【Special】MMAビジネスの今をシュウさんに聞く(最終回)商品価値
【写真】選手の商品価値を決めるのはプロモーションサイド。そして買い手市場だとシュウ・ヒラタ氏は言う(C)MMAPLANET
UFC、Bellator MMA、さらにWSOFやRFAから女子MMA、そしてアジアのMMAプロモーションに話題が及んだシュウ・ヒラタ氏に聞く『MMAビジネスの今』。
最終回は日本人選手に求められる商品価値、ファイターとして必要な素養について語ってもらった。
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――規模を考えたビジネス・モデルを構築することが、良い人材を生むことになりますしね。
「今のままではね……。20代のチャンピオンが少ないですよね。パンクラスのISAO選手ぐらい。修斗は若い選手が出てきていますが、目指すところはUFCだと思うんです。現に田中選手のようにもうPXCでキャリアを積むような選手も現れています」
――UFCではこれからリリースの嵐が吹き荒れそうですが、日本の格闘技プロモーションもリリースされたファイターの受け皿になることができるのか。その辺りも気になるところです。
「それは選手、そしてプロモーションにとって個々のビジネスの良し悪しだと思います。結局のところ、目指すところがUFCかBellatorになると、選手サイドもその目標を見定めて戦う場所を決めていかないといけない。そのフォーミュラのなかにOFCは入りづらい。PXCは僕はアジアの大会だとは思っていません。グアム、つまりノースアメリカのイベントなんです。地域はアジア太平洋としても。
アジアは慎重にディールしないといけないと思っています。メジャーで戦うことは簡単じゃないですし、そのルートに乗ることも想像しているほどイージーではない。こんなこともあったんです。人にマネージメント、つまり営業をお願いしておいて、『×××の社長の友達だって人がやってくれますから、もういいです』と言ってくる。そして、『やっぱりお願いします』と朝令暮改のように態度が変わる選手もいます」
――それは……酷い。
「×××なら、僕は第1回大会から招かれて現地に行っているし、そこに選手をブックしている。ただ、社長の友達だからって試合ができるなんて、そんな簡単に思われてもね……とは言わせてもらいましたよ(笑)。
ちょっと1回でも話すと、ツーカーだと思ったり不思議ですよね。甘いですよ。MMAは厳しい世界です。UFCに出るために成績をしっかりと残して、UFCに売り込めるだけのセールスポイントを創ることを選手には考えてほしいです」
――日本人選手に関して、ファイターを売り込む際、買い手市場ですか、売り手市場ですか。
「フフフ。日本は厳しいですよ。今のところ、買い手市場であることは確かです。UFCは簡単ですよ。あと〇勝ぐらいしてほしい――と条件を出し、そこをクリアしても、強い評価の対象となる選手に勝っていないと言ってくる。その評価の対象となるファイターをプロモーションのスカウティング不足から招聘できていない。そして、そこにお金をつぎ込む余裕もないのが日本の現状です」
――金原正徳選手がなかなかUFCに行けないなんて、本当に厳しい状況だと思います。そんななか、VTJは本当に企業努力をして、ファイターが成長するため、ステップになるための外国人選手を招聘してくれたと思います。
「ハイ。だから、金原選手が年末のDEEPで本来、戦う予定だったファイターは僕が良い選手を用意していたんです。それがパスポートの問題で来日できなくなり、とにかく外国人でということであの相手になった。でも、金原選手の実力なら、勝っても評価の対象にならなかったのは、本当に申し訳ないと思っています。
ホントの話になると、2連敗、3連敗している選手だったら、とりあえず勝ち星をつけること。パンクラス、DEEP、修斗の新宿フェイス大会で2回戦でもいい。HEATでも、Rising onでも良いので勝ちを重ねる。そこから評価の対象となるファイターに勝って、自らを売り込む。
僕はマッチメイカーじゃないし、団体のブッカーじゃない。セールスマンなんで、商品価値を決めるのはプロモーション側だということを選手の皆さんには理解してほしいです」