゃないですか」

――なるほど。今回のジャカレ戦、MMAのキャリアで岡見選手が上回っていて岡見有利という声も聞きますが、正直、自分はスタンドで組みついてバックに回るなど、寝技への移行がいわゆるテイクダウンで倒すという部分だけでないジャカレに怖さを感じています。

「ジャカレのグラップリングは半端じゃないし、怖さは本当にあります。今回、僕らが気を付けているのは背中の空間を作らないこと。金網際で足を束ねられて、腰にしがみつかれたり、立ち上がり際にジャカレがしぶとくついてくるのはルーク・ロックホールド戦を見ていると分かります。

日本人選手は迂闊に頭を内側で押しているので、立ち上がって背中を取られることが多い。だから、しっかりと外側に押し出して、背中を金網について立ち上がる。そういうところでミスをしないように徹底しています。最低でも立ち上がる時に、カンヌキでも巻けていないとバックに回られます」

――なるほど。金網際でなくても、ジャカレはバックに回ることに長けていますが。

「当然、もの凄い勢いで金網際まで逃げていく練習もしています(笑)」

――それが岡見選手の危機管理能力という部分での才能だと思います。

「選手が歯を食いしばって殴り合っていて、ここで行かないとダメだとか――とか言われるじゃないですか。『どこが?』って僕は思うんです。だって技術的にそのあと優位に立てるかどうか分かっていないのにギャンブルを仕掛けることに、プロとしての色気は感じるけど、僕は技術屋なんで理解できない考え方なんですよ。

そういう状況で一手でも二手でも、明らかに有利だという状況を作ったうえでいくべきで。そういう意味では、勇信は本能的に分からないことは絶対にやらない。それは彼の生まれついての性質なので。ジャカレと戦い、初めて経験するような厳しいポジションに追い込まれた時、彼は決して一か八かのギャンブルのように暴れることはしないと思います。そういう状況になると、必死になって引きつけてブレイクを待つと思います」

――ヘクター・ロンバード戦の3R、最悪のピンチを救ったクローズドガードと同じことですね。

「3Rの入り方など、色々と問題はありますが、下になってからの勇信は下から素晴らしいコントロールをしたと思います。ロンバートを相手にあれだけダメージを負った状態で下からコントロールできる選手って、まずいないですよ。そういう意味では勇信の実力と、勝負、真剣勝負に対する選択肢の取り方――絶対に投げ出さない、あのやり方っていうのは凄く頼もしいなって思います」

――そのサバイブする才能が、『勝ち方を問われている』と意識することで陰ってくることはないでしょうか。

「僕自身も心の底からそう思ってしまうと、そういう風になってしまうんじゃないかと危惧しています。ただ、もって生まれた彼の性質を信じていますね。何よりもまず勝つことという彼の性質が、何かに取って代わられて『ひょっとしたら勝てないけど、ダイナミックな動きをする』という風に彼は絶対にならないと思います」

――ありがとうございます。ジャカレ戦、期待させてもらいます。そして、ブラジルで岡見選手が勝利者コールを受ける姿を見たいです。

「ありがとうございます。いやぁ、ジャカレは強いですよ」

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